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大突然変異  作者: みっけ
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プロローグ

プロローグ


 過ちだったのか、作戦の一端だったのか、その理由は未だ明らかとなっていない。今から40年くらい前のその日、米軍の爆撃機が北朝鮮の軍事基地を強襲した。その軍事基地には核弾頭が収容されていたのか、米軍の強襲から数時間後にきのこ雲を巻き上げて跡形もなく吹き飛んでいた。この襲撃は宣戦布告の前であったのか後であったのかも米朝双方の主張に喰い違いを持っている。国際世論は紛糾し、米国を非難すると思われたが、その襲撃の僅か2時間後に北朝鮮からの報復攻撃が始まってしまっていた。この事実に対し、米に組する国家は日本だけであり、他の国家は傍観者を決め込むこととなっていった。この争いに巻き込まれては核を伴った世界第3次大戦へと発展することは必至であり、いたずらにどちらかの味方を表明すれば、自国に核が到来する可能性が高くなり国益を損なうどころか、自国の存亡すら灰塵に帰すことが予測されたためである。

 現実は米日VS朝の戦いで進行することになった。米は通常弾頭により朝の軍事施設を核保有の可能性の高い順に爆撃を行った。対する北朝鮮は持ちうる全ての大陸間弾道ミサイルを発射し、米の西海岸に3発の核弾頭付きミサイルを着弾させた。日本に対しては沖縄の軍事施設が真っ先に狙われ港に停泊する軍艦の全てを撃沈させた。米艦船は港に停泊していなくとも補給が困難となり、戦域から脱出する他なくなっていた。脱出する目的地はグアムかハワイであったが、その脱出&補給の時間が北朝鮮に日本への攻撃の余裕を与えてしまった。

 沖縄に飛来するミサイルは核弾頭付きではなかったが、雨のように降り注ぎ迎撃システムはほとんど役に立っていなかった。沖縄の軍事施設が機能しないことを確認した朝は攻撃目標を原発に切り替えた。原発を攻撃することは、弾頭が核でなくとも原発をメルトダウンさせれば、核攻撃と同じ効果を現しいくつもの原発が爆砕されることになっていった。極めつけは東京都心や各地の大都市への有核・無核のミサイル攻撃であった。自衛隊や米軍の迎撃システムは朝から飛来するミサイルに対してほとんど無力であった。というのも有核・無核の弾頭ミサイルの数が多過ぎたためである。北朝鮮の作戦は質より量であり、ミサイルの射程延長や核の実験はその作戦のカモフラージュとなっていたのである。

 韓国は戦闘を横目で見ながら参戦の機会を伺っていた。韓国としては、同一民族との闘いを望んでおらず、ましてや米が北朝鮮に宣戦布告することを知らされておらず米軍と共に戦う意思は米への非難へと傾いていたのである。

 戦況を分析すると、米の爆撃機VS北朝鮮のミサイルとなっていた。北朝鮮の戦闘機や爆撃機は飛び立つことはしても積極的に米や自衛隊の軍艦を襲うことはせず、いわゆる囮に徹するだけであった。

 日米の誤算は北朝鮮のミサイルの数の多さであった。ミサイルは有核・無核の弾頭を交えて数千発存在して、いかに迎撃システムが働こうとも核の有無を選別することはできなかった。確かに有核のミサイルもいくつか迎撃したが、日本本土に降りかかるミサイルの雨は防ぐことはできなかったのである。それとは別に米西海岸に着弾した大陸間弾道ミサイルも宇宙空間から噴射式のミサイル超加速度のシステムによって迎撃システムはほとんど意味を持たない無力化された代物とされたのであった。

 米国本土への大陸間弾道ミサイルの着弾によって米本国はパニック状態となり、政府への非難が高まり北朝鮮との戦争の継続が困難となることも予測された。

 最も被害を受けた日本は政府中枢を米本土に移し今後の対策を練ることになったが、荒れ果てた日本本土の修復すらままならない状態であって有名無実の政府と成り下がってしまうことになった。

 この戦争は僅か7か月で終焉を迎えるのだが、実質的な勝者は北朝鮮とその支援国となった。北朝鮮首脳部はいずこかの国に亡命し、北朝鮮と韓国の合併が進められその朝鮮統一国家は米との関係を打ち切ることになったが、北朝鮮は元より韓国の米離れの理由はあまりにも強引な開戦の火ぶたを韓国の意思を無視したかたちで行ったことが挙げられる。

 これによって米は直接的な敵を失うことになる。北朝鮮が韓国と合併し韓国の政体を引き継いだのだから振り上げた拳を下ろす敵対国家は存在せず、北朝鮮の支援国も敵対するほどの動きを見せたわけではなく、追い打ちは韓国と米の同盟関係は韓国からの一方的な通告により破棄されてしまった。

 日本は、人が住めないほど放射線汚染が酷く、これによって米は極東の拠点を全て失うことになった。

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