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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1406話・まるで笑劇の2人

刹那な章III・政略結婚(22)も更新しております。

そちらも宜しくお願い致します。

ホウジーレンは土下座したままで愕然としていた。

何故なら目の前に居る絶世の美女(ディーイー)が、南方の強国である永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの聖女王だったからだ。


『何て事だ…只者では無いと思っていたが、まさか聖女王だったとは』

自分の無礼な振る舞いに、今更ではあるが後悔するばかりだ。



そんなホウジーレンを前に、ディーイー(プリームス)は溜息をつく。

「はぁ……だから嫌だったのよ。そんなに平伏されては何も話が進まないでしょ」



「で、ですが…私は聖女陛下に無理難題を押し付け、更には造反の収拾まで…」



これでは本当に話が出来ないと思い、仕方無くディーイーは権威を振るう事にした。

「だから、もう良いって! さぁ顔を上げて椅子に座りなさい」



高位の存在に命令されれば従わざるを得ない…それが封建制であり、権威主義社会の性だ。

故に渋々とホウジーレンは立ち上がり席に着いた。



『これで真面な話し合いができれば良いが…』

ディーイーも椅子に座ると、早々に本題を切り出す。

「さて、私に何を期待していたのかしら?」



「……」

萎縮してしまったのか、少し俯いたままで沈黙するホウジーレン。



『やれやれ…これでも駄目か』

そんなに聖女王とは恐れられているのか?…とディーイーは驚くばかりだ。

そして苛立ちが爆発してしまう。

「もうっ…そんなのゴネてるのと変わらないじゃない! シャキッとしろ! シャキッと!!」



このディーイーの怒号は可愛らしい声から発せらる物でしかなく、大して威圧感は無い。

それでも萎縮していたホウジーレンには効果は有ったようだ。


「は、はいぃ!!!」

と返事をすると背筋を正し、真っ直ぐにディーイーを見つめた。



これにディーイーは、威圧的に為らないよう努めて尋ねる。

「じゃあ先程の問いだけど、ちゃんと答えてくれるかしら?」



しかしながら又もや上手く行かない。

今度はディーイーを直視した所為か、その美貌にホウジーレンは見惚れる始末。

「………」



「駄目だこりゃ…」

もう諦めたディーイーは、目の前に並べられた豪勢な食事にありつく事にした。



こうして勝手にディーイーが食事を続ける事10分。

漸くホウジーレンは我に返るのだった。

「再三申し訳ありません!」



「もう謝罪は良いから、早く私の質問に答えてくれる?」



「は、はい…。この島は龍国に属しますが、実際の所は辺境の一領土であり、龍国の支援を全く受けられない状況なのです」

ホウジーレンの話に因ると、本国の龍国とは、東方と大差ない距離が有るらしい。

故に近年は貿易中継地として発展した背景がある。


その反面、海上貿易は発展すればする程、海賊などの外敵に晒されてしまう。

炎龍ロンヤンの存在が無ければ、今ごろ火炎島は海賊に蹂躙されていたとの事だ。



「つまり、何が言いたいの?」



「その…龍国の庇護を得られないなら、自前で何とかするしか有りません。ですから"他国"の協力を得ようと考えていたのです」



「え…もしや、他国って東方の事?!」



頷くホウジーレン。

「左様です。北方四国は牽制し合っていますから、そもそも助けを求める以前の問題なのです。そうなると…」



「消去法で東方が一番の隣国な訳か…」

一応の筋は通っているが、ディーイーは一点だけ腑に落ちない。

「ん…? 待てよ…何で龍国の支援を受けられないんだ?」



「それは本国が半内乱状態にあるからです。ですから辺境の火炎島に、わざわざ武力支援等をする余力は無いのでしょう」



「え…な、内乱?!」

これには驚いてしまうディーイー。

元聖女の使徒だったガリーは、この事に全く言及しなかったからだ。


『う〜ん…知らなかったのか、或いは敢えて私に言わなかったのか…』

どちらにしろ今は確かめる術も無いし、何より問題は其処では無い。

結局、火炎島から助けを求められる立場になる…そこが問題なのだ。


『東方のペクーシス連合王国が永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの属国と知ったら、またホウジーレン殿は卒倒するかもな…』

それでも黙っている訳にはいかない…どうせ後から露見するのだから。

「ホウジーレン殿…落ち着いて聞いて欲しいのだが、ペクーシス連合王国は我が国の属国なのだよ」



「え……今、何と仰いましたか?」



「だから、ペクーシスは私の傘下なの」



「えぇぇっ!??」

再び椅子をひっくり返したホウジーレンだが、今度は自分も背後に倒れてしまった。



「ちょっ…ホウジーレン殿!? 大丈夫か?!」



「だ、大丈夫です…ご心配無く」

そう返したホウジーレンは、テーブルの端を掴んで起き上がり続けた。

「只、これには誰でも驚いて当然かと思います。と言うか…その話は未だ公にされていないのでは?」



「う、うん…私が家出した時点では公にしてなかったかな。でも武國を傘下にするより、もっと前から東方諸国は属国なのだけどね…」

正直、全く漏れていない事がディーイーは意外に感じる。

それだけグラキエースが敷いた箝口令の効果か、若しくはヘイス大総督の手腕の成せる業なのかも知れない。



「今…何と…?」



真面目な表情で訊き返すホウジーレンに、ディーイーは首を傾げた。

「ん? 家出した時点?」



「いえ…その後です」



「武國の事?」



「武國が…永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの傘下に加わったのですか?!」



「う、うん……ひょっとして知らなかった?」



「はい……東方、月の国(セレーネ・ポリス)、それにペクーシス連合……これだけでも大陸最大の領土を誇りますよ。なのに武國まで領土に加えるなんて」

そう返したホウジーレンは頭を抱えた。



「え? な、何? どうしたの?!」



「どうしたの…じゃ有りません。大陸最大の国家…その王が単身で旅をしているなんて、何か有ったら如何為さるつもりなのですか」

そこまで言って少し思考すると、眉間にシワを寄せて続ける。

「いや…実際に大怪我をされましたでしょう。貴女は御身の重要性を、もっと認識するべきです!」



「えぇぇ?!」

『わ、私…怒られてるの?!』

先程とは真逆の立場になり、ディーイーは困惑を隠せないのであった。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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