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『確信犯』『語るに落ちる』 誤用ミステリーセットはいかがですか?

 今日も僕は小説を書く。

 仕事をしてる時も、風呂に入ってる時も、いつでもネタを考えている。

 そんな僕は、いっちょまえの小説家として活動出来ているのかもしれない。



「さあて、小説を書くか」



 # # # # # #



『樋口君、君はまさか……私のプリンだと分かって食べたのかね!?』

『……サア、ナンノコトデショウ』

『君、もしや確信犯か!?』

『ソンナコトドウデモイイジャナイデスカ』

『いやいや!!? 君はプリンよりも大事なことがあるのかね!? 名前が書いてあったんだぞ?』

『いや、容器に書いてはありましたがプリンそのものには書いてありませんでしたし』

『語るに落ちたな!! 捕まえろ!』

『はっ!! つい口が滑った!!』



 # # # # # #



「はっくしょん!!」

「……またあ?」

「そう、はっくしょん、まただよ、はっくしょん、しかも二個」

「うそ!? 二個もあった!?」



 僕は自分の書いた文章を見直す。

 しかし、どれが誤用なのかは分からない。



「誤用は自分ではなかなか気付けないからね、ここだよ」



 そう言ってレッコンは僕の小説を指さす。



 # # # # # #


『確信犯』

 自分の行いは正しく、政府や法が間違っていると確信した犯罪。

 道徳的、宗教的に見て、周囲や社会が間違っており自身の行いこそが正しいと信じて行った犯罪。

 思想犯・政治犯・国事犯が該当。

※正用をしている方は少なく、誤用でも十分に通じる。

※誤用が転じて、自らが悪いと分かっていても知らんぷりした行為。


例)あの世界を揺るがしたテロリストは確信犯であった。

※例)あいつ、電車が遅れたとか言ってたけど確信犯だよ。



『語るに落ちる』

 本来は『問うに落ちず、語るに落ちる』という言葉の『問うに落ちず』が省略されて広まった言葉。

 意味はこちらから問いただしても答えはしないが、話させると自分から勝手に本心を語ってしまう、というもの。

 どちらかと言うと間抜けな印象の言葉であり、話す意味のない人・事、つまらない人・事という意味ではない。

 良くある誤用では『自分で言ったことによって、自分の首を絞めている』という意味に間違えられている。

 この使い方をする際は『墓穴を掘る』や『自縄自縛』が正しいのではないかと思われる。


例)容疑者は此方が聞いても何一つ答えなかったが、かつ丼を出して話を聞いていたら語るに落ちた。



 # # # # # #



「まじかぁ~」

「まじだよー」


 僕は短い文章の中で誤用をしていた言葉が二個もあったことに肩を落とす。

 それをレッコンは仕方ないよと僕の肩を叩く。


「確信犯も、語るに落ちるも普段から使う言葉ではなかったからね、誤用が広まってもしかたないよ。こう言う言葉は誤用での認知度が広まりやすいからいつかは誤用こそが正用になるかもしれないね」

「じゃ、じゃあ」

「でもまだ正しいと判断されたわけじゃないから誤用だよ」

「ですよねー……」



 僕の態度にレッコンは憮然とする。



「やれやれ、この様子だと君が大御所小説家になるのはいつになるのやら……」

「しょ、精進します……だからそんな失望した顔をしないで」

「君には期待しているよ? だから誤用しないようにね」



 底辺作家には嬉しい言葉であった。

 たった一つの感想で誤用を減らす様にがんばろう、そんな風に思える現金な奴な僕であった。

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