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『火蓋が切られる』『幕を切って落とす』 大御所過ぎるぜ、この誤用はよ……!!

「戦う描写って難しいなー」


 僕は頭の後ろで手を組み、背もたれに体重を掛ける。

 上手く書けない時、そう言う時は書けるところから書けばいい!


 # # # # # #


 戦場の空気は張り詰めている。

 僕の号令一つで、戦いが始まるだろう。

 士気は高い。

 僕は大きく息を吸う。

 吐き出すは戦いの開始の合図。


『総員突撃!!』

『『うぉぉぉぉぉッ!』』


 こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。



 # # # # # #



「誤用ッくっしょん」



 レッコンの謎くしゃみが炸裂する。

 どうやら、また何処か誤用してしまったらしい。



「今回は何処を誤用してるの?」

「今日は素直だね」

「そりゃそうだよ。これだけ誤用してるとね、自分でもまずいなって思うし」

「なるほどなるほど、そう言う考えは大事だよね」



 レッコンはいそいそとホワイトボードを取り出す。

 うん、機嫌が良さそうだ。



 # # # # # #



『火蓋が切られる』

 火蓋が切って落とされるのは誤用。

 火蓋が切られるは、火縄銃の安全装置である火蓋を開くことを意味している。

 この『切る』は『開く』という意味で使われており、火蓋を開くことで何時でも撃てる状態にすることから、転じて物事を始めるという意味、

 よって『戦いの』がつくことでこれから戦いが始まることを表現している。

 誤用の原因は歌舞伎用語にある『幕が切って落とされる』との混同であると考えられる。


 ※一度だけ、わざと戦いの火蓋が切られるという表現をした人を見た事がある。戦闘開始!の後即終了という展開で、肩透かしを表現していた。分かる人にだけ分かる表現だと作者の方が言っていました。



『幕を切って落とす』

 元々は歌舞伎用語。

 物事を華々しく始める、という意味がある。


例)全国大会の幕が切って落とされた。



 # # # # # #



「あー、混じっちゃったのか。両方知ってる言葉で似たような意味だもんね」

「そう、誤用はこう言う所から始まるんだ。それは仕方のないことだよ」

「でも、仕方ないで止まっちゃダメなんだよね?」

「そうそう」


 僕はレッコンと一緒に口元を緩めたのだった。

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