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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1401話・偽りのロンヤン

刹那な章III・政略結婚(21)も更新しております。

そちらも宜しくお願い致します。

ディーイーの御節介過ぎる、否…お人好し過ぎる申し出にロンヤンは目を丸くした。

「何故…そこまでしてくれる? お主は火炎島の人間では無いと言うのに…」



「ん? あぁ…乗り掛かった船だしな、見て見ぬ振りをして去っては寝覚めが悪いだろ?」



ディーイーの返答に、ロンヤンは目を丸くしたまま唖然とする。

「………」

この様な人間が果たして今まで居ただろうか?

ひょっとすれば御節介な人間は居たかも知れない、しかし此処まで強大な力を有するものは居ないだろう。


そう…どのような人間でも、ロンヤンが求める”力”と”人格”の何れかが欠けていた。

故に全てを託せる人間が存在しなかった。

ホウジーレンでも人格は及第点…力に至っては泣く泣く任せるしか仕方が無い水準である。


『もっと早くに出会えていれば……』

ロンヤンの中で後悔ばかりが募る。



「さて、どうやって炙り出すかな…」

『取り敢えずはジア・イーリュウを捕らえて尋問するか』

面倒臭い手間をかけるのは、ディーイーからすれば性に合わない。


その前にロンヤンを如何にして暴走させようとしたのか?

また操ろうとした方法を知っておきたい所だ。

これは知識欲から来る好奇心もたが、暗躍者の能力を計る指針にもなる。


「ロンヤン殿…貴方の口振りからするに、ジア・イーリュウの背後に居る者は分からないのだよね?」



「うむ…聖女が絡んでいると言うのは私の推測だ。飽く迄も可能性だが…龍国では無く他国ならば、それは由々しき事態と言わざるを得ない」



「ふむ…」

ディーイーは思考を加速させた。


恐らく暗躍者は、ロンヤンの暴走時期を見越して動いたのだ。

そしてロンヤンを操る事が出来れば強大な力を得られ、これに対抗し得るのは四天神獣しか居なくなる。

『つまり北方四国の均衡を崩すのが目的か…』


古からの長い年月、北方四国は牽制し合って来た。

しかしながら各々が総戦力で打つかる事は無かった。

それは四天神獣の加護が、領土を出てしまうと消失するからである。


『攻めなければ領土を奪えず、しかし攻めれば確実に不利になる。その打開策にロンヤンへ目を付けたのだろうな』

苦肉の策なのかも知れないが、そこまでして北方での覇権を狙おうとするのは愚かに思えた。



「で…如何するのだ?」



ロンヤンの問いに、ディーイーは即答した。

「決まってるだろう。裏切り者のジア・イーリュウを締め上げて吐かせるだけだ」



「そ、そうか……ならば余は?」



”そんな事は自分で考えろ!”と言い掛けるが、ディーイーは何とか堪える。

そもそもロンヤンを凍らせて動けなくしたのは自分なのだから。

「う~ん…私に倒された事にして、此処に暫くジッとしていれば良いのでは?」

そこまで言って、直ぐに考えを改めた。

『待てよ……ロンヤン殿が生きていると知れば、再び利用しようと近づいて来るかな?』



「此処で凍ったままジッとして居ろと?」



『はは……流石は神獣か。手加減したとは言え万花雪乱フロースヒエムスを受けて、仮死状態にもならんとはな』

「いや…ここは囮になって貰おう。凍結状態の魔法硬度を下げておく故、私が離れたら自力で凍結から抜け出して欲しい」



然も当然のように告げられ、内心でロンヤンは呆れた。

『やれやれ…正直、こうして氷結から意識を保っているのもギリギリだと言うのに』

「相分かった。その後は如何すれば?」



「息は有るが動けない状態を演出すればいい。きっと暗躍した者が近付いて来る筈だ。って……そもそもどうやって今の状況になったのだ?」

失念しかけた事に気付くディーイー。

ロンヤンが”操られた振り”をしていたと言う事は、操ろうとした者と接触していた事になるのだから。



「え? あ……あぁ、そうだな。それを伝えるべきだな」

片やロンヤンも状況の展開が早過ぎて、思考の整理がついていなかったのだ。

「降臨祭の佳境で余が登場するのは周知の事実だが、神域から出て”初めに姿を現す場所”は僅かな一部の者しか知らぬ。そこを張り込まれ襲われたのだ」



「ほほう…ひょっとして海…海中か?」



言い当てられたロンヤンは目を丸くした。

「……! 流石と言うべきか…良く分かったな」



「う~ん…おいそれと神獣へ干渉出来ぬ方法は、空中か海中しか無いしな。だが空中は目立つし、なら海しか無いだろう? まあ消去法だね」



「そ、そうか……それで申し訳無いのだが、余を海中で襲った者等をつぶさに確認はし得なかった。結界で覆われ不意打ちされたからな」



「ふ~む……つまり強力な結界で拘束され、何らかの呪法で自我を消されそうになった…だな?」



「その通りだ。幸い今の余でも抵抗出来たが、もう少し自我が衰弱していれば危なかった」

ロンヤン曰く、その後は魔力伝導体となる結晶体を飲み込まされたらしい。



『成程……魔力伝導体に因って外部からロンヤンを操るつもりだったのか』

「結局はジア・イーリュウを捕まえねば為らんな。面倒だが私は行くよ…そこでロンヤン殿は”接近する者”を捕まえてくれ」

そう告げたディーイーは、少し疲れた足取りで歩き出した。



「ま、待たれよ! 次に同じ方法で襲われれば抵抗出来ぬやも知れぬ。そうなれば本当に暴走し兼ねんぞ」



「それは心配ない。わざわざ衰弱して動けぬ龍に、手間と労力の掛かる結界を張るとは思えん。万が一に危機的状況なら私が即座に駆けつけるしな」



ディーイーの返答からは、己を過信している様子は一切感じられない。

正に当然であり、それ程度ならば彼女からすると日常茶飯事なのかも知れない。

そう思えたロンヤンは静かに頷いた。

「分かった……お主に全てを託そう」



「フフッ…まぁ悪いようにはしない。ここはハクメイの故郷だしな」

そんな捨て台詞と共に、ディーイーの姿は忽然と消えてしまったのであった。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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