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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1529話・変態紳士…最大の危機

刹那の章IV・月の姫(22)も更新しております。

そちらも宜しくお願いします。

ディーイーを直視しないよう心がけ、何とかショーツを穿かせる事に成功したアポラウシウス。

その結果、彼の背中と仮面の中は汗だくになってしまう。



しかしディーイーは辛辣な事を言い出す始末。

「穿かせるだけなのに随分と時間が掛かったな…」



『人の気も知らないで!』

と怒鳴りたい所を、アポラウシウスはグッと堪えた。

「申し訳有りません。なにぶん女性の世話は慣れておりませんので…」



「そうなのか? 意外と奥手なんだな」



『奥手…』

まさかの言われように、アポラウシウスは半ば唖然とする。



「何してる…早く上の下着も着けてくれ」

恥ずかしいなどと言いながらも、そこは世話され慣れているディーイー。

もはや"男に着付けされる"など、全く意に介していない状態だ。



「上……」

寝かせたまま着けるなど無理…そうアポラウシウスは即座に悟った。

『確か…形が崩れないよう丁寧に……』

下着へ"入れなければ為らない"

つまり直に触れ、細かな位置調整が必要なのである。


そんな事を出来る訳も無い。

「ディ、ディーイー様! 上の方は更に難易度が高く、相当に御身へ触れる必要が有ります。これは流石に…」



「な〜にを思春期みたいな反応をしておる。いい大人がガタガタ言うで無い! 早くしてくれ」



アポラウシウスも十分に分かっていた。

ここで仮に下着の着付けを回避出来ても、そのまま衣服を纏えば大変な事になると…。


豊満すぎる双丘は衣服など物ともせず、その美しい形を如実に露わとするだろう。

加えて衣服との摩擦で、二つの突起が顔を出すのも明白だった。


「はぁ……後で色々と文句を言わないで下さいね」

全てを諦めたアポラウシウスは、溜息をついて言質を要求した。



「ん…? 文句? 言う訳が無いだろう。頼むから早くしてくれ、段々寒くなって来た」

とディーイーは弱々しく答える。


瞳が半開きなので良く分からないが、ここが未だに迷宮内部なのは間違いないと思われた。

しかも最深部なので地上との温度差は、恐らく10度以上はある。

このままでは低体温症に成り兼ねない。



「は、はい! 今直ぐに」

アポラウシウスは急ぎ下着を手に取ると、ディーイーを背中から支えて上半身を起こす。

すると大きく美しい双丘がプルンッと揺れた。


絶世の美貌とは、只それだけで人目を惹きつけて止まない…それが裸体なら尚更だ。

アポラウシウスも意識して視線を逸らすが、逸らし切れずに視界に入れてしまう。

「…!!」



急に動かなくなったアポラウシウスに、ディーイーは怪訝そうに尋ねた。

「おい、どうした?」



硬直していたアポラウシウスは我に返ると、慌てて目を逸らして言った。

「これは最早拷問ですよ…」



「拷問って…つまり据膳が有るのに食えないからか?」



まさかの問いでアポラウシウスは再び慌てた。

「食うなんて滅相も無い!」



「ほほう…以前の卿は、私を殺そうとしていたのに? この後に及んで躊躇うとはな」



「あの時は…私の障害となると判断したからです。それに殺そうとはしていません」



「じゃあ何で箱舟アルカにも襲撃したのだ?」



「それは…」

アポラウシウスは答えあぐねた。


当時、プリームスの元に集まる強大な武力を、未来を見据えて警戒したのは確かだ。

その最たるものが剣聖インシオンだったのだが、それを今更になって申し開きした所で詮無い。

何故なら既に手遅れであり、今後が如何に進むか楽しみな自分が居たからだった。



「まぁ良い。以前はどうあれ今が敵で無ければ、私としても卿を排除する理由は無い。何より身内や私を救った借りもあるし…武國での件もあるからな」



「恐縮です…」

つい下手に出てしまっている自分に、アポラウシウスは内心で自嘲した。

『まさか、この私が畏怖や畏敬を覚える相手が存在するとはな…」



「へっ、ぶしょいーい!!」



豪快なクシャミを放ったディーイーに、体がビクッと跳ね上がるアポラウシウス。

「お、脅かさないでください」



「卿が早く着せてくれないから、風邪を引いたかも知れん…」

などと返しながらディーイーは鼻をズビズビさせた。



「これは失礼しました。直ぐに着付けさせて頂きますので、もう暫くのご辛抱を」

と返したアポラウシウスだが、胸の下着を着けさせる事自体が最大の難関と言えた。

『うむむ…これ以上は手間取って居られませんね」


仕方無く意を決し下着を着付け始める。

そうして胸に装着するまでは、意外に安易と進むが…問題は此処からだった。



「おい…着けるだけでは意味が無いんだぞ。ちゃんと手で寄せて、支えるように下着に収めないと」



ディーイーの指摘に、愕然とするアポラウシウス。

「な…?! それを私にさせるのですか?!」



「まともに瞼さえ開かず、体も動かない私にさせる気か?」



「うぅぅ…失礼しました」

ここまで来たら覚悟を決める他無い。

右手が震えそうなのを必死に堪え、アポラウシウスは胸の下着に手を差し込んだ。



するとディーイーが妙な声を漏らす。

「んん…ぅん…」



「ちょっ!? 変な声を出さないで下さい!!」



「し、仕方ないだろ! 出ちゃうんだから!」

このディーイーの言い様は完全な開き直りである。



『くっ…もう滅茶苦茶だな』

アポラウシウスは頭を抱えそうになりつつも、済ませねば何も終わらないので何とか我慢した。

こうして慣れない手付きで胸の位置を調整し、何とかディーイーの満足が行く状態に収まった。



「やれやれ…ここ何百年と男に胸など触らせた事は無いぞ」



ぼやくディーイーを前に、アポラウシウスは溜息ばかりが漏れたのであった。

「はぁ……左様ですか……」



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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