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想いはやがて星になる  作者: 二階堂隆一
7/9

ズィーベン

 冬も深まり、暗く寒い夜が長く続くようになった。

 雪は連日降り続き、積もった雪の上からまた新しい雪が積もり、入島全体が雪と厚い雲で覆われ、太陽は深い深い眠りについていた。



 ある日の午後、マルカは、僕に全てを話してくれた。

 自分が冬という季節を司る妖精であること、星の数ほど妖精がいること、春が来る前に次の惑星、遠い星へ行くこと、そして二年前の記憶がほとんどないということも、僕に話してくれた。

 だから、「話があるの」って急に言われた時、僕はすぐに分かったよ。

 マルカの言いたいことがね。

 もう、行かないといけないんだろ。

 それくらいわかるさ、君の青い瞳を見ればね。



 ぎゅむ、ぎし、ぎゅむ、ぎし。

 坂道を登りながら、僕はマルカと過ごした短くも暖かな日々を思い返していた。それは、天国にいる美鈴と過ごした大切な記憶と同じ明るい色をしていた。

 僕は立ち止まり、手で庇をつくって崖の上を見上げる。

 白い雪の帽子をかぶった灯台は、なぜかいつもより小さく見え、しゅんとした出立ちは、悲しみを湛えたひとりの人間を思わせた。


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