表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章:北方四神伝・I
1417/1769

1324話・第9章:プロローグ・定例会議

本編の九章は末尾に、刹那の章IIIは九章の手前に割り込みで更新していきます。

今後ともよろしくお願い致します。

武國で起きた魔神王の厄災から2ヶ月が過ぎ、プリームスは漸く永劫の王国アイオーン・ヴァスリオの拠点である箱舟アルカに戻って来ていた。

プリームス自身、訳有って眠りにつき1カ月間も武國から動けなかったが、更に1カ月を要したのは、状況が許されなかった所為だ。


その状況とは武國を永劫の王国アイオーン・ヴァスリオに併合した事である。

これを列国へ公式発表した事で、列国の動きを監視する必要が生じたのだった。


そして最も危惧されたのが、虎王国に因る武國への侵攻だ。

魔神王の脅威が無くなった以上、貿易中継拠点として魅力的なのは言うまでもない。

つまり海を隔てて隣接する虎王国としては、何としても手に入れたい領土なのだ。


この虎王国の動きを確認する為、プリームスは永劫の王国アイオーン・ヴァスリオ()()()として武國に留まったのだった。

結果的に一ヶ月が経過しても虎王国には大した動きも無く、侵略と言う列国問題には発展に至らなかった。




〜〜箱舟アルカ・聖女王寝所〜〜


「はぁ……」

プリームスはベッドへ大の字で横たわり、溜息をつきながら天井を見上げた。


馴染み親しんだ我が家を実感し、漸く落ち着いた…そんな思いがプリームスの胸中を覆う。

だが実際は心の整理が追い付いてはいなかった。


魔神王の厄災は、最悪の事態になる前に終息させる事は出来た。

それでも武國の中枢は破壊され、宮仕えの人間は大多数が命を落とした。


もっと上手く立ち回れたのではないか?

そんな疑問と後悔がプリームスを苛む。

何より見初めた存在…ギンレイを失った事が一番辛かった。


「ほんと…私の人生は後悔ばかりだな…フッ」

辛さが独り言を口にさせ、そんな自分の愚かさを自覚して自嘲が同時に湧き起こる。



寝室の扉がノックされた。



「は〜い…何?」



気怠そうな反応のプリームスに、ノックの主は苦笑混じりで答える。

「フフフッ…まだ御気分が優れませんか? これから定例会議ですが…」



「んぁ……? んん〜〜行くよ。はぁ……」

仕方無くベッドから起き上がるプリームス。

しかし、その姿は会議に赴くとは思えない淫らさだ。

黒の下着姿で他に何も羽織ってさえおらず、耐性が無い者なら卒倒するか、或いは思考が停止して暫く固まってしまうだろう。



「では身支度のお世話を致しますね」

扉を隔てて聞こえて来る声は、僅かな揶揄が含まれている。

「どうせ寝起きのままでしょう?」と暗に告げてるかのようである。



「う〜ん……このままじゃ駄目?」



扉を開けて入室した人物は呆れ顔を浮かべた。

「駄目ですよ! 私は構いませんが殿方も居ますし、免疫の無い方も居ます。しゃんとして頂かないと困りますよ」



「はぁ……じゃあ、ピスティに全部任せるよ」



「フフッ…仰せのままに」

入室した女性は随分と長身なのに、何故か侍女衣装が似合っている。

多分、仕草や振る舞いが洗練されている所為かも知れない。


彼女はノイモン・レクスアリステラ大公の娘で、以前はセルウスレーグヌム王国に嫁がせる計画だった。

そしてその狙いはセルウスレーグヌム王国の軍司令…戦女神レギーナ・イムペラートムの地位。

これは王家の武と美しさの象徴で、正に権威を内外に示す存在と言えた。

つまりノイモンは、内側からセルウスレーグヌム王国を掌握しようとしたのだ。


されど、その計画は頓挫してしまう。

そこでノイモンが打った次の手は、危険視していた聖女王プリームスにピスティを”宛がう”事だった。


しかしながら、これもまた失敗に終わる。

ピスティがノイモンと袂を分かち、自身の意思でプリームスの元へ下ったからだ。


こうしてノイモンに厳しく育てられたピスティは、その文武両道と言う優れた能力で、箱舟アルカの侍女長を務める事となった。

勿論、武力も戦女神レギーナ・イムペラートムを狙っただけの事はあり、永劫の騎士(アイオーン・エクェス)に属すに至る。



そんなピスティは手際よくプリームスの身支度を整える。

と言っても外出する訳では無いので、靴下を履かせてガウンを羽織る程度だ。

後は寝癖が付いた髪を整えるくらいだろう。



「さぁ参りましょうか…プリームス様」



ベッドから立つのを恭しく促され、仕方無くプリームスは上履きに足を入れた。

「私が居なくても勝手に定例会議は進むだろうに…」



ピスティは首を横に振る。

「いいえ…今回は些か違う様です。宰相閣下及び総司令からも、プリームス様には必ずご出席されるよう言付かっておりますから」



「えぇぇ……?」

『うぅ…嫌な予感しかしない』



こうしてゲンナリしながらプリームスは寝所を出た。

そして向かうは司令区画の中枢…箱舟アルカの操舵を行える艦橋だ。

ここは司令区画で一番広く、多種多様な会議にも使用されているのだ。



プリームスが艦橋に入ると、アルカに居る永劫の騎士(アイオーン・エクェス)達が一斉に視線を向ける。

そして皆して立ち上がり、プリームスの着席を待った。



「態々《わざわざ》立たなくて良いよ…皆んな座って」

妙に畏まった身内に、プリームスは嫌な予感が募る。



上座…ここでは謂わゆる艦長席にプリームスが座ると、皆が着席してスキエンティアが議題を口にした。

「今回の議題は永劫の騎士(アイオーン・エクェス)の役職再配置と、今後の方針に対する提案です。前者は確定、後者は私の提示に対しての意見を皆さんから頂こうと思います。宜しいですか?」



『宜しいですか…って、嫌って言えないでしょ…』

と突っ込みたくなるプリームス。

それに、この議題なら自分が居なくても問題無いと思えた。



因みにプリームスの右隣には娘のアソオスが、左隣には皇后のアグノスが座っている。

更に会議卓を挟んで左にはスキエンティアが着き、文官面子が続く。

変わって右側はインシオンが着き、武官面子が続いた。



『うへ…皆んな勢揃いじゃないの…』

プリームスは益々嫌な予感がした。

東方諸国面子を除き、ほぽ永劫の騎士(アイオーン・エクェス)全員が集まったのだ。

これが只の定例会議な訳が無いのだから。


楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ