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華嫁(はなよめ)の定義  作者: 桜幕
第1章
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1話 華嫁

華嫁はなよめ






私の脳内はこの漢字で変換される。

異世界エスラルードにはある神様が存在をしているという。



はなの神と書いて『華神かしん



エスラルードをつかさど華神かしんは全能の神と崇められて国は違えど、この世界では多くの人間に信仰されている。

華神に関連する事で有名な伝説もしくはおとぎ話が昔から語り継がれている。


華神が遣わした乙女――――――その女性を『華嫁はなよめ』という。


数百年前に一人の女性が異世界からこのエスラルードに召喚された。

彼女は黒髪黒目の大変美しい少女だったという。

運命に導かれる様に偶然召喚された森でその国の王子と恋に落ちた異世界の少女は王妃となり彼女が高齢でこの世を去るまでその国は他国の侵略に魔物の驚異とに全く怯える事がない平和な国であった。それ以前は治安が悪く魔物も多く出没し戦争を続け荒れていた国とは思えない程に。

彼女が花嫁となってから目に見える様に安定していく国に栄えだしていく街に村と目まぐるしく変わっていく状況にその国の人々は奇跡を目の当たりしていた。

そんな中一人の人間が言いだした。

「王妃はもしかして、華神に遣わされた花嫁ではないか?」

華神のはなはなの嫁ともじって『華嫁』と言われる様になった。





と、リンダにおとぎ話として話を聞いたのだ。

彼女曰く

「だからと言ってこれはただの伝説だからイマリは黒髪黒目だけど気にしなくていいわよ」

微笑みながら話す彼女に安堵した記憶がある。

まさかそれを鵜呑みにして本当に異世界から黒髪黒目の少女を召喚する奴なんているなんて思いもしなかった。








「私がその『華嫁』なの!?」

「そうだ、いずれそなたは私の花嫁になる」


金髪碧眼の青年は侮辱した視線を私に送った後、隣にいた少女に説明をしだした。

さっきの態度が嘘の様に私の存在を打ち消した青年は私を見る事は無い。

別に気にしないけどね、先ずはここがどこかが聞きたい。

耳をダンボにしながら私は彼の説明を聞いていた。


……エスラルード   ……ルワリスタ国     ……第一王子     

端々に単語をかいつまんで聞くと間違いなくここは異世界エスラルードで間違いない。

ルワリスタ国?確か両親が住んでいる国の隣国がそんな名前だった筈。

両親の住む国が大帝国なので、その国に属している小国だと言ってたような言ってないような……この世界の地理を覚えろと言われてもスルーしていたからね。

今から思えばもう少し隣国の関係とか聞いとけば良かったと少し後悔をした。

そして最後に聞こえた単語は認めたくないが、この性格悪そうな金髪碧眼が王子ですと!!!!


「王子様なんですか!!こんな素敵な王子様の花嫁になれるなんてマリア嬉しいですぅ!!」


キャッキャと体を弾ませねっとりとした声色でゴマをすりだした彼女に私は若干……かなり引いた。

――――――いくらイケメンだからって初対面でそれも即答で花嫁に同意するなんてこの子本当に大丈夫なの?


「マリアと言うのか?美しい名だ。私の事はフレディと呼んでくれ。でだ、マリアに尋ねたい事があるがこの女は其方とは知り合いなのか?」


えっ?私の事?


マリアと名乗った少女と二人の世界を作っていた王子が突如私について触れてきた。

彼女は質問と同時に大きく首を横に振り


「知らないよ?初めて見る赤の他人~」


甲高い声で話す彼女は今の私の立ち位置を全く分かっていないようだった。


「ではこの女を牢屋に入れても其方は気に留める事は無いという事か?」

「牢屋に入れるの!?それはちょっと可哀想じゃないのかな……」


可哀想と言葉に出しながらも彼女の表情はとても楽しそうだ。

この子の性格はあまり良くないかも……。私は頭が痛くなった。人の不幸を楽しむタイプがたまにいるが彼女は正にソレだ。


「でも王子様が決める事だからマリアはこの人が牢屋に入れられても反対できないから仕方が無いよね」


彼女は私に向かって勝ち誇った表情で微笑んできた。初対面の相手に対しそれは無いのではないかと声を出そうとした瞬間に私の腕はいつの間にか壮年の男性に掴まれていた。


「フレディ殿下、この者を尋問してよろしいでしょうか?」

「……好きにしろ。私は『華嫁』にしか興味ないからな。そのまがい物の女はお前に任せる」

「……御意」


王子は一言男性に言葉を残し、マリアと一緒にこの場を離れた。

先程から交わされていた彼らの会話に私は何が起こっているのか理解できないでいた。

召喚に巻き込まれ、髪と目の色が違うと言うだけでこの扱いは一体なんなんだと大きな声で叫びたい。

そして彼女の対応。




ショックを受けている私を引きずる様に男性はある部屋へと向かうのであった。



























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