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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1378話・年長者の役目(2)

刹那な章III・政略結婚(15)も更新しております。

そちらも宜しくお願い致します。

ディーイーに手を引かれたハクメイは、柔らかな布団へ倒れ込む。

そして横を向くと、絶世の美貌が目に飛び込んで来た。


「……」

半ば自失しそうになるのには耐性が付いたが、やはり間近で見ると息を飲んでしまう。



「ハクメイ…貴女が本当に私へ望む事は何?」



余りにも率直な問いに、ハクメイは呆気に取られた。

「……」



そんな少女の頬を撫でながらディーイーは続ける。

「私はね…ハクメイと一緒に居たいと思っているよ」



「え…でも、お姉様には目的が有って、ここを離れなければ為らないでしょう?」



「うん。だから言った筈よ…ハクメイ次第だって」



「…!」

その言葉で漸くハクメイは理解に至る。

自分を求めるなら、この地を捨てよ…そうディーイーが暗に告げていると。

それは同時に、未知の世界へ踏み出す覚悟を問うてもいた。



「この火炎島に未練や執着が有る? 領督の嫡子としての責任は?」



続け様の問いに、ハクメイは首を横に振った

「以前は嫡子としての責任を抱いていました。でも私の代わりは何とでもなると知って、もうどうでも良くなりました」



「ご両親に対しての想いは? 肉親を捨てる決断が出来るの?」



「血を分けた肉親なのに、親らしい事は何一つして貰えませんでした。今思えば親子と言う関係性だけ…今更になって情なんて湧きませんよ」

ディーイーに問われるにつれ、この島や家族に何の感情も無い事をハクメイは自覚した。


また領督の娘としての立場に、固執していたかも知れない自分に落胆する。

それは父の後を継げば、今より良い状況に変わる…そんな淡い希望を抱いていた事だ。


『この歳になるまで何一つ変わらなかったのに、有り得ないわよね…』

まるで脳裏にかかった霞が、一気に晴れたような感じがした。



「そう…なら私と一緒に旅でもしてみる?」



「え……」

予想もしなかったディーイーの提案に、ハクメイは驚きで固まってしまう。

確かに期待はしていた。

だがそれは、ディーイーが島に残る事だったのだ。



「フフッ…そんなに驚く事かしら? もう島には未練なんて無いのでしょう?」



「確かに…そうですね。でも…」

周囲が許す筈が無い。

自分にはロン家の嫡子として利用する価値があり、特に封臣下家門は黙っていないだろう。



「でも…?」



「お姉様…分かってらっしゃる筈では? そんな簡単にしがらみからは抜け出せませんよ…」



「ハクメイ次第だって言ったでしょ。貴女が本気なら私は幾らでも力を貸すわ…その意味を良く考えて」



「まさか…」

ハクメイは目を見張った。

聖女王としての強大な力で、自分を救い出そうと言うのか?



「私が何もかも薙ぎ払ってあげるよ…ハクメイが望むならね」



ゾッとするハクメイ。

常人ならば成し得る訳が無い。

しかし超絶的な存在である聖女王は違う…つまり、その言葉が只の冗談では無いと言っているに等しい。

「そ、そんな……私は壊したい訳では無いのです。ただ……」



「現状を変えたい? 抜け出したい?」



「はい……」



「じゃぁ、ここから抜け出す手伝いをしてあげる。もし邪魔をする者が居れば、可能な限り穏便に対処するわ。でも害そうとするなら手段を選ばない……それで構わない?」



「有難う御座います……お姉様……」

嬉しくてハクメイは泣きそうになる。

強大な軍事国家の女王が、自分の為だけに動いてくれる…こんな奇跡のような事があるだろうか?

否……そもそもの邂逅自体が奇跡だったのだ。



「差し当たっては、愚図っちゃったハクメイの機嫌を取らなきゃね」



「え…? それはどう言う意味……」



次の瞬間、ハクメイはディーイーに跨られてビックリする。

「え?! 一体何を?!」



「ハクメイは私とイチャイチャしたいんでしょ?」



「えぇぇぇ?!」



ディーイーの唇が優しくハクメイの首筋に触れた。



「ぁぅぅ……」

抗えずに声だけが漏れるハクメイ。


正直、期待していなかった訳では無かった。

故に何時も妄想していたのである…敬愛する”お姉様”との睦事を。

けれども畏れ多く、また自ら強請ねだるなど淑女として恥ずかしくて為らなかった。



「ほら、嫌なら抵抗する筈なのに、されるがままって…正直に言ってくれれば幾らでも”してあげた”のよ」



余りに率直な言い様をされ、ハクメイは恥ずかしくて両手で顔を覆う。

「うぅぅ…」

『こんなんじゃ下品な女だと思われちゃう』



そんなハクメイの気も知らず、ディーイーは至極ご満悦のノリノリだ。

「ウフフ……可愛いわね。ちゃんと優しくしてあげるから」



『あぁぁ…ぁぁ……私…どうなっちゃうの……』






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






真っ裸なディーイーは仰向けになり呆然とする。

可愛がっていた立場が、いつの間にか逆転していた所為だ。



当初は好き放題に弄っていたディーイー。

と言ってもハクメイが気持ち良くなるよう、繊細な配慮は忘れない。

しかし怪我で体力が戻っていない状態では、直ぐにバテてしまう。


これにハクメイは、その機を逃すまいと体勢を入れ替えてきたのだ。

加えて聡く飲み込みが早い為、容易にコツを掴む事に。

そうして結果的に可愛がる筈が、可愛がられる羽目になったのだった。



「お姉様、如何でしたか? 私…上手に出来ましたか?」

隣に横たわるハクメイは、目をキラキラさせながら尋ねる。

因みにディーイーと同じく真っ裸で、睦事前と違い恥ずかしさは微塵も無い。



「え…うん…上手だったよ。ほんとに初めてなの?」



「初めてです…」

ここでハクメイは漸く冷静になったのか、嬉しさ半分、恥ずかしさ半分でモジモジとしながら答えた。



「そ、そうなのね…」

『うは…これは…』

色んな意味で凄い逸材を見つけたと、半ば唖然とするディーイーであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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