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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1554話・超絶者の振り分け

ディーイーは食卓の前で縮こまり悶絶していた。

その理由はイェシンがディーイーを"名君"なとど称したからだ。



「せ、聖女皇陛下…?」

急なディーイーの変化に、イェシンは戸惑ってしまう。



するとティミドが颯爽と間に入って告げた。

「ディーイー様は…その…上部だけの賞賛などは好まれません。え〜と…ですから無闇に為さらないで頂きたい…です」

だが如何にフォローすべきか定まっていないので、しどろもどろだ。



そうなると何とか空気を読んで謝罪するしか無いイェシン。

「え…あ…はい…申し訳有ません」

ただ事実を述べて称しただけなのに、何とも御無体な話である。



「と、兎に角、イェシン都督の言いたい事は大体分かった。つまり永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの庇護下に入りたいのだね? 扱いは属領となるけど…そんなので良いの?」



ディーイーの問いに、イェシンは頷いた。

「はい、火炎島と同じ扱いで構いません。ところで…我らを受け入れる提案をされたのは、どうしてなのですか?」

どう考えても厄介事であり、露見すれば侵略行為とみなされるのだから。



少し思考してから答えるディーイー。

「………う〜ん…アドウェナを追うにしても、やっぱり北方の地に拠点が欲しいしね。それに少し卿らと関わり過ぎた…今更見て見ぬふりをするのは忍びないよ」



「え…?! この南門省や私が気の毒だと思われたのですか?」



「まぁそうなるかな。私的に北方の国家機構は、余りにも歪過ぎると感じるわ。そこに皆が違和感を思って脱却したいなら、手を貸してあげても良いと考えたの」



イェシンは目が点になった。

『まさか…ここまでお人好しとは……』

言い方は悪いが、この言葉が正にしっくり来る。



そんな彼へ、グラキエースがソッと囁いた。

「陛下は1人や2人を救うのも、大勢を救うのも大差無いのです」



「……」

呆気に取られるが、妙にイェシンは納得もいった。

『王に成るべくして…いや、その王等の上に立つ器…』



凡そをの話がついたのを見計らい、ティミドはディーイーへ尋ねた。

「これから如何します? 御二方を召喚したと言う事は、二手に分かれるのですか?」



「ん? あぁ〜〜いや、この際、全て片付けてしまおうと思う」



「え?! 全てですか?」

つい聞き返してしまうティミド。



「うん。ハクメイとアドウェナの件、ガリーの件、それにリキさんの事も済ませてしまおう」



「えぇ?! 三手に分かれるのですか?!」

驚くティミドに続き、グラキエースも少し目を見開いた。

一方、メディ.ロギオスはニヤニヤと笑みを浮かべるばかりだ。



話の要領を得ないイェシンは、戸惑いながらも協力を申し出た。

「私に何か手伝える事は有りますか?」



「ん〜〜万が一にアドウェナが戻るかも知れないから、その警戒をしておいて。一応は銀冠の女王(ノクス)も付けておくから大丈夫だとは思うけど」



要するに何もする事が無く、しゅん…となるイェシン。

「左様ですか…」


そうすると大人しくしていたヤオシュが、急に声を上げた。

「聖女皇陛下!」



驚いたディーイーは体が跳ねる。

「な、何っ?!」



「私も同行させて貰えませんか?」



「んん? それってハクメイの奪還と母君の事?」



「はい! 母の事は私の業でも有ります。ですが、それ以上に聖女皇陛下のお役に立ちたいのです」

このヤオシュの言葉からは誠実さが窺え、更にその面持ちから必死さが感じ取れた。



だからか、ディーイーは拒む事が出来なかった。

否…拒む必要性を感じなかったのだ。

『まぁ北方の人間が多いに越した事は無いしな』

「好きにすると良い」



「有難う御座います!」



当然、ティミドが顔をムッとさせる。

「……」

既にガリーやハクメイと言う現地妻が居て、そこに加えて都督の娘が参戦した。

主君を敬愛する者として、これは全くもって由々しき事態と言える。



グラキエースがメディ.ロギオスを見やって言った。

「三手に分かれるのでしたら…無論、私とメディ.ロギオスは別になりますね」

本心で言うなら、この男と行動を共にするのが嫌なので先手を打った形だ。



「そうね。どちらかがガリーの上司?…え〜と、聖女を救出しに向かって欲しい」

そこまで言ったディーイーは、失念していたとばかりに声を漏らした。

「あ……」



「え?」

「何ですか?」

「…?」

グラキエースとティミド、そしてロギオスが首を傾げる。



「本人への確認を忘れてた! ガリー、強引に聖女を救出しても構わない?」



ある意味で済し崩し?で話が進み、状況へガリーは身を委ねていた。

なので此処で確認されるとは思っても居らず、変な声が出てしまう。

「ふぁ?! あ……その…」



「余計な事だった?」

不安そうに尋ねるディーイー。



「そ、そんな訳無いよ! 助け出せるなら、この際手段なん関係ないから!」

とガリーは慌てて答える。

先程までの鷹揚とした姿から一変…急に上目遣いで尋ねられ、そもそも否定的な事を言える筈も無かった。

しかも絶世の美女なのだから尚更だ。



「そう…なら良かった」

ホッと胸を撫で下ろすディーイー。



落ち着いた所でロギオスが間髪入れずに告げた。

「ハクメイ姫の奪還、それと都督殿の奥方ですか…その両方を私に任せて頂けませんか?」



「…!」

狂人の申し出に、ギョッとするシン。

それに続きティミドとイェシンが驚いた表情を見せる。

「「……え?!」」



またグラキエースは怪訝そうに眉をひそめた。

「……」

何か企んでいる…そう勘ぐったのである。

『主君を害する事は無いだろうが……何を企んでいる?』



「………ふむ、こうして卿が自ら申し出るのは初めてだったか。それ相応の理由と自信が有るのだろう?」



ディーイーの問いに、ロギオスは恭しく首を垂れて答えた。

「はい。お任せ頂ければ、上々の結果を御覧入れましょう」



「……分かった、卿に任せる。では聖女の救出はグラキエースに頼もうか」



これにグラキエースも丁寧に首を垂れた。

「承知致しました」



こうして消去法でディーイーがリキの担当となる。

が、しかし…黙々と食事を取るリキは思うのだ。

『俺の意思は確認してくれないんだな…まぁ良いけど……』



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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