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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1576話・次元潜航艇の管理人.020

ガリーとグラキエースが身支度を済ませた時、天井付近に淡く光るシャボン玉?が現れた。

当然、危険に感じたガリーが身構える。

「な、何っ?!」



それをソッと制するグラキエース。

「大丈夫です。この船の管理人ですよ」



「え…? 管理人?」

ガリーは怪訝そうに聞き返した。


この次元潜航艇に乗る時から今に至るまで、グラキエース以外に誰とも会っていない。

故に如何にして船を動かしていたのか不思議で…いや、不気味に感じていたのだ。


しかも全く人の気配を感じないのに、いつの間にか食事が用意されていたりする。

ここまで来ると、もはや幽霊船と思えてならない。



するとグラキエースは苦笑して言った。

「フフフッ…本当に大丈夫ですから」



直後、淡く光るシャボン玉が虚空で割れ、キラキラと光の粒が拡散した。



「…!!」

ガリーは目を見張る。

その拡散した光の粒が見る見る内に集束し、人の形を模したのだ。



「お初にお目に掛かります…私はカルボー020と申します」

人の形を模した何かは空中で静止したまま、ガリーへ恭しくお辞儀をした。



「うわっ…真っ裸……」

『こ、こんなの、動く猥褻わいせつ物じゃないの!?』

危うく酷い事を言いかけるガリー。



対してカルボー020は、「いやんっ!」と言って大事?な所を手で隠した。



この人型の何か(カルボー020)は体長が20cm程度で、中型のインコ…または小型の猿ほどの大きさだ。

しかしながら人型な上、実に美しい外見をした雌型なのである。

つまり人を魅惑するに十分な外見で、ガリーが猥褻物と思うのも仕方の無い事だろう。



「何が"いやんっ!"ですか。わざと真っ裸で出て来たのでしょう」

そう言ってグラキエースは、カルボー020の尻にデコピンを食らわせた。


勿論、ちゃんと手加減をしているが、遺憾せん体格差が凄い。

カルボー020は尻を押さえたまま、キリキリと空中を回転してガリーの胸に落ちた。



「ちょっ?! だ、大丈夫ですか?!?」

慌てて受け止めるガリー。

だが落ちる心配は無かった…何故ならカルボー020の上半身が、すっぽりとガリーの谷間に埋まったからである。



「このカルボー020は、メディ.ロギオスが生み出した人工精霊だそうですよ」

と面倒そうに説明したグラキエースは、カルボー020の足を摘んで引っ張りあげた。



対してカルボー020は、またもや態とらしく大事な所を押さえて言った。

「いやん…」



「はぁ……メディ.ロギオスの人工精霊は、皆こんなに馬鹿な人格なのですか?」



グラキエースに呆れられるも、カルボー020は気にした風も無く返す。

「フフフッ…まるで人間のように豊かな自我でしょう?」

更にはスルリと手から抜け出して、真っ裸を見せびらかす始末だ。



「やれやれ……分かりましたから、何か身に纏いなさい。出来ないなら、氷の箱に閉じ込めますよ」



どうしてか急に慌て出すカルボー020。

「え?! ま、待って下さい!! ちょっと悪ふざけをしただけじゃないですか!」



そんな人工精霊を、冷たい目でジッと見つめるグラキエース。

その周囲には、ちらほらと雪の結晶が舞っていた。



それを見たカルボー020は、光の粒を即座に発生させる。

そして光の粒は小さな体へ纏わり付くと、恰も真絹のような物質に変化した。

一見して雑に布を体へ巻き付けた様相だが、取り敢えずは憚らない程度には隠れたと言える。


「これで如何でしょうか?」

怖々(おずおず)と尋ねるカルボー020。



「まぁ良いでしょう。で、姿を見せたと言う事は、そろそろ目的地へ着くのですか?」



グラキエースの問いに、カルボー020は申し訳無さそうな表情を浮かべた。

「それが…少し予定より遅れています。恐らくですが、神獣の力が多少なりとも精霊界アストラルサイドに影響しているのかも…」



「"かも"? 随分と適当な事を言いますね。それでもメディ.ロギオスの人工精霊ですか?」



辛辣なグラキエースの返しに、傍で聞いていたガリーが居た堪れなくなる。

『このちっこいのに厳しくない?!』

「まぁまぁ、それだけ不確定要素が多いって事では? 兎に角、到着予定がズレ込んだなら、その時間を凡そでも知りたいです」



「あ、はい……到着予定時間は、今より一時間後です」

そう答えたカルボー020は、何故かガリーの肩に乗りしがみ付いた。



それを見て、グラキエースの表情が更に険しくなった。

「……」



「グラキエース様は、"とても"私に厳しいのです。でもガリーさんは優しそうで、"とても"私は好感を持っています」



そんな言い様のカルボー020に、ガリーは苦笑いを禁じ得ない。

「はは…ははは…それは恐縮です…」

『いや…それは貴女の振る舞いの所為でしょ…』



グラキエースは完全に呆れたのか、ソファーへ腰掛け深い溜息をついた。

「はぁ………」



一方、ガリーは不謹慎な事を考えてしまう。

『一時間か…そんなに余裕が有るなら、もう少しイチャイチャ出来たのにな』

それだけグラキエースとの目合まぐあいは、ディーイー以来の甘美な体験なのだった。



ぼんやりしているガリーへ、グラキエースは言った。

「ガリーさん、隣に座って下さい」



「え? あ、わ、分かりました」

『ひょっとして気持ちが通じた?!』



「一時間も有るなら、色々と聞けると思いまして」



「…?? 俺から聞きたい事があるんですか?」



「はい。聖女についての詳細、それと龍国内の情勢…話せる範囲で良いですから」



「あ……な、成程。分かりました…」

しゅん…となりがらソファーに座るガリー。

大事な作戦中、色ボケな自分が恥ずかしくて仕方ないのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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