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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1577話・ガリーの告白と義務

聖女の詳細、それに龍国の内情を知りたいとグラキエースに言われ、ガリーは少しばかり頭を抱えた。

何故なら半ば出奔した身とは言え、自分は龍国の人間だからだ。



隣に座るグラキエースが心配そうに尋ねた。

「不都合な事でしたか?」



「いえ……ここまで手助けして貰っているのに、まだ自分の立ち位置を決め兼ねていて…俺って馬鹿だな〜て…」



「成程…踏ん切りが付いて居ないのですね?」



頷くガリー。

「……」

当初、ディーイーとは協力関係に過ぎなかった。

なのに今は何もかも素っ飛ばし、自分ばかりが助けられている。



「ガリーさんの目的は?」



グラキエースから端的に問われ、ガリーは条件反射で答えてしまう。

「え…あ…せ、聖女を救う事です」



「でも直ぐに救えないから、色々と段階を踏もうとしていたのでは?」



ガリーは今更ながら己の無力を思い知った。

「はい…その通りです。今の私は何の権限も有りませんから」



「だから聖女の元へ辿り着くため、功績を上げて元居た地位を取り戻そうとした。そしてその途上でプリームス様と出会ったのですね」



「初めは目を疑いました…こんな華奢の子が”俺より強そう”だなんて。でも身のこなしは隠せませんから、すぐに声をかけちゃいました」

そう答えながら、ガリーは何故か少しだけ懐かしく感じた。

ディーイーとの出会いからは、それほど経っていない筈なのに。

『それだけ色々有ったって事なのかな……』



「今はプリームス様をどう思っていますか?」



「今は大事な恩人です。きっと一生掛かっても恩は返せないでしょうね…」



「聖女を救出した後、ガリーさんは聖女とプリームス様…どちらを選ぶのですか?」



柔らかな問い。

しかし殆ど間断なく続く問いかけに、ガリーは誘導されていると感じた。

それでも不快では無かった。

その意図が特定の答えへの誘導では無く、吐露させる事だと気付いたからだ。


「流石はグラキエースさんです…伊達に東方諸国の女王だった訳では無いのですね」

正に人心を掌握する力とも言える。

これには大きな包容力が必要であり、それは詰まり他者への慈愛なのである。

『とても俺には真似が出来ない…』



すると少し照れた様子でグラキエースは言った。

「ん~~まぁ、生まれてより他者を統率する宿命にありましたから、年の功…そんな感じですかね」



「宿命…ですか」

やはり生半可な人生を歩んでいない…そうガリーは確信する。

また同時に思うのだ。

こんなに凄い人が仕えているプリームスは、どれ程に壮絶な人生を歩んできたのかと。



「話が逸れてしまいましたね。で、ガリーさんの答えは?」



「俺は……」

考えるまでも無く、実は答えが決まっていた。

「ディーイーは俺にとって高みに在り過ぎるんです。だから俺は…グラキエースさんを選びたいです」

これを告げる事に因って、何かが壊れるのではないか…そう漠然と危惧していた所為で、今まで言えずにいたのだった。



そうすると目が点になるグラキエース。

「……」



「ちょ?! グ、グラキエースさん?!」

『や、やっぱり言うべきでは無かった??!!』

ガリーは血の気が引くのを感じた。



「え……あ……す、すみません。あまりに意外な答えだったので、少し呆然自失になってしまいました」



ガリーからすれば、今のは一世一代の告白なのだ。

それを濁されては堪らない。

「グラキエースさん、俺は意思を示しました。だからちゃんと答えて下さい!」



恋人とは、意外に脆い関係である。

その繋がりには然したる強制力は無く、価値が変われば簡単に解けたり切れたりする。

それを超えた関係に為りたい…そう暗に告げているとグラキエースは察した。

「とても嬉しいです。私も貴女が欲しいと思いましたから」



「じゃ、じゃぁ俺と一生を共に出来ると?」



「はい。ですが1つ条件が有ります」



「じょ、条件…?!」

ここに来て、まさかの難関?!

今度は引いた血の気から、背中からドッと汗が噴き出すのを感じるガリー。



「私は永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの国民であり、プリームス様の臣下です。私と添え遂げたければ、ガリーさんも永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの国民になって下さい」



それを聞いたガリーは、ヘナヘナ~とソファーへ崩れるように背を預けた。



「…?? ガリーさん?!」



「だ、大丈夫です! ついホッとして気が抜けただけで…」



苦笑してしまうグラキエース。

「フフフッ…脅かさないで下さい。では龍国に拘らず、永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの国民として生きるのも吝かでは無いのですね?」



「はい! 是非、俺を国民として受け入れて欲しいです。役に立たないかも知れませんが……」



「役に立つ立たないは関係ありません」

そこまで言ったグラキエースは、失念していた重要事項を思い出す。

「一番大事な事を忘れていました」



「え……」

固唾を飲むガリー。



「プリームス様に忠誠を誓って下さい。これが国民である一番の義務と言えますね」



「そ、そんな事ですか……びっくりした……」



「そんな事って……」



少しグラキエースの声に影が掛かり、焦るガリー。

「いや、違うんです!! それくらいは当然って事を言いたかっただけで…その軽んじている訳では!」



今度はグラキエースが胸を撫で下ろす様子を見せた。

「そうですか……良かった…」



そうして妙に嬉しくなったガリーは、ソッとグラキエースの手を握った。



そんな時、ガリーの首元に縋り付いていたカルボー020が呟く。

「あのぅ……聖女の詳細と、龍国の内情を話すのでは無かったのですか?」



「あ……」

「フフッ……そうでした。随分と話が逸れてしまいましたね」

ウッカリしていたとばかりに声を漏らすガリーに、これはこれで良かったと思えるグラキエースであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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