表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1705/1764

1581話・南湖監獄(3)

魔導宝珠アイギスの索敵に因り、この監獄が4つに分かれている事が分かった。

つまり東西南北に監獄庁舎が独立して存在するのだ。

そして4つの庁舎を中央で結ぶ形で、管理棟が孤島の中央にそびえ立っていた。


それをガリーは遠目から見上げ、グラキエースに尋ねた。

「どうします? 管理棟に向かいますか?」



「そうですね…聖女の位置が分からないので、まずは看守……いや、所長あたりを捕まえて聞き出すのが良いでしょうね」



然も当然の様に言う伴侶に、ガリーは少し呆れる。

『そんな簡単に所長を捕まえられる訳が……』

いや、永劫の騎士(アイオーン・エクェス)で、初代ラスィア女王であるグラキエースなら可能だろう…と思いなおす。

「え~っと…俺はあんまり自身が無いので、グラキエースさんに合わせますね」



「分かりました。私から離れないで下さいね」



「え……あ、はい」

離れないでと言われても手を繋がれているので、逆に離れる方が難しい。

でも少し嬉しいので黙っておく事にした。



そうして監獄敷地内の西隅から、二人は徐に歩き出す。

現在時刻は夕刻…丁度陽が落ちかけた午後の6時だ。

途中、遠目に外周の壁上に警備兵が見えたが、全く気付かれた様子が無かった。



「んん? 気の所為かな……警備兵が湖の方しか見てないような…」



ガリーの呟きに、グラキエースが囁くように返した。

「恐らくですが魔獣を警戒しているのでしょう。一応は強力な結界が監獄敷地内に張られているので、魔獣が接近しても弾くみたいですが」



「えぇぇ?! そんな結界をグラキエースさんは抜けたんですか?!」



驚くガリーに、「しっ! 小声で!」と諭してガリーは続ける。

「言ったでしょう、私が相殺する結界を張っていると」



「あ……そうでしたね」

それでもガリーは驚きを隠せないでいた。

そもそもグラキエースが展開している相殺結界は対神獣用であって、この南湖監獄の対策では無い。

そう考えるとグラキエースの魔力は、相当に凄まじい物だと思えた。



「それにしても少し解せませんね…」

怪訝そうに呟くグラキエース。



「…? 何か気になる事でも?」



「この監獄敷地全てに"強固な"防壁結界が張られていました。この水準だと起動支柱が有るか、或いは近くに強力な術者が居るかなんです。もし後者だと厄介かも知れません…」



グラキエースが言わんとする事を察したガリー。

「まさか…聖女級の術者が居ると?」



「飽く迄も可能性です。取り敢えずは管理棟に向かいましょう」






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






中央にそび立つ管理棟は、東西南北に建てられた監獄庁舎と通路で繋がっていた。

そしてこれら建物から敷地内に出る扉が見当たらず、また窓も灯窓程度の小さい物しか無い。

つまり監獄施設と外部は、完全に隔絶されているようだった。



そうなると当然、グラキエースとガリーは困る事になる。



「まさか出入り口が無いのは想定外です…困りましたね」

管理棟を見上げながら、グラキエースは意外そうに言った。



「いやいや、全然困った感じに見えませんよ」

思わず突っ込むガリー。



「フフッ…バレましたか?」



ガリーは少し呆れた。

『この人…俺で遊んでるのか?!』

もしくは、この状況を楽しんでいるとしか思えない。

「で、どうするのですか?」



「ん〜〜まぁ壁に穴を開けるのが手っ取り早いですね」



「いやいやいや、そんなの気付かれるでしょ。外壁の上で巡回してる警備兵が居ますし、上の方に絶対出入り口が有る筈ですよ?」



「あぁ〜〜良いですね。実に新鮮です」

ガリーの更なる突っ込みに、何故だかグラキエースは嬉しそうにする。



「な、何っ!? 急にどうしたんですか?!」



「あ…いえ、ごめんなさいね。こうやって私に突っ込みを入れるのは、今まで誰も居なかったのです。だから少し嬉しくなっちゃって…」

はにかむグラキエース。



その姿が意外過ぎ、ガリーの心を鷲掴みにした。

『くぅぅ!! 何よ…この可愛い生き物は!!』

などと思いながら直ぐ我に返る。

『イチャイチャしている場合じゃ無かった!』


厳密にはイチャイチャ仕掛けた…が正しいが、これは気持ちの問題である。

故にガリーは自分の両頬を叩いて喝を入れた。

「ふぅ…兎に角、バレないように出来るなら、穴を開けて下さい。無理そうなら外壁の上を探しましょう」



これに一瞬だけ寂しそうしたグラキエースは、直ぐに真顔になって頷いた。

「分かりました…なら穴を開けましょう。気付かれた場合は、ちゃんと気絶させるので心配いりませんよ」



「え…? 殺さないでいてくれるのですか?」



「……おや、意外そうですね。ひょっとして邪魔する者を無慈悲に蹴散らすと?」



「あ…その、戦いには厳しそうな印象だったので。も、もちろん人非人なんて思ってはいませんよ!」



「フッ…冷酷なのは間違い無いですが…」

そこまで言ったグラキエースは、何か感じ取った様子で固まる。



「グラキエースさん…?」



グラキエースは宝珠に触れて言った。

「今、宝珠アイギスの1つが南の外壁門に着いたのですが、門自体が全く機能していませんね」



「機能していない?」



「はい。何年も使われた形跡が無いのです。と言うか、態と使えないように資材で固定されていますよ」



「じゃあ、どうやって罪人を収容するのですか? それに…」



「食料や生活用品に飲み水…最悪、飲み水は湖の水を濾過すれば良いですが…」

そう言ってグラキエースは下へ視線を向けた。

「ひょっとすると見えている部分は、ほんの一部なのかも知れませんよ」



「地面の下……まさか、そんな…」

刹那、ガリーはグラキエースとの会話を思い出す。

この監獄は迷宮核の実験場だったのでは?…そんな事をグラキエースが言っていた。

『あながち間違いでは無いかも…』


そして次第に漠然とした不安が強くなる。

「グラキエースさん、急ぎましょう。何だか嫌な予感がします」



「分かりました、直ぐに穴を開けます」

グラキエースは頷くと、管理棟の壁へ右手を添えたのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ