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華嫁(はなよめ)の定義  作者: 桜幕
第1章
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プロローグ





華嫁はなよめにひっついてきたこの女は一体何者なんだ?」



苛立ちを隠そうとしない金髪碧眼の煌びやか装いをした顔立ちが整った青年は私を見下した視線で横に立つ40代になるだろうか壮年の男性に話しかけていた。

蝋燭の火だけで灯された部屋の中央の床には魔方陣が描かれその陣の上に私ともう一人女性が立っている。






――――――召喚された?








ある理由で召喚をされていた事に慣れていた私は溜息を軽くついた。今年で20歳になる私は幼い頃から異世界に召喚される事が度々あった。

召喚理由は巫女や勇者を求めて異世界からんだのではなく、ある国の夫婦が娘が欲しいと魔力の強い魔術師にお願いするとその魔術師は何と異世界から幼児を召喚したのだ。


その幼児というのが当時5歳になったばかりの私こと浅瀬伊万里あさせいまり


あの頃は知らない場所に自分とは全く異なる顔立ちの人達と召喚された当時はかなり泣いたんだよね?

私を召喚した魔術師も女の子を欲しがった夫婦も必死になり私と仲良くなろうと頑張った結果幼いながらに私もその内仲良くなったんだけど、すぐ信用して心を彼らに開いた私はあの頃は本当に素直だったと思う。

彼らが纏っていた雰囲気が私に対しかなりウエルカム状態だったのも心を開いた要因の一つだったかもしれない。

成長をして改めて彼らに話を聞くと


「黒髪黒目に不思議な顔立ちのイマリに私達は一目見た瞬間に貴方の虜になったのよ」

「この世界ではあまり見ないからね。だが、それだけでは勿論ないよ。素直で可愛らしい君の性格も私達は好きだよ」


ここ異世界エスラルードの私の親である母親のリンダと父親のラインバードは口を揃えて説明をしてくれた。彼らの年齢はアラフォーみたいだけど、どう見ても20代後半にしか見えない。ぜひ私に若さの秘訣を教えてほしいものだ。そしてかなり美形だ! 二人とも。

話がずれたが西洋人の顔立ちが多い異世界エスラルードでは生粋の日本人顔である私はかなり珍しかったそうだ。私が思うに珍種の動物を愛でている様に感じられるのは私だけだろうか?

女の子が欲しいからって別の世界から何故召喚したのかを聞いた時に


「わたくしは、次に出産をする事になっても男の子しか生まれないと魔術師のノエルに予言されたので」


長い睫毛を伏せ彼女は申し訳なさそうに私に話した。そんな辛そうな顔をさせる為に聞いたわけではないのとフォローを入れようとすると


「生まれてくる子が全員男なんて萌え要素が全くないわよね?わたくしは可愛い女の子と一緒にいる方が癒されるのに!!」


最近私が教えてあげた単語『萌え』を使うのは彼女のブームのようだ。


「イマリがたまに、ここに来てくれるおかげで娘がいる気分を味わえるのは本当に嬉しいわ!」

「イマリ、そろそろ拠点をここ(エスラルード)に移してもいいのではないか?」

「ん~これから私は大学生だから卒業するまでその話は待っててくれる」


悩む素振りをしながら私は彼らに伝えた。実は初めて異世界エスラルードに召喚されてからずっとここで生活をしている訳では無い。

魔術師の魔力が高いのか自由に私をんだり日本に還す事が出来るのだ。

はじめは全く理解できなかった私だが(5歳児に分るわけが無いと思う)成長をして召喚、帰還を繰り返す内に自由に行来き(魔術師がぶのが前提だけど)出来るのを知った。

それに異世界エスラルードで一か月生活しても日本に還った時には時間が経っておらず、私が行方不明になるという警察沙汰になるという問題も起こらないので安心して召喚されている。

日本に還る時も次の召喚する日を決めて来るので、私は日本からお土産を持って行ったり日本の事を教えてあげていた。

彼らは全く異なる文化に毎回私の話を真剣に聞いてくる。

内容は……オタクな会話が多い。

えへへ!実はガッツリオタクな私なんです。漫画にアニメにゲームとオタク仲間を異世界で増やしちゃいました。

やっぱり共通の趣味が合う会話に花が咲くよね?最近の野望は彼らの息子達……一応、異世界エスラルードではお兄様かな?も、オタクの世界に引きずり込み中!!

だけど、彼らは二次元にはあまり興味を持ってくれない……。クスンッ

オタクな話には乗ってくれないけど、私の事は非常に可愛がってくれている。

両親に似てかなり美形が揃ったイケメン4人兄弟である。

リンダが男ばっかりと嘆いていたが自分の息子達が美形ばかりなのは凄いと思う。

彼らとは約15年の付き合いだけど、最近私に対してのスキンシップ多いんだよね……何でだろう?




話がずれてしまったが、そんな理由で召喚慣れして冷静な私だけど目の前にいる男性二人はハッキリ言って見覚えが無い。

それに隣にいる女の子も……。

溜息を心の中でつきながら女の子の顔を確認した。

紺のブレザーの制服を着ている限りでは日本人の高校生なのだろう16、17歳といったところか。

召喚という環境に慣れた私と違って彼女は想像だにしない出来事なのに、金髪碧眼の彼の顔をじっくり頬を赤く染めながら魅入っている。

――――――美形なのは認めるけど性格悪そう……。それに兄様達の方が数倍かっこいいと思う。

相変わらず嫌なオーラを出しながら私を見ている青年が口を開いた。



「この国を繁栄させる『華嫁はなよめ』は、黒髪黒目と言ったが何故違う色を持つ者が混じっているんだ?」



――――――そういえば昨日髪をキャラメル色に染めたばかりだった。リンダにお願いされて髪の色を魔法以外で変えるとどんな風になるのか是非見せてほしいとお願いされてしてたんだよね。あとカラーコンタクトも付けた状態で見たいと希望に答えた私の今の目の色は深い緑色をしている。





しかし、先程から彼は気になる言葉を言っている。

華嫁はなよめ』と……

私がいつも行き来しているあの国もおとぎ話として聞いた事がある。

これだけは確信できる。





――――――召喚されたのは異世界エスラルード






だが私は違う国に召喚をされたらしい。

青年の態度を見る限りは私にとってはあまり良くない状況かもしれない。





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