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Parasitic on Love.  作者: Koto
2/7

私の中心

そういえば昨日、綾ちゃんが言いかけたことってなんなんだろう?


あたしは授業中(しかも大嫌いな数学)にもかかわらず、ぼんやり窓の外から見える景色を眺めながらそんなことを考えていた(窓際一番後ろの席の特権だよね)。まぁ、あんなにがっかり落ち込んでたんだからよっぽどのことがあったんだろうなぁ。じゃなきゃ鼻水すすったり涙目になったりしないよね。

後でメールしてみようかな、なんて思った矢先にポケットに入れていた携帯が震えた。



あ。綾ちゃんだ。



ちょっぴり運命的だな、なんて乙女チックなことを考えたあたしが恥ずかしい。

そんなこと考えたって無駄なのをあたしはずーっと前から学んでる。少なくとも綾ちゃんがお兄ちゃんを好きだと知って3日目以内には、ね。

妙な期待なんて捨てて、あたしはメールボックスを開き、綾ちゃんからのメールを見る。

ほら、やっぱり。



―――ましろ~ッ。

  孝仁が冷たいいいいっ!!!



綾ちゃんの頭の中はお兄ちゃんでいっぱいなんだから。きっと、いや絶対綾ちゃんはお兄ちゃん以外考えていない気がする。いつだか綾ちゃんにお兄ちゃんの何がいいのか聞いたら真っ赤な顔して「全部。」って言ってたし。

妙な期待は当の昔に捨てたとしても、この胸のちくちくとさす感じは一向に収まってはくれない。むしろ日が経つごとに、あたしが綾ちゃんを思えば思うほど増している気がする。きっとこの痛みは好きと比例してるんだ。


何が冷たいの??と聞きたくもないけど一応送ってみると、綾ちゃんからはほんとに一瞬で返事が返ってきた。あたしが何気ないメールを送ったときは返事が遅いのに、お兄ちゃんに絡めたメールの返信はピカイチで早いと思う。

やるせないよね、ほんと。


―――ましろにあげるからって、孝仁がつくったマフィンもらえなかった(;;)


くだらな!

あたしはそんなことかとがっくり肩を下ろした。てゆうかお兄ちゃんもマフィンくらいあたしじゃなくて綾ちゃんにあげればいいのに……。ため息一つついて返信しようとすると、また携帯が震えた。


(あ、お兄ちゃん……)


噂をすれば何とやらかな。

そしておにいちゃんからはましろの好きなマフィン作ったぞ^^とかいうメールが送られてきてこれまたため息が出た。これはお兄ちゃんに綾ちゃんもマフィン好きだからあげれば?とメールを打つべきなのかな……。ああでもあたし、確かにお兄ちゃんの作るマフィン好きだし、これたぶんバナナとチョコ入ってるからすんごーく美味しいと思うし……。


むー。

すっごく迷う。


そして結果、今日は学校で友達からマフィンたくさんもらったからもう食べれないって嘘ついた。だから綾ちゃんにあげて?って。……うん、これ結構酷なもんだよね。さらばあたしの好きなマフィン。涙がちょちょぎれるよ、ほんと。



ブーブー……



あ。綾ちゃんからだ。



―――孝仁からマフィンもらった!!

  ありがとましろ。大好き!!



きゅん。

マフィン、諦めてよかったかも……。

結局あたしは綾ちゃんに甘くて、綾ちゃん中心で考えちゃうんだよね。これって駄目だと思うけど、綾ちゃんが喜ぶならいいかなって思っちゃうから。それに、大好きって言ってもらえたし。

あたしも綾ちゃん大好き、そこまで打って送信ボタンを押そうかどうか迷った。

これくらい、大丈夫だよね。



そう思いつつ、消した。

結局、どういたしましてって簡素なメール文章を送ってしまったあたしはとってもかわいくないし、少しも素直じゃない。でも少しでも好きって伝えてしまえばいつかどこかでボロを出して、きっと綾ちゃんに迷惑かけちゃうから。




そう考えるあたしはやっぱり綾ちゃんが中心。


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