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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1531話・ディーイーと変態紳士(2)

刹那の章IV・月の姫(22)も更新しております。

そちらも宜しくお願いします。

「結界の内部だと…?!」

ディーイーは驚きを隠せなかった。

何故なら、この空間の外縁が魔力で構成されていないからだ。

『どう言う事だ? 結界なら必ず魔力の波動が漏れる筈だが…』


考えられるとすれば、魔法技術を使わない異質な力になる。

しかしアポラウシウスに、そんな芸当が可能なのだろうか?



不思議そうにしているディーイーへ、アポラウシウスは告げた。

「隠していても何れ分かる事をでしょうから、今ここで説明致しましょうか?」



「うぬぬ…」

自分の知らない力が存在する…その事実にディーイーは若干だが自尊心が傷付いた。


『思い当たる節は幾つか有るが…』

それでも問答するのが面倒臭く、尚且つ自尊心よりも興味が優ってしまう。

「うむ、教えてくれ」



『意外と素直だな…』

もっと愚図るかと思っていただけに、アポラウシウスは拍子抜けした。

「…分かりました。実は私の力の根幹には、暗黒神の加護が大きく影響しているのです」



「…! 成程、それなら合点がいくわ。でも、そんな手札を私に教えて後悔する羽目にならない?」



「フフッ…ディーイー様なら直ぐに看破するでしょうし、なんとなく察していたのでは?」

と揶揄うように返すアポラウシウス。



これにディーイーは少し思考してから返した。

「……どうだろうな。卿と直接相対したのは一度しか無い。あの時は互いに能力を見せなかったし」



この絶世の美女との初邂逅から、どうしてかアポラウシウスは随分と経った気がする。

それだけ色々な事が有った証拠だろうが、まさか敵対しない関係になるとは、当時の自分は思いもしなかったに違い無い。



「で…卿が契約?している暗黒神の加護で、この結界を張っている訳か。効果は外部との相互干渉を断つ…そんな所だな?」



「流石はディーイー様ですね、仰る通りです。只、防御的な効果は皆無に等しいので、万が一に特定されれば危険ですよ」



ディーイーの中で疑問が過った。

『んん? 相互干渉を断つなら、当然に物理的な影響も断つ筈だが…』


ひょっとすると認識させない隠蔽結界なのかも知れない。

つまり存在力を消失したように見せ掛けるのだ。

「そうなると、やっぱり此処は迷宮の最深部なのだな?」



「はい。私的には地上に戻っても良かったのですが、それだとディーイー様の都合に沿わないかと考えました」



「そうか…それで敵地ながらも留まった訳か」



「左様です。余計なお世話でしたか?」



アポラウシウスに問われ、ディーイーは自嘲が漏れた。

「フッ…卿が居なければ危なかったのだろう? 十分に助かったし、後の配慮も満点だよ」



「恐縮です」

そう恭しく返した後、アポラウシウスは真剣な声音で尋ねる。

「これから如何されますか?」



「如何すれば良いと思う?」

質問に対して質問で返すディーイー。



『遊んでいるのか? いや…』

こちらの状況を配慮しての事だとアポラウシウスは察した。

「急遽駆け付けましたが、ここに居られる時間は後僅かです。申し訳有りません…」



「だろうな。そう簡単に1000km以上の距離を"一瞬で渡れる"訳が無いよね」



「…!」

ディーイーの指摘に、背に冷たい汗が流れるのをアポラウシウスは感じた。

『やはり看破されていたか…』



「私が考えるに、その体は擬体だな。原理までは良く分からんが擬体を遠隔操作している…だろ? そして擬体には活動限界が存在する。だから"後僅か"と言ったのだな」



「フフフッ…フフッ…」



突然笑い出したアポラウシウスに、ディーイーは態とらしく首を傾げて尋ねた。

「違ったか?」



「フフッ…お見それ致しました。正直、ここまで詳細に言い当てられるとは思いませんでしたよ。ですが何故に見抜けたのですか?」



「それは…」

自分も似た様な事をしていた…なんて言えないディーイー。

『うむむ…どうやって誤魔化そうか』


ディーイーが擬体の活動試験をしたのは、初めて東方を訪れた時だ。

当時はティミドの要請を受けて東方へ出張ったのだが、女王が自ら出向く事に身内から猛反対されたのである。

そこで試験運用も済ませていない擬体を、仕方無く代わりに向かわせたのだった。


当初は上手く運用出来ていたが、"断線"する事態に遭い制御を失う羽目に。

そうして色々有った末に、結局は自分が出向いて擬体を回収する事となった。


こんな事を一々説明するのは面倒で、そもそも機密なので話せる訳も無い。

『う〜ん…困ったな』



この困っている様子を"焦らしている"…と勘違いするアポラウシウス。

『勿体ぶって私を試しているのか? 中々に嫌らしい事をされる…』


「貴女は私の擬体イミタシオンを一度も見ていない筈。なのに見抜いたのは、お身内からの情報を元に看破したのですね?」

などと自分から"無意識"に駆け引きを放棄してしまう。



これをディーイーが利用しない訳が無い。

『あ…そうか。確かフィートとアグノスを救ってくれた事が有ったな』

しかもその後に至近距離から爆炎魔法を受け、アポラウシウスが消し飛んだと聞いていた。


しかしアポラウシウスは再び現れて箱舟アルカを襲撃したのである。

「え〜と…私が確信したのは、卿が箱舟アルカを襲撃したからだよ。あれが無ければ多分気付かなかった」



「そうですか…」

と溢してアポラウシウスは項垂れてしまった。



『うはっ! この男にしては珍しいな』

笑いそうになるのを堪え、ディーイーは告げた。

「この結界が消えるのは、後どのくらい?」



「……私が消失すれば即座に解除されます。そして私の活動限界は…持って後10分でしょうか」



「早っ!」

余の切迫さに、つい声を張り上げてしまうディーイーであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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