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塹壕勇者の殺戮戦線  作者: 結城 からく


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2/2

後編

 着地したマルクは即座に散弾銃の引き金を引いた。

 腹を撃たれた帝国兵が吹っ飛んで転がり、血を吐いて死ぬ。

 マルクが死体の銃に手を伸ばした時、首筋に鋭い痛みを感じた。

 そこにはナイフが深々と突き刺さっていた。


(昔から感知は苦手だったが、不死身になってからは壊滅的だ)


 内心で嘆きつつ、マルクは振り向きざまに聖剣を振るう。

 背後から奇襲を仕掛けた兵士は、胴体を輪切りにされて臓腑を撒き散らした。


 マルクは首から生えたナイフを勢いよく引き抜く。

 頸動脈から鮮血が噴き出すも、すぐに傷口が塞がって止まった。


 休む間もなく、今度は三人の帝国兵が接近してくる。

 雄叫びを上げる彼らは、物陰から一斉に発砲した。


 棒立ちだったマルクは全身に銃弾を浴びる。

 血肉が弾けて頬や額に穴が開く。

 思わず膝をつくマルクだったが、彼は無言で三人を射殺した。


 散弾銃に新たな弾を込めつつ、マルクは口をもごもごと動かしてから何かを吐き出す。

 泥水に沈んだのは、潰れた銃弾と歯の欠片だった。


「次だ……早く次の敵を……」


 マルクが塹壕の奥へ進み出したその時、彼の脚が何かに引っかかる。

 それは一本の糸だった。

 糸に力がかかった拍子に、結び付けられていた手榴弾のトラップが作動する。

 刹那、轟音と爆発がマルクを襲った。


 舞い上がる黒煙が晴れた時、そこには彼の残骸が転がっていた。

 血みどろの残骸は、赤い泡を立てて再生しようとしている。

 そこに十数人の帝国兵が駆け付けると、息の合った連携を銃撃を始めた。

 彼らは決死の覚悟で肉塊を弾丸で耕していく。


「絶えず撃ち続けろ!」


「破壊し続ければ再生できない!」


「封印用の箱を持って来い! 急げッ!」


 一方、肉塊となったマルクは体内で魔力を爆裂させた。

 その衝撃により、撃ち込まれた弾が全方位へと飛散する。

 至近距離にいた帝国兵達はズタズタに引き裂かれて即死した。


 銃撃が止まった隙にマルクは肉体を一気に再生させる。

 骨と筋肉の怪物となったマルクは、聖剣を拾って歩き出す。

 濁った双眸は、未だ抵抗を試みる帝国兵の殲滅だけを見据えていた。


 その後、マルクは塹壕に潜む三千五百名の帝国兵を殺害した。

 彼は敗走した者を追い回し、さらに七十八名を斬り殺した。

 勇者の殺戮という恩恵を利用し、王国軍は重要戦地にて偉大なる勝利を遂げたのであった。

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