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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1434話・火炎島で顔合わせ

「お姉様!」

感極まった様子でディーイー(プリームス)に抱き付くハクメイ。



「ぐぇっ!」

絶不調のディーイーはハクメイを受け止めきれずに倒れる羽目に。



「プ、あ…! ディーイー様!」

プリームスと呼びかけて、咄嗟に思い止まるティミド。

その所為で倒れ込むディーイーを抱き止め損なってしまった。



「え、あれ?! お、お姉様! 大丈夫ですか?!」

押し倒しておいて心配するハクメイ。

しかしながら、いつものディーイーなら上手く勢いを流していた筈なのだ。



直ぐにディーイーを抱き起こし、ティミドはハクメイに告げた。

「貴女がハクメイ姫ですね。私はディーイー様の守護騎士ティミド・ヘイスと申します。実は…」



「え……」

掻い摘んだ説明で凡そを知ったハクメイは、ディーイーに同行して来た2人を見つめ半ば唖然とした。

『この2人がお姉様のお仲間?!』

言い方が悪いかも知れないが、余りにも無骨で粗野に見えたからだ。


それに対して守護騎士と名乗ったティミドは、毅然としていて身なりも整然としている。

こんな対照的な人間を混在させて大丈夫なのか、正直なところ心配で為らない。


そしてハクメイは直ぐに気付く…ティミドが永劫の騎士アイオーン・ヴァスリオだど。

つまり家出とは、とても言えない状況なのだった。

こうなると龍国へ視察旅行か、或いは帰る事となる筈だ。

「え〜と…お姉様は龍国へ向かわれるのですか? それとも本国へお戻りに?」



これにディーイーはティミドに抱っこされたまま答える。

「龍国へ向かう…勿論ハクメイも一緒だ。それにガリーとリキさんとの再会は偶然で、本当に運が良かったよ」



「そうなのですか……で、ティミドさんは…」

何で付いて来るのか?…とは流石に訊けず、ハクメイは言い淀んでしまう。



小声で答えるティミド。

「私は永劫の騎士(アイオーン・エクェス)です。主君に付き従うのは当然でしょう。後は悪い虫が付かないよう見張らなければ為りませんしね」



ハクメイは会って早々に牽制されムッとする。

『この人…私をお姉様に近付けないつもり?』

ディーイーから関係を聞いているなら、そんな事が出来る訳が無い。


なら立場を弁えて、過剰な接触は控えろと言う事だろう。

『私がポッと出だからって…』

舐められてると感じた。



そんな2人の空気に挟まれたディーイーは、居た堪れなくて仕方が無い。

『ちょっ!? いきなり初対面で険悪って…』


兎に角は、これから行動を共にするのだから、このままでは駄目だ。

「え〜と…皆んな仲良くしてね。そうでないと私は1人で龍国に向かうよ」

正に最終手段な一言である。



「待って待って! 俺は何もしてないし言ってないよ?!」

「そうだぞ!」

と慌てて割って入ってくるガリーとリキ。



そんな時、咳払いが一同の後ろから聞こえた。



「あ……ホウジーレン殿」

現状で一番迷惑しているであろう人物を見て、うっかりした風にディーイーは名を呟く。



ハクメイの実父であり、また火炎島の領督であるロン・ホウジーレン。

彼は"この騒ぎ"を確認する為、手勢を連れて中庭に駆け付けていたのだった。

「貴女が無茶苦茶なのは分かってはいたが、これ程に再登場がド派手とは思いもしませんでしたよ」



疲れた様子でホウジーレンに言われ、ディーイーは苦笑いで謝罪した。

「ごめんごめん! 多分、凄い音がしたよね…皆んなを驚かせて申し訳ない」



「自覚が有って何よりです。で、説明して頂けますね?」



ディーイーとホウジーレンの遣り取りを見たガリーは、ソッとハクメイに尋ねる。

「ハクメイ姫…ひょっとして、あの方は火炎島の領督様ですか?」



頷くハクメイ。

「はい、私の父です。それと私の事は姫付けしなくて結構ですよ。お姉様と島を出ますし、只の旅行者か冒険者になるのですから」



「そ、そうですか…」

毅然としているハクメイに、ガリーは少しばかり気圧された。

『流石は領督の娘ね…受け答えもしっかりしてるわ』



そうこうしているとホウジーレンが手勢を解散させ、恭しく道をディーイーへ指し示めす。

「さぁ私の執務室に向かいましょう。詳しい話はそこで…」



「うん、分かったわ」






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






執務室に案内されたディーイーは、直ぐにホウジーレンから2つ問い正される。

1つは居城上空で起こった凄まじい轟音、それに伴う上空の巨大な白渦。

もう1つはディーイーの状態だ。



ソファーに横になったディーイーは、先ず1つ目を掻い摘んで説明した。



「……つまり聖女陛下を含めた4人を転送するのに、大掛かりな次元魔法を使ったと。その弊害が先程の轟音に白渦だと…」

とホウジーレンが要約して言ったのは、しかと自身に認識させる為だ。

それだけ非常識だったと言う事だろう。



因みに他の者は、皆思い思いの場所で寛いでいる。

ガリーはディーイーが使う対面のソファーに座るが、リキは床へ胡座でドッカリと座る始末…とても領督相手に取る態度では無い。


またティミドとハクメイは、何故かディーイーの後ろへ控えるように立つ。

この2人からは、誰が見ても妙な緊張感と距離が窺えた。



「騒がしくしちゃって御免ね…」

このディーイーの軽い謝罪は、全く悪びれた様子も感じさせない。



「はぁ……まあ良いでしょう。それで聖女陛下は随分と体の調子が悪い様子…如何されたのです?」

内心でホウジーレンは気が気で無かった。


永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの聖女王に何か有れば、その軍事支援に頼る火炎島の計画は御破産になる。

この少人数で龍国に向かうのも、本音で言えば見過ごせないくらいなのだから。



「え〜と……身内との再会に盛り上がっちゃって……」

などと言い淀みながら答えるディーイー。



これに居合わせたリキやホウジーレンは小首を傾げる羽目に。

要領を得ない説明なので当然だ。



そして見兼ねたティミドが、ソッとホウジーレンへ耳打ちした。

「実は…私がディーイー様の夜伽をしたのですが、いつも増して頑張られたので、その弊害が出てしまいました」



一気に顔が赤くなるホウジーレン。

そこから直ぐに真顔に戻り、次は溜息をついて頭を抱えた。

『はぁ……英雄色を好むと言うが…』

屈強な体躯ならまだしも、ディーイーは触れれば折れそうに華奢なのだ。

程々にして欲しいと思えて為らないのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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