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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1436話・火炎島で顔合わせ(3)

「出来れば呼びたくなかったけど…任せられるのは1人しか居ないかな」

そうプリームス(ディーイー)が呟いた直後に、拳大の宝珠が突如姿を現す。

それはディーイーの上をフワフワと浮いており、高度な魔導具なのは明らかだった。



「これは……シンに付けた物と同じですよね?」

とハクメイが言った。

シンはハクメイの専属侍女で、以前に暗殺されるのを警戒した事があった。

その際に攻防一体の機能を備える宝珠を、ディーイーが護衛としてシンに付けてくれたのである。



『何をされる気だ?!』

あまり良い予感がしないホウジーレン。



居合わせたガリーとリキは良く分からず、固唾を飲んで見守る。

「「……」」

只一つ分かるのは、ディーイーの行為は規格外で突拍子も無いと言う事だけだ。



そしてティミドはと言うと、凡その推測が付いていた。

何故なら、この宝珠の製作者が誰か…それを知っていれば自ずと答えは出るからだ。


だが軍事支援の指揮をするには、火炎島かヘイス公国に居なければ為らない。

本国に居る場合や、或いは任務で他の地域に居れば、とてもでは無いが直ぐに駆け付けられない。



「うん…この宝珠で連絡を取るよ。それで直接来て貰おう」

などと然も問題無いように返したディーイーは、宝珠にソッと右手を添えた。


そうして待つこと5分…。

ディーイーは右手を離すと一同に言った。

「直ぐに来てくれるそうだ。只…また騒がしくなるから、そこは我慢して欲しい」



「え? 直ぐ…ですか?」

ホウジーレンは半ば唖然とした。



「うん…火炎島の座標と帰送点の情報は、この宝珠で共有してるからね。直ぐに来れるよ」



ディーイーの説明に、ハクメイは期待で胸が高鳴る。

今から現れる人物がディーイーに匹敵する実力者だからだ。


しかしその反面、為人が分からない上に性別も分からないので、色々と不安になってしまう。

『お姉様のお気に入りの人だったらどうしよう…』



そうして更に5分ほど待つと、外から地響きのような轟音が聞こえた。

これに直ぐさまホウジーレンが窓を開けて確認する。

「あれは…!」

ディーイーが次元魔法とやらを使った?時と同じ現象を目にした。



またティミドとディーイー以外は窓に駆け寄り、何者が来るのか気になって仕方が無い様子だ。



轟音が止んで暫くすると、天空の巨大な白渦が消えて何かが降りて来るのが見えた。

しかしながら余りに遠い為、直ぐには人なのか物体なのか区別がつかない。



「んんん? ん?! ん!!」

何かに気付いたリキが、咄嗟に目を逸らす。



「え? どうしたの…リキさん?」

怪訝そうに尋ねるガリー。



「いや、その……俺と領督殿は見ない方が良い…かも」

などと歯切れ悪くリキは答えた。



そうこうしていると天空から降り立った存在は、皆が視認出来る距離まで近付く。

すると一同は色々と驚く羽目に……何と半裸の女性が飛行魔法?で此方へ向かって来ていたのだ。



「えっ!? ちょっ?! 何事!?」

つい声を上げてしまうガリー。

その半裸姿が非常に艶かしいのだから尚更だ。



ハクメイは直ぐに父親ホウジーレンの両目を押さえに行った。

「お父様は見ては駄目です!!」

などと言う自分は棚に上げてガン見である。

『うわぁ……凄い色っぽい…』



とうとう窓際までやって来た人物は、褐色の肌を持つ麗人グラキエースだった。

「プリームス様、遅れて申し訳有りません。実は湯浴みをしておりまして…この様な格好で失礼致します」



グラキエースの第一声にズッコケそうになるティミド。

『おいおい! せめて何か羽織って来て欲しかったわ』



「あ〜〜ごめんね。急に呼び出した私が悪かったよ」

対してディーイーは気にした風も無く、ソファーに寝そべったまま怠惰に返した。



色々と呆気に取られそうになるハクメイ。

『えぇぇ?! この人は何者なの!?』

今の会話と"その格好"から、この褐色麗人がディーイーと相当に距離が近いのを窺えた。

またもや現れた競争相手?に、ハクメイの中で危機感が増すばかりだ。



ホウジーレンが目を押さえられたまま、困惑した様子で尋ねた。

「その…貴女は一体どちら様で?」



「あ……これは失礼しました。私はプリームス様の臣下のグラキエースと申します。非公式ですが、一応は永劫の騎士(アイオーン・エクェス)を拝命しております」

と丁寧に自己紹介をするグラキエース。

しかしタオルを体に巻き付けただけの姿なので、全くもって格好がつかない。



「わ、私は火炎島の領督ロン・ホウジーレンと申します」

『非公式の永劫の騎士(アイオーン・エクェス)だと?!』

驚愕するホウジーレン。

それは要するに聖女王にとって、暗に"秘匿戦力"なのを物語っていた為だ。



「あのぅ……グラキエースさん…体中濡れたままですし、ちゃんと拭って服を着た方が良いのでは?」

ティミドは遠慮気味に言った。

相手が初代ペクーシス連合王国の女王だけに、強気に言えないのは仕方ないだろう。

何せティミドは"元"ペクーシス連合王国の国民なのだから。



「あ…そうですね。お見苦しい姿を晒してしまいました」

そうグラキエースは言った後、窓から執務室に入り体を拭いだす…その体に巻いていたタオルで。



「ちょっ、グラキエースさん!! こんな所で真っ裸にならないで下さい!」

結果、ティミドが慌てて止める羽目になる。



そして傍で直視してしまったハクメイは、ついディーイーに囁いてしまう。

「す、凄いですね…引き締まってるのにバインでボインでしたよ!」



「そうでしょ。グラキエースはウチでも特に良い体付きをしてるからね!」

などと2人で盛り上がるディーイーであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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