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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第四章:魔術師学園
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111話・仕組みの不備と人の諍い

「妙案がある、1つ乗ってみないか?」

思い切ってプリームスはバリエンテ達に手を差し伸べてみた。

内容を先に話さなかったのは、バリエンテ達の覚悟を確かめたかったからだ。



そして正直な話、プリームスとしては断ってくれても構わ無いとも思っている。

お節介な自分を多少なりとも自覚しており、これ以上面倒事が増える事を危惧しているのだ。

スキエンティア辺りに、「厄介事を持ち込んで!!」と怒られるのは目に見えていた。



しかしバリエンテから帰ってきた言葉は、

「乗らせてもらおう!」

であった・・・。



そう来られては仕方ない。

『いやはや、この場合は私の方が乗りかかった船と言うべきか・・・』

諦めたプリームスは、バリエンテ達が抱える状況の打開策を話そうとした。



「いや、ちょっと待ってくれ。ここでは誰が聞き耳を立てているか分からん・・・寮まで来てもらえるか?」

と慌てた様子でバリエンテがプリームスを止める。



「寮?」と首を傾げて呟くプリームス。



「一番北側の敷地に学生寮があってな。こっちだ」

バリエンテはそう言い先々と歩いて行ってしまう。


そんなバリエンテを見てノイーギアは微笑むと、

「あらあら、お客様を置いて先に行っちゃうなんて・・・」

そう呟き後を追った。



一方、イディオトロピアは苦笑してプリームスを見つめて言う。

「何だかごめんなさいね、バリエンテはセッカチなのよ。さぁ、私達も行きましょう」

そしてプリームスの手を取ると、イディオトロピアはグイグイと歩き始めた。



『何と言うか、バリエンテとイディオトロピアは似ているな。人の意思を確認せずに話を進めるところが・・・』

プリームスは笑い出しそうになるのを堪えながら、似た者同士の二人を見やった。


恐らくこの2人は似ているが故に意気投合したのだろう。

だが似た者同士は反発しあう事もある。

だからこそノイーギアのように鷹揚な人間が間に入り、上手く取り持っているのだ。



またプリームスはこうも思う。

この3人にそれなりの権限を与えれば、何でも卒なくこなすのではないか・・・と。






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






この魔術師学園の生徒は基本的に寮生活である。

それぞれの学部で寮が別れており、全て学園敷地内の北に集中していた。



最も生徒数が多い下級学部の学生寮は、180人程収容できる巨大な寮棟が3つも建てられている。

中級学部は同じ規模の寮棟が2つ、上級学部は1つであった。

そして生徒は1人につき1つの個室が用意される為、中々の待遇である。



また下級であろうが上級であろうが、宛がわれる部屋の質は同じなのだ。

故に寮費や学園での生活費が免除される推薦枠や保護枠の生徒は、規定の金額を払っている通常入学の生徒達に目の敵にされていた。


その為、特にその比率が多い下級学部が上級学部の生徒に嫌悪され見下されるのは、ある意味仕方のない物と言えるのかもしれない。



そうプリームスはバリエンテの部屋で、寮の仕組みを聞かされ落胆する。

そもそも学園の入学に推薦枠や保護枠が有る事が問題である。



恐らく魔術の才能を野放しにしておく危険性と人的損失を考慮したのだ。

そして学園とその仕組みが急ごしらえされる結果になり、小さな欠陥に気を配る余裕は無かったのだろう。


今は小さな諍いで済んでいるかもしれない。

しかしその綻びが大きな穴となって、修復できない程の事態になるのでは?

他人事ながらもプリームスの危惧は膨らむばかりだ。



そうしてプリームスの考えは誰もが思いもしなかった結論に至る。

『魔術と魔術師を管理する別の組織が必要なのかもしれんな・・・』



寮の説明を聞いた後、思いを馳せていたプリームス。

傍から見れば黙り込んでしまった様に見える為、バリエンテは心配になってしまう。

「プリームスさん、どうしたんだ? 急に黙り込んで・・・気が変わってしまったのか?」



我に返りプリームスは苦笑いを浮かべる。

「いやいや、済まない。寮の仕組みに少し思うところが有っただけだ」

そして居住まいを正し3人を見渡した。

「では本題に入ろうか」



バリエンテは部屋の床に胡坐をかき、片やイディオトロピアとノイーギアはバリエンテのベッドに腰を下ろし真剣な表情を浮かべる。

プリームスはと言うと部屋に備え付けてある机の椅子に座り、3人を丁度見渡せる位置に陣取った。



「下級学部で、それも君達3人で学部外活動の団体を作ればよい」

特に勿体ぶらずプリームスは率直に告げる。



それを聞いた3人は、顔をしかめ、考え込み、更に落胆した表情を浮かべた。

プリームスからすれば思った通りの反応である。

しかし本題はここからであった。



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