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想いはやがて星になる  作者: 二階堂隆一
9/9

ノイン

 マルカは両翼をひろげ、冬の空へと羽ばたいてゆく。


 美しい曲線を描きながら大空を旋回し、僕の頭上を飛び続けたマルカは、やがて濃黒に染まる雲のほころびに吸い込まれて見えなくなった。

 後には、ざざあ、ざざあ、という規則的な波音と、灯台の淡い光に照らされた大粒の雪だけが空に残った。

 僕は手袋を外し、足元の雪に刺さった白い羽を拾い上げる。

 瞬間、ふっと美鈴の笑顔が脳裏に浮かんだ。

 母に似た白い肌に、父譲りの優しいまなざし。

 なにもかもあの頃のままで、過ぎ去ったはずの時間が降りしきる氷の結晶に反射して蘇り、たくさんの想い出が流星みたいに輝いては、静かに消えていった。


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