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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
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1376話・火炎島の闇

刹那な章III・政略結婚(14)も更新しております。

そちらも宜しくお願い致します。

ディーイー…もとい聖女王の宝珠に守って貰う事になったシン。

しかし一つ気になる点が有った。

それは宙に浮く宝珠が、余りにも目立ち過ぎるのだ。

「その…守って頂けるのは有難いのですが、この宝珠が目に見えて浮かんでいるのは…」



言い淀むシンに、ディーイーは小さく笑った。

「フフフッ…まさか、このままな訳無いわ。ちゃんと姿を消せるから心配しないで」

この言葉に反応したのか、4つの宝珠全てが跡形も無く消えてしまう。



「…?!」

「えぇぇ!? 一体どんな仕組みなのですか?!」

驚き過ぎて目をしばたくシンとハクメイ。



『う〜ん…困ったな物質世界の存在力を決して、精霊界アストラルサイドへ一時的に存在力を留まらせる…なんて言っても分からないだろうし』

結局、ディーイーの選んだ方法は、難しい事を無理に説明しない…である。

「え〜と…割愛させて…」



これをハクメイは勘繰る始末。

「あ…ひょっとして永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの秘匿事項なのですね! これだけの魔法技術なら国家機密になるのも納得です!」



「はは…は…ま、まぁそんな感じかな…」

これ以上、ややこしくするのも嫌なので、適当に濁ごすディーイー。




その後、ハクメイが孤立させられる事について、3人で話し合う事にした。



「ハクメイを孤立させる理由が謎だな」



「はい…昔から両親は放任主義でしたから、余り構って貰えませんでした。でも成人してからは、目に見えて孤立するのを実感しています」

そう返すハクメイは、以外にケロリとしている。



「ほほぅ…成人してからか、」

『企てが何にしろ、ハクメイが余り気にして居なくて良かったわ』



すると何か思い当たる節が有るのか、思わせ振りにシンが言った。

「賄賂をバラ撒いているジア家の仕業かと思いますが、目的は意外と単純なものかも知れませんよ」



「単純? シンは何か知ってるの?」



ハクメイに問われ、首を横に振るシン。

「いえ…飽く迄も私の憶測です。ですが姫様が孤立して利益を得るのは、ジア家の馬鹿息子かと」



「んん?? どう言う意味?」

嫌悪感を見せながら首を傾げるハクメイ。

自分の私事が、馬鹿息子と繋がる理由が理解出来ない…と言うか、あの男に関与する事に身の毛がよだってしまう。



馬鹿息子オーフアが領督の地位を狙って、姫様との結婚を画策するなら、やはり姫様が孤立するに越した事は無いと思います」



「意味が分からない…」

嫌そうにハクメイは外方そっぽを向いた。



「フフフッ…ハクメイは随分とジア・オーフアが嫌いみたいだね」



ディーイーから揶揄い気味に言われ、更にハクメイはムッとした。

「お姉様も分かる筈ですよ! あいつに絡まれたんですから」



「まぁ〜そうね。自分中心に世界が回ってるみたいな奴だったし、あれが好きな人なんて居ないでしょう。それよりもシンさんの意見は一理有るかもね」



シンの考えにディーイーが同調するなら、流石に無下には出来ないハクメイ。

嫌々ながらも真剣に尋ねた。

「奴が得するなんて考えたくも無いですが、お姉様…説明して頂いても宜しいですか?」



「うん…ハクメイと結婚したくても嫌われていたら、そもそもが無理でしょ。ならハクメイを精神的に追い詰めて、誰も助けが無い状態にしてから手を差し伸べる…これなら流石に魔が差しちゃうと思うよ」



「わ、私がオーフアに?! 有り得ません!!」

頑なにハクメイは否定した。



「いや…飽く迄も可能性と仮定の話だから、そんな怒らなくても…」



「怒ってません!!」



「そ、そう?」

『いやいや、怒ってるでしょ。後で機嫌取った方が良さそうね…』



一方シンはと言うと、不機嫌になるハクメイを宥める事無く淡々と話を進める。

「姫様…問題は馬鹿息子だけの画策か、それともジア家当主の思惑も含まれるのかどうかです」

どうやら物事を進めるうえで、主の機嫌云々は余り考慮しない質のようだ。



『なんだか…フェートを思い出すわね』

「フフフッ…」

ディーイーは暫く会っていない身内を思い出す。

そして背丈や容姿は全く違うが、シンとフィートの雰囲気が似ている様に思え笑みが零れた。



「お姉様、何ですか?」

「何か可笑しな事でも…?」



「いや、別に何でも無いです…」

二人に詰め寄られ気圧されるディーイー。



「兎に角、これから姫様を取り巻く環境が、更に悪くなる可能性が有ります。それが私は心配で心配で…」



「シン……」



ディーイーもシンと同じ考えだった。

「うん、私もシンさんと同意見ね。それに馬鹿息子オーフアがハクメイに拘らなくなったら…」



これにシンが続く。

「はい…ジア家当主か或いは馬鹿息子が姫様を害して、ロン家の分家から後継者を擁立させるかも知れません」



「えぇぇ?! そんな強硬的な手段を?!」



「何も確証が無い憶測です。でもジア家が領督の地位を狙うなら、御しやすい分家を利用する方が楽なのは明白。最終手段としての可能性は十分に有り得ますよ」



シンの言葉に、ハクメイの表情が蒼白になる。

「そんなの…謀叛だわ…」



頷くディーイー。

「そうね…そもそも封臣家門が主君の地位を狙うのが変なのよ。戦国や動乱の時代でもあるまいし」



「……」

ハクメイは俯いて黙り込んでしまった。

漸く自分の置かれている状況を理解し、そして衝撃を受けてしまったのである。



『まぁ無理も無いわね…両親は当てに為らないし、って…決めつけるのは早計か?』

「今ここで話した事を両親に言ってみたらどう?」



ディーイーの提案に、シンは余り乗り気ではない返事をした。

「そうですね……試す価値は有ります。ですが期待は出来ないかと」



「どうして?」



「領督閣下はジア当主とは親友の間柄でして、とても信用為さっているのです。きっと今の話をすれば気持ちを害されるでしょうから…」

と残念そうにシンは答えた。



「えぇぇ……?!」

『親友しての間柄も利用してるのか?!』

想像以上に用意周到なジア家当主……ここまで来ると相当な執念と闇を感じる。

これには流石のディーイーも呆気に取られるのであった。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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