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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1549話・魔力波動探知機と生命活動観測機

「話が他に無いなら、私は湯浴みに行かせて貰うわ」

ディーイーはソファーから立ち上がって言った。



これにイェシン都督は引き留める術が見当たらない。

「……」



こうして都督執務室を後にしたディーイーは、ガリーに心配され、シンに詰め寄られてしまう。

「どう言う事? いつものディーイーらしくないよ?」

「サーディク副団長を見捨てると? まさか姫様まで見捨てるおつもりですか?」



「ちょっ!? ま、待って二人とも! 取り敢えずお風呂で話そう」

ディーイーは急ぎ二人を引っ張りながら、その場を離れた。

訳を話すにも、万が一にも都督に聞こえたら不味いからだ。


因みにティミドはと言うと、至極冷静に3人の後に続く。

色々と疑問は有るが主君を信用しており、直ぐに理由が知れると確信していたのだ。


   ※

   ※

   ※


半ば強引に浴場へ連れて来られたガリーとシン。

適度に体を清めた後、今は落ち着いて湯船に浸かっている最中だ。


そしてディーイーは、ティミドに按摩されながら体を洗われていた。

これは按摩にハマったティミドが、是非にと申し出たからである。



流石に焦れたのかシンが言った。

「ディーイー様、いつまで待たせるのですか?」


いつものシンなら、ここまで感情を露わにする事は無い。

それだけ攫われた主人ハクメイを心配している証拠と言えた。



「え…あ、ごめんごめん。直ぐに説明するよ」

そう返したディーイーは、按摩されつつも話し始める。

「実はね、アドウェナの居場所が分からなくても、ハクメイの凡その居場所は見当がついているの」



これにシンが顔色を変えた。

「分かっていながら、どうして直ぐに救出へ向かわないのですか!」



「飽く迄も凡そなんだよ」

『うわっ、めっちゃ怒ってる…』

ちょっとチビりそうになるディーイー。

日頃、物静かで冷静な人間が怒ると、非常に怖い傾向にある…それにシンも漏れないようだ。



「どうして分かるの?」

と首を傾げるガリー。



「え〜と…ハクメイって、私の一角獣(モノケロース)と仮契約してるでしょ。モノケロースとハクメイが朧げだけど魔力の繋がりが続いていてね、それで凡その位置が分かるのよ」



「あぁ〜〜成程、精霊って凄いんだね…と言うか、それが分かるディーイーが凄いよ」



ここでシンが湯船から上がり、ディーイーに詰め寄って来る。

「姫様は何処に?」



「ハ、ハクメイは北東の方角に居るよ。それも相当に距離が離れてる…多分500km以上は…」



ディーイーの答えに、その場に愕然と崩れるシン。

「そんな…姫様……」

この物理的な距離は、人間が急いで追いつけるものでは無い。

もはや万策尽きた…そうシンは確信したのだった。



ガリーは半ば唖然としながら尋ねた。

「500km……じゃぁサーディク副団長は?」



「彼女の位置も凡そ見当がついてる。恐らくハクメイと一緒に連れ去られたっぽい」



「え…? サーディク副団長はどうやって?」



ディーイーは右掌を上に向けて軽く掲げると、淡い光を放つ球体が掌の上に出現する。

それは直径20cm程度の大きさで、中心に幾つかの赤い点が集まっていた。



不思議そうにするガリー。

「これは…?」



「これはね、皆の位置を凡そだけど確認できる魔導具だよ」



ディーイーの答えに、シンが怪訝そうに尋ねる。

「私達の位置を確認? いつの間に…そんな怪しげな事を?」



「ちょっ?! 待って! 別に何も皆にしてないよ。渡した収納魔導具があるでしょ、それを目印にして確認出来るんだよ」



「成程…ですがサーディク副団長は、収納魔導具を持っていませんが?」



「あ~~それは銀冠の女王(ノクス)に命令して、こっそりサーディク団長へ印を付けたんだよ。それをこの魔力波動探知機に登録して、大体の居場所が分かるようにしたの」



「そうでしたか……変に疑ってしまい申し訳ありません」

シンは素直に謝罪した。



「いやいや、気にしないで」

大切な人を攫われた気持ちは、ディーイーも痛い程に理解出来ていた。

『こんな時に色々勘ぐったり焦ったりするのは仕方ないよね…』



「この赤い点が…ひょっとして私達?」

ガリーは興味津々なのか、魔力波動探知機の映像を指でツンツンしながら言う。



「うん、この赤い点が誰なのか、使用者の私だけ視覚化して分かるの。因みに一番外側で淡く広がっている2つの赤い光が、ハクメイとサーディク副団長の物だよ」



「そうなんだ……これじゃ確かに方角だけ分かって、正確な位置は分からなそうだね」



ここで按摩の手を止めていたティミドが怖々(おずおず)と割って入った。

「あのぅ……先ほど副団長は手遅れと仰ってましたけど…」



「ええぇぇえ?!! て、手遅れ?!」

驚いたのか、つい声を張り上げるガリー。



「おいっ! 叫ばないで!」

ディーイーは慌ててガリーの口を塞ぎに行く。

万が一にヤオシュにでも聞かれたら大変である。



「あぅぐぅ…ご、ごめん……」



「詳しく話して頂けますか?」



シンに真顔で頼まれ、ディーイーは溜息をつきながら告げる。

「はぁ……ヤオシュ団長には絶対に黙っててね。え~っと……」

そして左掌を掲げると、魔力波動探知機と似た何かが浮かび上がった。



「先程のとは少し違いますね…点が青いです」



ティミドの言葉に頷くディーイー。

「こっちは仲間の生命状況とかを確認する魔導具で、青いのが問題無く生命活動をしている状態なの。これが少し対照色に変化しだすと、体調不良だったり何らかの負傷をしたと確認出来るわ」



それを聞いた3人は呆気に取られる。

「……」

「凄い……」

「そんな事まで可能なのですか…」



「うん…でも万能では無いから、そこそこ誤差も出るしね。何より距離が分からないから、魔力波動探知機と併用しなきゃいけないし」



ガリーが恐る恐る尋ねた。

「ひょっとしてなんだけど……その外側に赤く反応してる光が?」



「そう…サーディク副団長の反応だよ。残念だけど…ここまで真っ赤になると、死に掛けてると判断するしかないわ」



その時、脱衣場の方から少し大きめの物音がした。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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