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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1537話・都督府前事件

刹那の章IV・月の姫(24)も更新しております。

そちらも宜しくお願いします。

都督府前に無事到着したティミド達。

途中、関所の通過で色々と揉めそうだったが、異様な黄金騎士の集団を見た衛兵等は一斉に逃げてしまう。

都を守る使命が有りながら逃げるとは、何とも情けない話である。


また初めは野次馬が2~3人程度だったが、今では数十人と10倍以上の規模になっていた。

皆、暇なのは間違いないが、それ以上に事件に飢えていたのかも知れない。

それだけ四方京が平和な都市である証拠だった。



都督に裏切られたと言いふらしたのは自分だ…それでも複雑な気分になるティミド。

『人間の心理って矛盾ばかりよね…』



シンが少し心配そうに尋ねた。

「ティミドさん、大丈夫ですか?」

都督府を前にして”怖気づいた”のかと不安になったのだ。



「え? あ…全然大丈夫ですよ。ただ都民は平和ボケしているのかなぁ~と思いまして」



「……確かにそうですね。武力衝突が有るかも知れないのに、これだけ野次馬が集まるとは…」

黙ってはいたが、実はシンも内心では呆れていた。



「野次馬は良いとして…どうするんだ?」

「ちゃんと都督に報告が行ってたみたいだね」

とリキとガリーが言った。


広大な駐車場を挟んだ先に、要塞然とした都督府の府舎が在る。

そしてその前には200人程度の手勢が陣取っていたのだ。

これは明らかにティミド等に対しての迎撃態勢と思われた。



『あの数で私達を止めるつもりなんて…』

舐められているとティミドは感じるが、都合が良いのも確かだ。

相手が此方を侮っているなら、そのまま一気に押し込んで都督の元まで行き易いからである。


「取り敢えず都督に合わせるように要求しましょう」

そう答えたティミドは単身で少し歩み出た。



すると迎撃隊の隊長だろうか…有象無象の中から1人だけサーコート風の男が歩み出て来た。



「私は傭兵団・眠りの森の団長代理です。色々と問題が発生し、それを都督閣下へ確かめに参りました」

とティミドは丁寧且つ端的に告げた。

別に争いたい訳では無く、可能であれば穏便に済ませたい…その為の最低限な礼節である。

『まぁ向こうは潰す気満々みたいだけど…』



これに隊長風の男が直ぐに返した。

「都督閣下への謁見は認められない。正式な謁見手続きを踏んでから来るが良い」



「これは緊急なのです。そちらが切迫していなければ、こちらの要求は無下にすると?」



「手続きとは守らせる為に有る。破らせる為に有るのでは無い!」

全くもって正論だが、時間を稼ぐ意図があるのは目に見えていた。



『成程…一旦退けて、その間に四方京の世論を操作するつもりか』

ならばティミドとしても強引に進める他ない。

「何が手続きだ! 信義にもとる者を守っているだけではないか! ここは押し通らせてもらう!」



「無謀な事を……奴らを拘束せよ!」

隊長の男は躊躇わず号令をかけた。

中隊と小隊…こちらに十分過ぎる程の優位さがあり、制圧するのは容易と考えたのである。


ただ少しばかり懸念点が有るとすれば、厳かな黄金の甲冑を着込む騎士?達だ。

装備では明らかに相手が勝っており、1対1では分が悪い。

だが武力と言うのは結局のところ数が物を言い、多少の被害が出ても制圧出来れば問題は無かった。



最上位個体ヘネラルがティミドの傍に来た。

そうすると呼応したように残りの黄金騎士達も動き、ティミドを守る形で前面に展開する。



「ここは広いので妄執の軍団を全て召喚します。大まかな指示は私が貴方に出しますが、軍団の指揮は任せますね」

そうティミドがソッと告げると、ヘネラルは恭しく頷いた。


ティミドは亡者の指揮杖を握り、その能力を古代魔法語で発動させる。

妄執の軍団(メタリオン)

そうして瞬時に目の前の虚空へ文字列が発現し、その全てを選択して"実行エクテレシィ"に触れた。


直後、背後に表現し難い気配を感じる。

1つでは無い…もはや数え切れない程の気配であり、そこには凄まじい負の波動が含まれていた。



『こ、怖ぇぇ!!』

ゾッとするリキ。

小隊規模でも慣れるのに苦労したのだ…それが二個師団も出現すれば、普通の人間なら正気を保てないかも知れない。

そう思うと相手の迎撃隊が可哀想に思えた。



それはガリーとシンも同じだったのか、気配が背後に出現したのと同時に、その表情が真っ青になる。



対して都督側の中隊は?

ティミド達を半包囲しようと動き出した直後、皆一様に固まってしまった。


また隊長の男も例外では無かった。

突如出現した黄金の騎士が"隊"では無く、"軍"規模で出現したのである。

驚愕しない訳が無く、

「そ、その後ろのは…お、お前の?!?」

とシドロモドロで殆ど片言で問う始末。



頷くティミド。

「そうよ。死にたく無ければ道を開けなさい」



「……そんな馬鹿な」

恐怖と驚きの所為で、その場にヘタリ込む隊長。

直ぐさま掻き集めた迎撃隊が'この中隊規模"だった、なのに相手の女は瞬きの間で軍団を出現させたのである。

『これは夢なのか?!』



訓練を受けた兵士達や隊長でこの有様なのだ、一般人が耐えられる訳も無かった。

黄金騎士の気配に当てられ、野次馬達の大半が腰を抜かし、ある者は失神して倒れ込む者も居た。



そんな人々に一々構って居られないティミド。

「さあ皆さん、都督府に乗り込みますよ!」

そう彼女は仲間に声を掛けた後、颯爽と歩みを進めたのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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