第九章予告
本編の九章は末尾に、刹那の章は九章の手前に割り込みで更新していきます。
今後ともよろしくお願い致します。
「あれが龍国か……」
プリームスは船上から彼方に見える陸地を見て呟いた。
武國での問題を取り敢えずは解消し、本国から東方に入り、更にそこから船で北方を目指したプリームス。
しかも今回は御忍びどころか家出に近い。
否…家出だ。
それもこれも懐刀である宰相スキエンティアとの喧嘩に、全てが端を発する。
簡単な話だ。
未だに自身を顧みない主君に、流石のスキエンティアも切れてしまったのである。
そう…全てはプリームスが悪い。
それは紛う事無き真実だが、気性や為人の問題であって、これを改める事がプリームスに出来る訳も無かった。
『はぁ……どうしよう…あんなに怒るなんて……』
プリームスは潮風に銀髪を靡かせながら項垂れる。
恐らく今頃、身内の皆は血眼になってプリームスを探しているだろう。
距離を物ともしない意思伝達が可能なエテルノやメーロース、それにアーロミーアとは意図的に伝達を切断している。
これに因り居場所が露見する事は無い。
ここまでして家出を敢行したのは、やはり身内に迷惑を掛けたくない…そんな思いからだ。
今のプリームスは心身共に不安定な状態に在る。
因果の負属性の”暴走”、そこからの闇堕ち…これも完全には解決していない。
ならば大切な身内から一旦距離を置こうとするのは、プリームスとして当然の判断だった。
そこに来てスキエンティアとの喧嘩……家出は必然と言えるだろう。
『先ずは私も頭を冷やさなくちゃね……』
何事も時間が解決する…そう己に言い聞かせた。
それに只、目的も無く家出したのでは無い。
武國での武術大会で得た情報……本当に些細な情報だが、かつての四天王筆頭・神槍の行方を知れる可能性が有った。
その目的地が北方諸国の一画…龍国だ。
「フォルティス……」
勇者との最後の戦いで生き別れになった最強の腹心…その名を呟き、プリームスは遥か彼方を見据える。
その視線の先には緑豊かな陸地が見え、険しい山々も見えた。
生きているのだろうか…それとも…。
豊かな緑は希望を感じさせ、険しい山々は絶望の結果を予感させた。
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〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜




