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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1481話・南南東の大迷宮

刹那の章IV・月の姫(9)も更新しております。

そちらも宜しくお願いします。

南門省最大の試練の迷宮は、南町の最東に存在する。

そして付けられた名称が南南東大迷宮…如何にも安易な名付けだが、これには理由が有った。

実は試練の迷宮への入り口は1つでは無く、この南門省・四方京に幾つも点在しているからだ。


また実際に機能している入り口は4箇所で、南南東の入り口が一番に栄えた。

その起因は港が直ぐ側に有り、物資の搬入や拠点の作り易さに理由があった。


次に利用される入り口は南南西だ。

ここは交通の便が良く、陸路による行商の要に因って栄えた。


他にも北と西入り口が有るが、こちらは余り利便性が良く無い。

そもそも北入り口は都督の管理下にあり、都督の許可が無ければ使用出来ないのだ。


西入り口はと言うと、数年前に大規模な崩落事故が起こっていた。

現在は調査と復旧の目的でしか降りれず、素材を得られない為に大した実入にならない。

故に西入り口で活動する冒険者や傭兵は、その殆どが居なくなってしまった。

居るとすれば実績の無い駆け出しくらいだろう。


こうして最も利用される入口が南南東となり、試練の迷宮の名称が「南南東の大迷宮」となった訳だ。

因みに入口は幾つも在るが1つの迷宮に繋がので、南南東から入って南南西から出る…と言う事も可能ではある。

余り使われない方法だが、迷宮での成果を陸路で捌く場合は選択肢に含まれるのだった。




「ほほう…ここが迷宮の入口か」

馬車から降りたディーイーは、100mほど先に見える巨大な建物を見て呟いた。


それは傭兵ギルドよりも巨大で、尚且つ頑強そうに思える。

そもそも建物と言えるのか怪しい程で、無骨で無機質な外観をしていたのだ。

それは巨大な三角錐…このような奇抜な外観は類を見ない。



「厳密には入口では無く、それを囲む防塞ですね。まぁ一般の防塞とは意味が真逆ですが…」

と傍に来たサーディクが告げる。



「成程…真逆の防塞か。つまり迷宮から出てくる可能性がある魔獣を、ここで食い止める為の仕組みなよね?」



「はい、基本的には人程度の大きさしか無い下級の魔獣、またはアンデット対策ですね。最も危険な魔獣などは最下層に居ますし、それに個体の体躯が大き過ぎて上がって来れませんから」



「ふむ…どこの世界も大体は同じ仕組みぽいか」

『でも巨大な三角錐は初めてだな…』



ディーイーの呟きに、サーディクが怪訝そうに首を傾げた。

「どこの世界も…ですか?」



「あ…いや何でも無いよ、こっちの話だから。それよりも迷宮の核の位置とか、若しくは主とかは分かってるの?」

ディーイー的に一番知りたいのは、最終的に迷宮を閉じるための方法だ。

迷宮核だけなら楽だが、それを利用した主が居るなら話は変わってくる。



「ご存知かと思いますが、この迷宮の発生は100年前に仕掛けられた"工作"が原因です。国は特定出来ていませんが…ですから基本的に核を破壊すれば、当然に迷宮を閉じる事が可能となります」

そこまで答えたサーディクは、憂いを帯びた表情で続けた。

「でも、そんな簡単な話では無いのです…」



『これは…何か複雑な事情が有りそうね』

「まぁ良いわ、立ち話でするような事でも無さそうだし。取り敢えず迷宮に入ろう」



勝手に歩き出すディーイーに、ここに来るまで終始無言だったリキが慌てて止めた。

「おいおい! 直ぐには入れねえぞ! 先ずは関門で受け付けてからだ」



「え…? あ〜〜何かそんな事言ってたわね」



「そうだよ…迷宮での犯罪防止と事故防止に、ちゃんと名簿に足取りを残さないといけないよ」

後から来たガリーが苦笑いを浮かべながら言った。



「んん? あの三角錐に向かえば良いんじゃ無いの?」



すると苦笑しながら補足してくれるサーディク。

「フフッ…その手前に迷宮関所が有ります。今からご案内します。あ…もう馬車は無用でしょうから、帰しておきますね」



これに透かさずシンが頭を下げた。

「副団長殿…色々とお手間を掛けます」

初対面時の衝突は何処へやら…である。



「いえいえ、お気になさらず。ささっ、皆さんこちらですよ」

そう告げたサーディクは御者に目配せして、皆を先導するように歩き出した。



「副団長殿~~私は”あの馬車”で良いんだけど、迷宮関所の近くに停めておけないかしら?」

同じ型の馬車を譲って貰える言質を得たが、目の前の馬車が欲しいとは全くもって性急せっかちである。



ディーイーに突拍子も無い事を言い出され、今度はサーディクが慌てて馬車を止めた。

そうして困った様子で問い返す。

「その…あの馬車で良いと言われましても、迷宮に潜っている間の管理はどうされるのです? 一応は駐車場を借りる事は出来ますが、お金が掛かりますし、何より事前に決めた時間か日数しか借りれませんよ?」



「あ…そっか。一旦迷宮に潜ったら、いつ戻れるか分からないものね。でも大丈夫よ、人目を避けれる場所に馬車を誘導してくれる?」

などと笑顔で返すディーイー。



『えぇぇ…?!』

目の前の絶世の美女が何を企んでいるか分からず、サーディクは困惑するばかりだ。

しかしながら想像を絶する規格外の事を、仮拠点で見せられた所でもある…今更になって信用できないとも言えない。

「で、では馬はどうすれば?」



「馬は要らないよ。御者さんに連れて帰って貰える?」



「そ、そうですか……分かりました」

こうして仕方なく聞き入れたサーディクは、再び皆と共に馬車へ乗り込むことになる。

そして目的地は、迷宮関所と真逆の東へ少し歩いた場所……埠頭に在る倉庫地区だ。

そこならば今は使用されていない倉庫もあり、人目も避ける事が可能だろう。


『でも良い機会かも知れないわね…』

何をしでかすか分からないが、戦闘とは別にディーイーの能力を計れるのは間違いない。

度肝を抜かれる事は間違いないだろうが…そう思う事で自身を落ち着かせるサーディクであった。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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