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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第四章:魔術師学園
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106話・学部とその種類

迷宮拠点の次はプリームスが学生になる事で揉めてしまう。

揉めると言ってもアグノスが一方的に嫌がっているだけであるが・・・。

その理由の根本は、プリームスが他の生徒の目に留まる事だそうだ。



絶世の美少女であるプリームス。

見た目の年は15歳程と、丁度この魔法学園に通う生徒達と同じくらいである。

多感な年頃の少年達は、きっと一目見ただけでプリームスに恋をしてしまうとアグノスが危惧しているのだ。


勿論プリームスがそんなお子様達になびく訳が無いのは、アグノスも分かっている。

しかし自分以外のしかも男が、愛する人にちょっかいを出すなんて耐えきれないのであった。



「そんな事を言われてもなぁ・・・」

とプリームスは困ってしまう。



以前の世界では生きるか死ぬかと言う厳しい環境で幼少期を過ごしていたプリームス。

故に雛鳥のように大切に保護されて、魔術を学ぶ少年少女達に興味が湧き、一体どのような気持ちで学び舎に通っているのか体験したいと思ってしまったのである。



アグノスの気持ちも分からないでも無いが、これは自身の気持ちを優先させるべきだとプリームスは思った。

「私の幼少期では体験できなかった事なのだ。お願いだから私にその機会を与えてくれないか?」

そうアグノスへ上目遣いで告げた。



その懇願するようなプリームスの態度にアグノスが抗えるはずも無く、敢え無く撃沈してしまう。

上目遣いで訴えるそのプリームスの表情は”媚びる”のではなく、アグノスにとって”甘える”と映ってしまったからだ。



アグニスはプリームスの頬に優しく触れると、

「仕方ないですね・・・一緒に居られる時間が減ってしまいますが我慢しましょう」

そう子供の我儘を聞く母親のような表情で言った。



嬉しそうにアグノスへ抱き着くプリームス。

「わぁ~ありがとうアグノス!」



『あざとい・・・そして茶番だ・・・』

呆れたスキエンティアは、そんな2人の様子を見てそう思わざるを得なかった。


そしてそんなスキエンティアを見たフィエルテは、他人事のように苦笑してしまうのである。





その後、昼食を取りながらプリームスが体験入学する教室を選ぶことになった。

アグノスの説明によると生徒の能力や修学状況によって、基本的に3段階へ学部は分けられるらしい。



才能は有るが全く魔術の知識が無い者は下級学部。


魔術基礎を修めた者が更に次の段階を学ぶのが中級学部。

ここは専門的に分岐する魔術を汎用的に学ぶ。


そしてより高度に魔術的専門分野を学ぶのが上級学部である。

ここでは錬金術、幻術、黒魔術、白魔術など特化した分野を選び学んでいく。



更に特例として2つ以上の分野に才能を見せた者は”特級学部"へ進学する事が出来るのであった。

因みにポリティークはこの特級学部を首席で卒業し、その才能を買われ宮廷魔術師となったのである。



アグノスにそう説明され、

「なるほど」

と呟きプリームスは溜息が出てしまう。


ポリティーク程度が1番上の学部だと思うと、少し残念な気持ちになってしまったからだ。

しかし"只の人"なら仕方が無いのか?と納得しないでも無い。

『ならばどの学部を体験してもそう変わる事はないか・・・』

そう思いプリームスは一番下の下級学部にするとアグノスへ伝える。



すると先ずスキエンティアが反対をした。

「この学園の教育内容や課程を知るなら、それでも構わないでしょうが止めておいた方がいいでしょう。正直プリームス様には意味が無いですし、只単に退屈になるだけかと」



そんな事を言ってしまうと、どの学部もプリームスには何の恩恵も無い。

しかしスキエンティアの言う通り退屈なのは困り、どうせならある程度は楽しい方が良い。

『ならば特級学部か・・・』



プリームスがそう考えた時、アグノスが猛反対をしてきた。

「下級学部など以ての外です! 一番人数が多い学部なのですよ。それに身分が低い程度ならまだしも、礼儀知らずの無礼な者も居たりします。そんな輩が集う場所に、プリームス様を行かせる事など出来ません!」



それを聞いたプリームスはニヤリとした。

しかしアグノスに悟られない様に直ぐに表情を真顔に戻す。



『これは何か良からぬ事を思い付きましたね』

スキエンティアはプリームスのそんな様子を見逃さなかった。



プリームスは少し思考する仕草をしてアグノスへ言う。

「全ての学部を体験してみようと思う。アグノスが心配してくれている所悪いが、下級学部から始めたい。立場は国外からこの魔術師学園の仕組みや制度を学びに来た賓客でよかろう。目的はこの魔術師学園と同じような機関を自国に作る為・・・ではどうか?」



露骨に嫌そうな顔をするアグノス。

「この学園は魔術の才能のみで入学、そして保護した人材ばかりです。ですから先程も申した通り入り口である下級学部は、人格としては問題児も多数おります。きっと気分を害されますからお止めください」



詰まり荒くれ者も多いとアグノスは言いたいのだろう。

故に疑問が湧きプリームスは首を傾げた。

「うん? ではそれ以外の学部は紳士淑女の集まりとでもいうのか?」



そんなプリームスの素朴な疑問にアグノスは苦笑いしてしまう。

「そんな極端な事ではありませんが、普通に倫理、道徳、常識において正しい感覚を持った者が上の学部に進めるのは確かです。理由は魔術が兵器的側面を持つ為、正しく扱える人格者に魔術を学ばせると言う学園の基本方針が有るからです」



少し感心したようにプリームスは納得する。

「あ~なるほど・・・。要するに武器の扱いを学べるのは、正義の使徒のみと言う訳だな」



「また極端な言い様を・・・」

とアグノスは苦笑してしまう。


そして補足するように説明を続けた。

「中級学部までは成績と修学具合で進むことが誰でも出来ます。しかし上級学部からは理事長の審査を通過しなければなりません。詰まり高等な魔術を学ぶに値するか、人格を判断されます」



ここまで聞いてプリームスは良く管理されていると思った。

エスティーギア王妃は、只の魔術探求における変人では無かったと言う事だ。

しかしその反面、埋もれた才能がある事も確かだろうとも思えた。



そもそも自身の素行さえ偽れぬ者が、魔術と言う力を得て良からぬ企みなど考えるだろうか?

それにポリティークのように、野心を隠し生きて来た者がいるのだ。

結局審査で為人を見抜けなければ只の建前に過ぎない。



ならば馬鹿正直な荒くれ者から、才能を見出した方が良いのではないか?

そうプリームスは考え面白みを感じてしまうのだ。

故にアグノスへ告げる。


「これは理事長代行としての私からの”指示”だ。私を下級学部へ、魔術学園の見学使節として潜入させよ」



思った以上に真面目な雰囲気で言い放つプリームスに、アグノスは意を唱えることが出来ず承諾するしかないのであった。




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