表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
1524/1769

1431話・狭間の世界

ディーイー(プリームス)はロギオスの魔力補助を受け、次元魔法を発動させた。

狭間の門インテル・アングスティアス・ポルタ



直後、主城ウラニオトクスの上空から轟音が鳴る。



「え?! な、何?!」

ガリーは何が起こったかのか理解出来ず、窓辺へ駆け寄った。


そして遥か上空を見上げて驚愕する羽目に。

何と巨大な白い渦が現れ、その中心に漆黒の口が開いていたのだ。

正に別世界の口の様に、そこへ吸い込まれれば二度と戻れない…そんな考えをガリーに抱かせた。



「あれは…一体何なんだ?!」

リキも窓辺から天空を見上げ、半ば呆然と呟く。



ティミドも2人に続き窓辺から空を見上げ、その魔力の根幹を感じゾッとした。

『これは魔法なの?!』


メディ.ロギオスが現れた際に、これと対照的な闇の渦を発生させた。

あの渦は明らかに禍々しさを湛えていたが、プリームスが起こしたであろう白い渦は、根幹が異質過ぎて自分の本能が忌避きひしている様に思える。

そう…人間にとって禁忌、若しくは触れては為らない神域なのかも知れない。



「大丈夫…あれは狭間世界インテル・アングスティアスへ通ずる門なの。でも人が入って生きて居られる世界では無いから、きっと皆はおぞましく感じちゃうでしょうね」



ディーイーに説明されるが、全く理解出来ないガリーとリキ。

「インテル・アングスティアス…?! 門…? そんな物を発現させて転送魔法と何の関係が……」

「イン…アング…?!」



しかしティミドは漠然としてはいるが、凡その原理を勘で察していた。

「ひょっとして狭間世界インテル・アングスティアスを通って火炎島に向かうのですか?」



頷くディーイー。

「うん、狭間世界インテル・アングスティアス内に超重力特異点を発生させて次元を縮めるの。そうすれば火炎島に設置した帰送点が凄く近くなるからね」



「超重力……何かで読んだことが有ります。確か理論上では、超重力を引き起こせれば空間を捻じ曲げて距離を縮められると……でも、わざわざ狭間世界インテル・アングスティアスを使う必要があるのでしょうか? と言うか…狭間の世界インテル・アングスティアスって何のです?」



このティミドの疑問に、透かさずロギオスが答えた。

「現実世界や、その表裏一体である精霊界アストラスサイドで超重力を引き起こせば、限定的範囲では有りますが次元崩壊を引き起こします。そうなれば東方だけで無く、この大陸自体へ多大な破壊的影響を与えるでしょう。ですから狭間の世界…インテル・アングスティアスで超重力を起こすのです」



「理論は分かりますが…そもそも狭間の世界が分かりません」

合点が行かなそうに返すティミド。

彼女からすれば紙をハサミで切るのに、ハサミを知らない位に事前知識が無いのだ。

合点が行かなくて当然だった。



するとロギオスは少し疲れた様子で言った。

「やれやれ…知能以前に、知識水準が合わないと会話が成立しませんからね。仕方ありません…端的に説明しましょう」



『くっ…この男!』

物凄く苛立ったが、ティミドはグッと堪える。

「はい…お願いします」



「狭間の世界とは、この物質世界と精霊界アストラルサイドの間に存在する領域です」

ロギオス曰く、その狭間の世界は薄い二次元に近い状態で存在し、その所為で基本的には人が出入り出来ないらしい。

また物質世界や精霊界へ布の様に張り付き、両世界の座標を共有しているのだそうだ。


つまり超重力で狭間の世界を収縮させた場合、現実世界の座標情報も引き寄せる。

これにより目的地へ斥候魔法エクスプローラートルを飛ばす距離も縮まる訳だ。



「な、成程…大体の理屈は理解しましたが、余りにも途方もない事なので実感が湧きませんね」

正直、頭で理解出来ても、ティミドの気持ちは釈然としないままだ。

『それだけ人智を超えてるって事なんだわ…』

全くもって主君の凄さに驚愕するばかりだ。



そうこうしているとディーイーが次の段階へ進む。

「メディ.ロギオス。次が一番の肝よ…魔力補助を怠らないでね」



ディーイーの手を握ったまま、ロギオスは静かに頷いた。

「承知しました。いよいよ超重力の発現ですね」



「うん…行くわよ。きっと魔力がゴッソリと奪われるから気を付けて」

そう告げたディーイーは、間髪入れずに魔法を発動させる。

"超重力特異点ハイパーグラビティ"



直後、ロギオスの中から凄まじい量の魔力が抜け出した。

『これは…楽観的だったかも知れませんね』

仮に自分以外が魔力補助したのなら、恐らく枯渇死していたに違い無い。

それ程に恐ろしい魔力消費量なのだった。



「フフッ…他者の魔力を借りるのは、何だか妙な気分ね。でも助かったわ…これで斥候魔法エクスプローラートルを並行操作出来るわ」

刹那、プリームスの真上に浮かんでいた黒球が、超高速で窓から飛び去って行く。



「左様ですか……それは上々でなによりです…」

などとロギオスは飄々と返そうとするが、その声音には何時もの余裕が感じられない。



それを目の当たりにしたティミドは不安が増すばかりだ。

「大丈夫なのですか…?」



「私は大丈夫。もう斥候魔法エクスプローラートルは、火炎島の帰送点に到着したわ」

とベッドに横たわったまま答えるディーイー。


片やロギオスは少し俯いた姿勢で答える。

「問題ありませんよ。今はね…」

しかし顳顬こめかみから一筋の汗が滴っていた。



『プリームス様が大丈夫でも、メディ.ロギオスが…』

恐らく片方に何か有れば、この転送魔法は失敗に終わる。

否…下手をすれば両者とも只では済まないだろう。

それを肌で感じたティミドは、咄嗟にロギオスへ励ましの言葉を掛けてしまう。

「メディ.ロギオス! 貴方の力は、その程度なのですか? しっかりして下さい!」



それは励ましと言うより、どちらかと言えば叱咜しったと言えた。

だがロギオスには効果が有ったようだ。

「フフッ…まさか、貴女のような小娘に励まされようとはね」



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ