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想いはやがて星になる  作者: 二階堂隆一
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アインツ

 あと五分か。

 大きな溜息をつき、視線を海にもどした。

 ざざあ、ざざあ、ざざあ、という規則的な波音に耳をかたむけながら、なにも考えずにただぼうっと青い海を眺める。


 東の方角、小さな船を遠目に見つけた。

 工場地帯である入島(いりしま)に観光客が来ることは滅多になく、大小ほとんどの船が労働者と物資を運ぶためだけに使われている。

 僕は足元にある雪をかき集め、おにぎりみたいに固めたそれを力いっぱい遠くの船めがけて投げた。

 右手を離れた雪玉は船の遥か手前で力尽き、海の底へと沈んでいった。

 みいっ、と背後で鳥が鳴いた。

 なるほど、もっと投げろってことかい。わかったよ。

 僕は雪を両手でかき集め、今度はソフトボール程の大きな雪玉を船に向かって投げてみせた。

 雪玉は空中で分散し、ひらひらと舞いながら海水に溶けていった。

 白い鳥がみいっみいっ、とまた鳴いた。

 どうやら喜んでくれたようだ。

 僕は手についた雪を払い落とし、レンガ造りの灯台で悠々と羽を休めている鳥に声をかけてみた。


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