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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第四章:魔術師学園
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118話・団体名とその目的    ※改稿済み

プリームスが提示した変な団体名と目的は、あっさりバリエンテ達に却下された。


そして少しバリエンテが悩んだ末に、団体名を”ヒュペリオーン”と名付けた。

何とも他と毛色が違う、一見して分かりずらい団体名であった。

しかしこの名にした訳は聞かずとも何となくプリームスは察する。

古代マギア語で”高みを目指す者”を意味するからだ。



だがこの世界でも意味が同じなのか?と首を傾げてしまうプリームス。

その様子を意味が分からないと捉えたのだろう、バリエンテが説明を始めた。

「ヒュペリオーンは100年以上前に実在した人物でな、世界を流浪し武を極めた偉人だ。各地ではその活躍した逸話や伝説が幾つも残っていて、今では英雄と称されて崇められている」



全然違っていたのでプリームスはズッコケてしまう。

『まぁしかし名付けの由来は、ひょっとすれば古代マギア語と同じかもしれんな・・・』

「で、団体の目的は建前上どうするのだ?」

とバリエンテに尋ねるプリーム。



するとバリエンテは、

「俺は元々傭兵だからな。より実戦的に有効な戦術研究と立ち回りの強化と調整かな・・・。後付け加えるなら、野外で生き残るための立ち回りを学ぶと言ったところか」

そう考えながら言った。



若干、大手団体の目的と被る所はあるが、それはそれで好都合である。

目的が共通している故に煽り合って、衝突すれば良いのだ。

自分達の団体が優れていると思い込んでいれば、向こうから突っかかって来るに違いない。



「ではその団体名と活動目的で許可が下りる様に何とかしよう。それと何か証明書のようなものが必要になるのか?」

プリームスがバリエンテに問いかける。

下級学部の生徒が団体を結成するのは、これが初めての試みの筈。

例外にはそれを許可し証明する物が必要になるだろう。



バリエンテ達は考え込んでしまう。

「そう言われてもな・・・団体なんぞそうほいほい作る物ではないし、良く分からんな」

そして困ったようにバリエンテが告げる。



取り合えず良く分からないので、理事長補佐のアグノスに訊けば問題ないだろう・・・と他人任せなプリームス。

『証明書や許可証のような物が必要なら、直ぐに用意してバリエンテ達の元に届けてやればよいか』



そう言う事でバリエンテ達に、翌日から団体活動をしてもらう事になった。

修学課程は全て終えているとの事なので、バリエンテ達が授業に出る必要は無い。

故にその有効に使える時間を学部外活動へ費やせさせる。

勿論、プリームスがバリエンテ達の傍に居て、団体活動の顧問的役割も務めるつもりでもいた。



分を弁えない下級学部の生徒に、よく分からない部外者的な顧問。

この2者が大手を振って野外演習場を使っていれば、他の団体からすればきっと癇に障る筈だ。

『楽しみだな・・・』

と少し悪戯顔でプリームスはほくそ笑むのであった。






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






プリームスはバリエンテ達より先に学園に戻る事にした。

一緒に戻って理事長室に向かう所を見られるのも余り都合が良くない。

幾らでも胡麻化しようはあるが、一応念には念をだ。



事が全て上手く行ったとしても、プリームスが理事長代行だと知れれば、バリエンテ達は後ろめたさを持ってしまうだろう。

だから最後までプリームスの立場は伏せて置き、”偶然機会を得て”バリエンテ達が自分達で困難を乗り越えたようにしなければならない。


そもそもバリエンテ達との出会いは”偶然”なのだ。

そうプリームスは思い、

『私は依怙贔屓(えこひいき)などしていないぞ・・・学園の状況が目に余ったからだ』

と自分に言い聞かせるのであった。



そんなプリームスの考えを察していたスキエンティアが、

「プリームス様・・・細かな事はお気になさらずに強引に進められても問題ないかと。用意周到に権謀を駆使し、義理や道理を踏まえる貴女様のやりようは素晴らしかと存じます。ですが精神的な負担にはなりませんか?」

と心配そうに告げる。



珍しく自分を心配するスキエンティアに少し驚くプリームス。

正直な所、いつもスキエンティアがプリームスを気にかけている事は分かっていた。

しかしそれを表立っては余り出さないからだ。

詰まり、いつも以上にスキエンティアが心配していると言う事だろう。



一番大切で信用のおける腹心を安心させる為、プリームスは自身の中にある打算を語る。

「私が強引に動いて彼らを表立って救えば、最後の最後まで世話せねばならぬだろう? そんな面倒な事は出来んよ」


そして面倒臭そうに溜息をつき続けた。

「それに彼ら自身が自分達の力で問題を乗り越えたようにせねば、教育とは言えん。提示された問題用紙が解けないからと言って、生徒に回答を教えるような事は出来んからな」



すると少し考える素振りを見せるスキエンティア。

「成程・・・バリエンテさんたちの将来を考えて、あえて面倒な方法を取ったと」



頷くプリームス。

「まぁ建前としてはそんな所だ。後は出来るだけ私の知識欲が満たされて、楽しめればそれで良い」



フィエルテが驚いたような声を上げた。

「色々お考えになっているんですね! てっきりバリエンテさん達を気に入ったからとか、気が向いたからだと思っていました。私の時もそうでありましたでしょう?」



プリームスは少し顔をしかめてしまった。

恐らく無意識にフィエルテは辛辣な事を言っているのだ。


これにはスキエンティアが笑いを堪えるのに必死になってしまう。



『確かに私は大雑把で気分屋な所は有る。そして自覚もしているつもりだ・・・』

しかしながら面と向かって言われると、中々に衝撃的で胸を打つものが有る。


そして溜息をつくと気持ちの落とし所を探った。

『もはや魔王でも何でもない只の異邦人だしな・・・威厳など繕う必要は無いか・・・』

そうプリームスは思い、項垂れる自分を慰めるのであった。



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