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プロローグ
もし生まれ変われるとしたら……
私は猫になりたかった。
日がな一日のんびり気ままに、惰眠を貪り狩りの練習をして。
愛嬌を振り撒けば下僕が美味しいご飯を出してくれる。
たまには人の膝の上で甘えてみたり。気に入らない事があってちょっと手を引っ掻いた所で、デレデレに甘やかされこそすれ、怒られる事など有り得ない。
無償の愛を注がれる。
あ、でも犬もいいな。
大型犬でも小型犬でも。
犬って、人を愛したいから愛するんだって。
帰りが遅くなってお散歩の時間が短くなっても、ご飯の時間が遅れても。ご主人様がいれば幸せなんだって。
見返りを求めない無償の愛を注ぎ続ける。
健気だよね。
猫のように愛されて、犬のように愛し続けたい。
誰も疑う事なく……。
なんてちょっと浸ってみたりなんかして。
だってねぇ……。
まさか本当に生まれ変わっちゃうなんて思わなかったからさぁ。
もふもふ狼ちっくな生き物に。