1343話・ガリーとディーイー(2)
刹那な章III・政略結婚(6)も更新しております。
そちらも宜しくお願い致します。
「他にも色々教えて欲しい事があるしね」
そう告げたプリームスは、上に跨るガリーの胸を軽く平手で叩いた。
「痛いぃ!!?」
咄嗟に胸を押さえて引っくり返るガリー。
「それでも冒険者か? 大袈裟な……」
次はベッドに倒れ込んだガリーに、プリームスが馬乗りになる。
しかしながら体格が違い過ぎるので、これでは大人の上に乗った子供だ。
「いやいや…痛いもんは痛いんだよ。と言うか、俺の上に跨って何するつもりだ?」
「尋問? いや…拷問か?」
そう言ってプリームスは、ガリーの大きな胸に齧り付いた…勿論、手加減はしている。
当然のことガリーは小さな悲鳴をあげる。
「ひゃっ!!」
しかし拷問とは裏腹に、優しく舌先で撫でるプリームス。
その所為か直ぐにガリーの口から、愉悦を含む小さな喘ぎと吐息が漏れるのであった。
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「ディーイー…そろそろ起きない? あと、食事はどうする?」
そう耳元で聞こえ、プリームスは愚図りながら瞼を開いた。
「うぅぅ……顎が…それに体が…」
筋肉痛?の為か、身体中が痛くて仕方が無い。
「あぁ〜〜ごめんね…俺が強請ったから、」
申し訳無さそうに言うガリー。
「いやいや…合意の上だし気にしないで」
『ぐぅぅ…久々の人肌で調子に乗りすぎた』
今更ながらにプリームスは後悔する。
いつもなら、どちらかと言えば身内が"攻め"で、自分は"受け"が多い。
なので筋肉痛になるのは稀なのだ。
しかしながら今回は性欲が溜まっていたのか、或いは初めての相手だったからか…勢い余ってしまった。
何にしろ節操の無い自分が恥ずかしいばかりだ。
取り敢えず身を起こして時計を見ると、指針が丁度12時を指していた。
『あぅ…寝過ぎたか』
そして傍に立っていたガリーは、特に身支度もせずに全裸のままだった。
「おいおい…先に起きたのに全裸って…」
「いや、だから夜に言っただろ。着替えが無いって…裸で部屋に戻れないしな」
「え…? 着てたのを又着れば良いのでは?」
するとガリーは苦笑いを浮かべた。
「実は洗濯しちゃって…今はディーイーのも纏めて風呂に干してるんだよ」
自分が寝ている間にしてくれたのだろう。
何と言うか、ある意味で手際が良く配慮が出来る。
『でも詰めが甘いわね…』
そう思うと苦笑を禁じ得ないプリームス。
「フフフッ…有難う。なら、お礼に替えの服を用意するよ」
「え…?」
明らかにディーイーの荷物が見当たらず、この言い様にガリーは困惑する。
それに今思えば、旅人の割に軽装すぎると感じた。
『まぁこれから共に旅をするかもだし、知られても良いか…』
割り切ったプリームスは、収納魔導具からガリーの着れそうな服を何着か出してみる。
「えっ!? えぇぇ!??」
突然出現した衣服に、混乱するガリー。
「下着も出しといたから、好きなのを着て良いよ。気に入ったなら全部あげるし」
ガリーは何が起こったか分からず目が点になる。
「……」
「お〜い! ガリーさ〜ん! 大丈夫?」
何度もプリームスに呼び掛けられ、ガリーは漸く正気を取り戻す。
プリームスの美貌を直視した時よりも驚いた様子だ。
「……まさか…収納魔導具?!」
「ま〜ね…誰にも言っちゃ駄目だよ」
そう答えたプリームスは嵌めた無骨な指輪を見せた。
「そ、それが収納魔導具なの!!?! そんな小さいのが?!」
真っ裸で驚愕のするガリー…若干だが滑稽である。
『まぁ驚くのも無理ないか…』
この世界の魔法技術や魔導工学は、以前プリームスが居た世界に比べ何世代も遅れている。
その最たる物が収納魔導具だ。
因みに以前の世界でも収納魔導具自体は、非常に高級品で一般人の手が出せる品物では無かった。
それらを鑑みれば魔法後進世界に住むガリーには、刺激が強過ぎたと言えるだろう。
「こんなの…聖獣の力でも実現不可能だよ」
ガリーは指輪を見つめて半ば呆然と呟いた。
『聖獣? 北方の四神の事か?』
少し気になるプリームス。
"聖獣"の力が、魔力を根幹にしている印象を受けたのだ。
得てして人間の文明技術は、何かを補うように発展する。
つまり魔法技術や魔導工学が進んでいないなら、それに代わる何らかの技術が発達している筈。
以前の世界と文明水準が同じなら尚の事だ。
『若しくは一部の既得権者が、優位を維持する為に秘匿しているか…』
どの世界にも見えない闇が有り、平和な時代ほど器用に隠れ姿を見せない。
だからと言って興味本位に探っては、こちらが藪蛇に成り兼ねないだろう。
かく言う自分も一般には公開出来ない技術を有し、それを秘匿しているのだから。
『私も人の事は言えないよな』
兎に角、既得権益を有してそうな"権威"は無視し、龍国と神槍勇華の情報が先だ。
「支度が済んだら食事しに行こう。試練とやらの話もだけど、私が個人的に聞きたい事も有るし」
「う、うん…ほんとに俺が着て良いの? 凄く上物だよ?」
恐る恐る下着を摘んで尋ねるガリー。
『体格の割には肝がちっさいな…』
笑いそうになるのを我慢してプリームスは答えた。
「大丈夫、大丈夫。服なら沢山有るから、返さなくて良いからねら」
するとガリーは黒レース地の下着を選んだ。
これは高級そうな薔薇の刺繍に、少し透けている部分の有る上下揃いの下着である。
「中々に色っぽいのを選ぶね……まぁ良いけど、」
つい思った事が口に出てしまうプリームス。
下着と言うのは平常時見えないだけに、その人の潜在的な欲求が反映されたりする。
それを鑑みると、ガリーは随分と”溜まっていた”と言えるかも知れない。
『いやいやいや…それこそ人の事は言え無いか』
いつもは身内にされるがままの自分が、ガリーに対しては一方的な攻めだった…溜まっているのは自分である。
「う、うん……こんな上等な下着を着けれるなんて、そうないからね。後は…服をどうするか…」
「服か……これなんかどう?」
ベッドの上に散らばった服の中から、プリームスは1つ摘まんだ。
「ちょ、流石にこれは似合わないでしょ?」
それは背中と肩が丸出しの、しかも真っ赤なロングドレス…これにガリーは首を縦に振るのを躊躇うのであった。
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〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜




