『役不足』 不足してるのは力じゃなくて役割の方だよ ※9/27追記『役者不足』は造語
今日も僕はキーボードを叩く。
レッコンのおかげで誤用が減ってきた僕は指も軽やかだ。
カタカタ、ターン! なんて恰好良くやってみたりもしている。
ふふふ。
筆が乗る乗る
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僕は王様に『勇者』と認められた。
だが、それを認めない者がこの場で騒ぎたてた。
『認めん! 認めんぞ! そのような平民ごときに勇者など役不足だ!』
この国の宰相、オクーニ・ノットールだ。
『この者が勇者には役不足だと言うのか』
クニユズール王がため息混じりに宰相へと訊ねた。
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ターンとエンターを恰好良く押した瞬間、いい気分だった僕に対してくしゃみを吐きかけてくる存在が居た。
「は……は……調子乗ってカタカタターンやってるけど恥ずかしく誤用してる奴ーっくしょん!!」
「くしゃみ中にしゃべるとか中々っ!!」
僕の後頭部に唾液のしぶきが霧吹きの如く吹きかかる。
とても汚い、がいつものことだ。
それよりも筆が乗り乗りの僕が誤用だって?
「待ってくれよレッコン。僕がいつ誤用してるって言うんだ」
「君が誤用してるのは何時ものことだろう、作品のコンセプト的に」
ダメだ、それ以上はいけない!
「そういうことで何処が誤用してるか早く教えてくれよ」
「はいはい」
レッコンがホワイトボードを取り出す。
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『役不足』
その【人物】に対して【役割】が軽すぎること。
もしくは当人が役に対して不満を抱くこと。
例)大御所の俳優である僕に通行人Aは役不足だ。
良くある誤用、当人に力が足りないのは『力不足』。もしくは『荷が勝つ』『荷が重い』『器ではない』などがあります。
現在では造語の『役者不足』の認知度が高いらしく、その内辞書に乗るんじゃないかな。
※『役者不足』
ご指摘いただいてきちんと調べたところ、どうやら造語のようです。
辞書には載っていない言葉です。
この言葉は、間違えた人が誤魔化した時に作ったのが有力な説の模様。
私自身が誤用してました。既に読んだ方、誤解を招いて申しわけありません。
役者不足に関しては『役者』/『不足』と分けて考えると良いみたいです。
役者不足→役者が足りないが本来の意味≒人手不足
『水』/『不足、『力』/『不足』などの様に頭についた言葉が不足すると考えると私にも理解できました。
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「僕は力不足と勘違いしていたんだね」
「そうそう。君も大御所作家になろうだなんてまだまだ『力不足』だよ……今はね」
「ぐっ……! 精進します」