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華嫁(はなよめ)の定義  作者: 桜幕
第1章
9/33

8話 牢屋


――――――牢屋




罪人などを捕えて閉じ込めておく所。




「私は罪人じゃない!!理不尽過ぎる!!!」

「黙れ!!」


私は牢屋らしき建物の入り口に差しかかった瞬間に抵抗を試みた。

いざその場所を目にすると恐怖心が出てきたのだ。

ドラマや映画などで映像を通して牢屋のイメージはあるが、リアルに見るとかなり嫌だ。

私をここまで連れて来た騎士の一人が


「お前は王子の命により罪人ペッカートルの間の牢屋に入る事になったから大人しくしろ」

「……ペッカートルの間?」


騎士の言葉の中に聞きなれない単語があり私は思わず聞き返した。

それに私はこれから牢屋に入れられるのに、どうして牢屋に名前が付けられているのか疑問に感じたからだ。

騎士は軽く一瞥し


「……そこに入れば分る」


それだけ言って騎士は口を噤んだ。

あまり大きな声で言えない場所なのかと私は騎士の何とも言えないような表情に、そう解釈した。

入り口である大きな扉を抜け私は奥に真っ直ぐ伸びた通路を歩かされた。


牢屋の建物の中は所々壁に燭台が置かれ火が灯されているが中は薄暗い。

歩を進めていくと鉄格子が見えその奥には罪人らしき人が数名見られた。

首には首輪と鎖が繋がれ生々しさを感じ、体に緊張が走った。

私はこの中でこれから過ごさないといけない事実に目を瞑りたくなった。


ドクドクと心臓の鼓動の音が早打ちしている。

私はどこまで連れて行かれどの様な牢屋に入れられるのだろう。


……


結構、奥に進んでいるのですがまだ着かないのですか?

私は未だに通路を歩かされていた。

多分10~15分ほど経っているのではないかと思う。

それにしても牢屋がある場所にしてはやけに広くないですか?

入り口の近くには鉄格子がある牢屋が幾つかあり罪人らしき人の存在もいたが、なかには空っぽの牢屋も所々見かけた。

私はそこを通り過ぎて奥へと進み、途中通路が分かれていた。

私を連れていた騎士は左に曲がるよう促してきて行き止まりに突き当たった。

行き止まりの場所には牢屋がある場所には似つかないつたのデザインがされている扉があった。

騎士が腰にぶら下げていた鍵をその扉の鍵穴に差し込んだ。


――――――もしかしてここに入れられるの?


緊張したのか私は唾を飲みこんでいた。

ガチャリと鍵が開く音が鳴り騎士は扉を開いた。



……んっ?


扉の先には新たな扉があった。

一瞬、コントかよ!!!と、ツッコミたくなったのはお笑い好きの私としては致し方ない。

普通に考えれば、重要人物を閉じ込める為に何重もの扉を配置する事があるなんて、私には気付くはずが無かったのだから。


結局3重の扉を通り抜けた後、ある牢屋の前に来た。


「……牢屋ですよね?」

「ここが罪人ペッカートルの間だ」


騎士は私に伝えると、最後の扉の鍵を開けドンと背中を押された。

押された勢いで私は足もとがふらつき、本日二度目となる床にへとダイビングする羽目になった。


「っ!!」

「後はあの方にでもお聞きしろ」


なにかを言っていたが、私は体の痛みで聞こえていなかった。

騎士は私の目の前で扉を閉めガチャリと鍵を閉めた。

そして足音が遠くなっていくのを感じ私を一人にして騎士がここから離れていくのを理解した。



私は床に倒れたていたのをそのまま仰向けになりぼんやり上に目線を上げた。


「本当に牢屋に入れられたんだ……」


ポツリと独り言を呟いていると、人の声が聞こえた。

それも私に問いかけて来る。



「お姉さんはどうしてここに入れられたのですか?」


――――――幻聴?




子供の声が聞けるんだけど……

こんな所に子供なんているわけないよね?

考えたくないけど、もしかして……もしかして子供の幽霊付きオプション牢屋なんて物じゃないよね?


私は恐い物見たさでついつい声が聞こえた方に顔を向けてしまった。


壁の隅に置かれた椅子に一人の少年が座ってこちらを見ている。

ストレートの金髪に瞳の色は綺麗な水色だ。

年齢は11歳から12歳位に見える少年は年齢の割にとても大人びた雰囲気に感じられる。

彼はジッと私を見つめている。

そして、ふわりと顔の表情を緩め


「お姉さんも巻き込まれたのですか?」


全てを悟った様な口調で話しかけてくる少年に私は


「君は幽霊ではないよね?」


西洋の幽霊は足があると言うし……ってココは異世界エスラルードでした。

途中から何となく気づいていたが取りあえず確認の為に少年に尋ねてみた。


「……まだ死んでいないと思いますが?」


思わぬ質問に彼はキョトンした表情になりながらも真面目に答えてくれた。

その後、面白かったのかクスリと微笑んでいた。


「ココって牢屋である筈なんだけど、どうして君の様な子供が入れられてるの?」


私は少年をどう見ても犯罪に染めてこの場所に入れられたようには見えない。

それに少し会話をしただけだが、聡い子だと思う。

着ている服装も明らかに貴族の子息が着ている装いだ。


少年は椅子から離れ私の側に近付いてきた。


「そうですね、詳しい説明は出来ませんが僕は何も悪い事はしていない。……それだけは自信を持って言えます」

「私もそう思うよ。だって、この国の人達とっても傲慢で理不尽だもん」

「……済みません」


少し愚痴った私に少年は申し訳なさそうに私に謝ってきた。


「ええっ!!どうして君が謝るの?」

「僕もこの国の者ですから……」

「ああっっ‥…言い方悪かったね。この国の一部・・・の人だから!!(+αマリアもだけどね)君は気にしないでいいから!!」


しょぼんとする少年に私はフォローをする様に言葉を続けた。


「そうだ!!私の名前は伊万里イマリと言うんだけど君の名前を教えてくれるかな?」


まず仲良しになるには名前を教え合うところからだよね?



「はい!!イマリさん。僕の事はミシェルと呼んで下さい!!」


嬉しそうに名前を教えてくれたミシェル君の笑顔はとても可愛らしい顔をしていた。




――――――よく見ると将来有望な美形予備軍の美少年じゃないの!!




どうやら牢屋の中でのミシェル君との同棲?生活のスタートは好調そうです。








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