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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
刹那の章III・政略結婚(短編集)
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政略結婚(6)

刹那の章III・政略結婚は週一の割り込みで更新していきます。

宜しくお願いします。

人間相手と想定して、それなりの威力で下段蹴りを放ったテユーミア。

それをクシフォスは、いとも容易く片手で防いでしまった。


しかもそれだけでは無い…強さの水準を見せる為、クシフォスは態々地面を殴りつけたのである。

その威力と来たら地面が2m範囲で陥没する程で、とても人間業には思えずテユーミアは驚愕させられてしまう。


そして思ったのだ…自分の考えが甘かったと。

「申し訳ありません……クシフォス様の言う通り、私は全力を出しては居ませんでした。許して頂けますか?」



テユーミアの謝罪に、クシフォスは然も大した事が無いように返した。

「構わん構わん。今から本気でやってくれれば俺的には問題無い」



「有難う御座います…」

『やっぱり見た目通りの方だったのね』

巨躯で鷹揚な振舞いのクシフォスだが、小さい事には拘らない器の大きさも持っている。

それをテユーミアは沁み沁みと感じ、生半可に姑息な自分が矮小に思えた。



「さぁ、お互い怪我しない程度に本気を出そうや」



「はい! では本気で行かせて貰います」

テユーミアは拳をに握った。

込めた力は膂力だけでは無く、対魔神用の技…魔力に因る筋繊維の強化だ。

これで殴り付けられた人間は、防具諸共にへしゃげて骨折では済まないだろう。


それでもこの技を使用するのは、クシフォスが十分耐えるだけの能力と肉体が有ると確信したからだ。

『まさか師匠以外に、人間相手へ使う事になるとはね…』



脚にも魔力を込めて踏み込むテユーミア。

その速度は最早超人級のものであり、並の武人では目で捉える事は不可能。

加えて拳なのか蹴りなのか兆しも読めない。

故に迎え撃つ様子のクシフォスには、不利なのは明白だ。



だが常識は覆る。

鋭過ぎるテユーミアの突きを、クシフォスが片手で払い退けたのである。



「…!」

目を見張るテユーミア。

『流石だわ…幾ら速くても真っ直ぐでは通じないか、』


ならば連撃はどうだ?

テユーミアは払われた反動を利用し、そのまま一回転からの裏拳を放つ。

勿論、それを受けるか払うかされれば、足下目掛けて連撃の払い蹴りだ。



『ほぅ…!』

独楽こまの様に高速で回る相手にクシフォスは感心した。

その身のこなしは美しく、そして鋭い。


『だがなぁ…それでは駄目だ』

テユーミアの裏拳に合わせ、上半身を後ろへ反らせるクシフォス。



『掛かった!』

ほくそ笑むテユーミア。

上半身を反らせば、お座なりになる足下。

そこへ連撃の足払いを見舞う…想定通りだ。



されど、そうはならなかった。

放たれた裏拳を回避したクシフォスは、その裏拳へ右手を添えたのだ。

そこから行ったのは、回転方向へ加速するよう力を加えて払ったのだった。



こうなるとテユーミアは、即座に屈み込んで足払いなど出来る筈もなかった。

「きやっ?!!」

想定以上の回転加速が掛かり、その場で何回も回転してしまう。

正に独楽のように。



「うははっ! 見え見えだぞ。まぁ女の膂力なら回転を利用せざるを得ないか」



何とか回転を止めたテユーミアだが、クシフォスに手玉に取られて赤面する羽目に。

「くっ…!」


しかしながら認めるしか無い…小手先の技や戦術では通用しないと。

否…相手は生まれながらの天才なのだろう。

自分の様に"作られた"才能とは全く違うのだ。


また相手が19歳である事も驚愕である。

既に完成された体と武。

父親の跡を継ぎ"武神"と称されるのは、時間の問題と思えた。



「ん〜〜俺と正面切って打ち合うのは難しそうだな、」

片やクシフォスは残念そうに呟く。



こんな台詞を聞かされては、テユーミアの自尊心が傷付かない訳が無かった。

『この私が手加減された上に、相手にされていないなんて…』

だからか、沸々と見返してやりたい気持ちが起こる。

「それは性急な判断では?」



「そうかい? なら俺を本気にさせてみろ」



「分かりました…次は本当に全力で行きます。骨の1、2本は覚悟して下さいね」



「はははっ! 問題無い、"万が一"に俺が負傷しても、テユーミア姫に賠償が起こらないようにしよう」



「なら安心して本気を出せます」

そう告げた刹那、テユーミアが残像を残して目の前から消えた。



「…!!」

これには流石のクシフォスも驚愕する。

テユーミア自身の速度も然る事乍ら、動きの認識を"ずらされた"からだ。

こんな芸当は武神と称される父親エフティーア以外に見た事が無い。


それでも、そのズバ抜けた反射神経と身体能力で、テユーミアの攻撃を片手で受け止めていた。

「ハハッ…凄いな」



『くっ…これでも駄目か』

顔面へ攻撃の兆しを残し、実際は鳩尾に縦拳を放っていたテユーミア。

これを防がれたと言う事は、もう手数しか術は無い。

受けられた拳を直ぐさま引き、両拳に因る連打と蹴りで猛襲を仕掛けた。



「お、おぉ!? うおっ!?」

間隙が無い攻撃に、とうとうクシフォスは両手で攻撃を受け止め始めた。



テユーミアは勝利を確信する。

『よしっ! このまま押し切って急所を狙う!』

どれだけ固くても、飽和攻撃に因り相手防御を崩壊させれば良いのだ。



直後、凄まじいテユーミアの連撃で、クシフォスの両手がパ〜ンっと跳ね上がった。



「貰った!!」

完全に隙だらけになった巨躯へ、テユーミアの蹴りが直撃した。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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