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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1589話・マイノリティな界隈

グラキエースに抱き止められ、キュンとなるガオシャン。

対してグラキエースは先程にも増して余所余所しい。



気になり過ぎたガリーは、堪らず問い質してしまう。

「グラキエースさん、さっきからどうしたんですか? それにガオシャン様も、ときめかないで下さい!」



「ちょっ、ちょっとガリー! 声が大きい!」

ガオシャンは慌ててガリーの口を押さえた。

自分は見つかっても問題無いが、この二人は部外者なので大事になるのは明白だからだ。



「うぐぐ…す、すみません…」



そうして暫く息を潜める事5分。

誰かが駆け付けて来る事も無く、ガオシャンは胸を撫で下ろした。

「はぁ……急に声を張り上げて、どうしたの?」



ガオシャンに問われ、少し恥ずかしそうに答えるガリー。

「グラキエースさんの様子が変だったので、その…つい突っ込んでしまいました」



『んん?? 様子が変?』

ガオシャンからすれば、今日初めて会ったのがグラキエースなのだ。

何が変なのか全く分からなかった。


また、それよりも嫉妬した風なガリーの態度に、違和感を感じずには居られない。

「私に"ときめかないで"と言ったのは?」



「そ、それは…」

ガリーは先程にも増して言い淀む。



グラキエースが少し申し訳無さそうに尋ねた。

「ひょっとして…私がガオシャン殿を抱き止めたからですか?」



「う……まぁ、それも原因の1つです…」



要領を得ず、ガオシャンの疑問は増すばかりだ。

「全く訳が分かりません。ちゃんと順を追って話して貰えますか?」



すると何憚る事無くグラキエースが言った。

「実は私とガリーさんは、生涯を誓い合った仲なのです。なのにガオシャン殿と密着したので、思わず嫉妬したのかと」



「ちょっ?! そんなハッキリ言わないでくださいよ!」

グラキエースに詰め寄るガリーだが、今度はちゃんと小声だ。



「え………」

予想だにしない説明に、呆気に取られるガオシャン。



「ガオシャン様…?」

半ば自失する元上司の肩を、ガリーは心配になって軽く揺らした。



何とか我に返ったガオシャンは、配慮の無い率直な疑問が口を突く。

「………あ。えっと…女同士なのに??」



「うぅ……はい、女同士で、」

偏見の視線をモロに感じ、ガリーは萎縮した。


この世界で自分たちの関係は、非常に少数派なのだ。

故に偏見を持たれて当然…などと悪い意味で受け入れてしまっていた。



だがグラキエースは違った。

「私共の国では、そう言った女性同士の関係は普通ですよ。そもそも我が主君の伴侶は、聖后アグノス様ですし」



「えぇぇ?! 永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの王は女帝でしたよね?! なのに同性婚?!」



然も当然と頷くグラキエース。

「はい。同性婚です」



「ま、まさか…男が一人も居ないとか言いませんよね?!」



「はて…妙な事を訊きますね。我が国には総司令として剣聖インシオン殿が居ます。他にも重職に男性は何人か居ますよ。まぁ全体的に女性の割合は多いかも知れませんが…」



正に常軌を逸した凄い話だ。

その所為かガオシャンは妙に胸が高鳴った。

『世の中の常識を引っくり返す女帝だわ…』


そして、ふと思う。

そんな存在だからこそ、顔を見た事も無い自分を救おうとしたのか?

もしかすれば打算が有るかも知れないが、それを推し量る事は恐らく無理だろう。

何故なら、自分とは隔絶した境地に居るのは間違いないのだから。



色々と驚いて呆然とするガオシャンへ、ガリーは怖々(おずおず)と告げた。

「え〜と……そう言う訳で、嫉妬したのは確かです。取り乱して申し訳ありません」



「……い、いえ。少し…と言うか結構驚きましたが、そんな界隈も有るのだと知れて良かったです。だからガリーは何も気にする事は無いですよ」



「有難うございます。何だか祝福された気がしますよ」

ホッとするガリー。

これは秘密を吐露した事による安堵と言えた。


聖女の使徒を担っていた頃は、好いたの惚れたなど浮いた話を一切起こさなかった。

そもそも、そんな暇など無かったのである。

また恋愛対象が同性だったゆえに、同僚男性と恋愛に発展する筈も無い。

要するに条件が上手く噛み合って、勝手に秘密が出来上がったのだった。


それを今まで悶々と抱え、ここに来て漸く解放された。

この現状に至れたのは、ディーイーとの邂逅が有ったからに他ならない。

『ほんと…ディーイーには色々と頭が上がらないわね』



「ところで…グラキエースさんの様子が変とは?」



「えっ?! ちょっ、」

ガリーは少し焦る。

様子が変な相手グラキエースを前に、憚らずにガオシャンが尋ねたからだ。



そうするとグラキエースが反応した。

「そんなに変でしたか?」



答えあぐねるガリー。

「変と言うか…相変わらず余所余所しいと言うか…」

正直、明確に言葉で表すのは難しかった。



「そうですか…」

どうしてかシュン…となるグラキエース。



「んん? つまり何なのですか?」

少し苛立ったのか、ガオシャンの口調が強めになる。



「はぁ……」

グラキエースは溜息をついた後、諦めた様子で告げた。

「実は…ガオシャン殿の雰囲気がプリームス様に似ていて。と言うか…体型も酷似していて胸が高鳴ってしまったんです。それで……」



「え……もしかして……欲情しちゃうから、素っ気なく距離を取ろうとしていた?!」



半ば呆れながら尋ねるガリーに、グラキエースは恥ずかしそうに頷いた。

「は、はい……昨今はプリームス様要素を全く補給出来て居なかったので。その……暴走しないように自分を抑えて居ました」



これに呆れを通り越したガオシャンは、絶句して眉をひそめる始末。

「……」


そしてガリーはと言うと、ある意味でホッとした所為か、その場にヘナヘナと崩れてしまうのであった。

「もうぅ……心配させないで下さいよ~~」



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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