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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
刹那の章IV・月の姫 (短編集)
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刹那の章IV 月の姫 予告

私は月が嫌いだった。

夜闇を照らす灯りは、私には何の恩恵も無いからだ。



私は美しい月が嫌いだった。

地べたを這う地虫のように、自分が卑しい存在だと認識させられるからだ。



私は天上に鎮座する、神の如き月が嫌いだった。

宿命からは逃れられない…見下ろす月が、そう言っている様に思えるからだ。



私は……自分自身が嫌いだ。



「何もかも壊れて無くなってしまえば良いのに…」



そう少女が呟いた時、何者かの声が聞こえた。

「それは困るな。私は何も始めていないと言うのに」



「誰…?」

少女が振り返ると、そこには仮面を付けた男が立っていた。



「私が誰なのか、今の貴女に必要な情報ですか?」



小首を傾げる少女。

「…? そうね…どうでも良いのかも知れない」



「フフッ…何とも張り合いの無い娘ですね。それに…」

その先を口をする事へ男は戸惑いを覚えた。

少女が見るも無惨な格好だった為だ。


身につける物は正にボロ切れ。

加えてボロ切れから覗く細い手足は、傷だらけで見るに堪えない。


「貴女の名前は?」



「名前…?」

またもや不思議そうに首を傾げた。



「やれやれ…貴女を産んだ親は、名前さえ付けなかったのですか…」



「親と言う概念は私に必要ない。それが私であり、そうやって代々受け継がれて来たのだから」



「そうですか…」

仮面の男は少し落胆した様子で相槌を返し、それから片手を差し出して続けた。

「私と共に行きましょう」



「どうして?」



「私は長い間、貴女を探していたのです。それに、貴女も"今"に嫌気が差していてのでは?」



「……」



「何も変わらない"今"か、激変する未来か…好きな方を選んで下さい。私は貴女の意思を尊重しましょう」



少女は俯きながら問うた。

「……私を傷付ける存在も居なくなる? もう戦わなくても良いの?」



「きたる時まで"失えば"、貴女を害する存在には見つからない筈です。それを私が成してみせましょう」



「貴方が私を守ってくれるの?」



「守る必要が有れば、そうしますよ」



少女は差し出された手を怖々(おずおず)と取った。

「私…自分が嫌いなの。でも…これから好きになれるかな?」



「……はて、それは貴女次第かと」



「フフッ…そうね……」

その時、私は初めて笑った気がした。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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