後編
着地したマルクは即座に散弾銃の引き金を引いた。
腹を撃たれた帝国兵が吹っ飛んで転がり、血を吐いて死ぬ。
マルクが死体の銃に手を伸ばした時、首筋に鋭い痛みを感じた。
そこにはナイフが深々と突き刺さっていた。
(昔から感知は苦手だったが、不死身になってからは壊滅的だ)
内心で嘆きつつ、マルクは振り向きざまに聖剣を振るう。
背後から奇襲を仕掛けた兵士は、胴体を輪切りにされて臓腑を撒き散らした。
マルクは首から生えたナイフを勢いよく引き抜く。
頸動脈から鮮血が噴き出すも、すぐに傷口が塞がって止まった。
休む間もなく、今度は三人の帝国兵が接近してくる。
雄叫びを上げる彼らは、物陰から一斉に発砲した。
棒立ちだったマルクは全身に銃弾を浴びる。
血肉が弾けて頬や額に穴が開く。
思わず膝をつくマルクだったが、彼は無言で三人を射殺した。
散弾銃に新たな弾を込めつつ、マルクは口をもごもごと動かしてから何かを吐き出す。
泥水に沈んだのは、潰れた銃弾と歯の欠片だった。
「次だ……早く次の敵を……」
マルクが塹壕の奥へ進み出したその時、彼の脚が何かに引っかかる。
それは一本の糸だった。
糸に力がかかった拍子に、結び付けられていた手榴弾のトラップが作動する。
刹那、轟音と爆発がマルクを襲った。
舞い上がる黒煙が晴れた時、そこには彼の残骸が転がっていた。
血みどろの残骸は、赤い泡を立てて再生しようとしている。
そこに十数人の帝国兵が駆け付けると、息の合った連携を銃撃を始めた。
彼らは決死の覚悟で肉塊を弾丸で耕していく。
「絶えず撃ち続けろ!」
「破壊し続ければ再生できない!」
「封印用の箱を持って来い! 急げッ!」
一方、肉塊となったマルクは体内で魔力を爆裂させた。
その衝撃により、撃ち込まれた弾が全方位へと飛散する。
至近距離にいた帝国兵達はズタズタに引き裂かれて即死した。
銃撃が止まった隙にマルクは肉体を一気に再生させる。
骨と筋肉の怪物となったマルクは、聖剣を拾って歩き出す。
濁った双眸は、未だ抵抗を試みる帝国兵の殲滅だけを見据えていた。
その後、マルクは塹壕に潜む三千五百名の帝国兵を殺害した。
彼は敗走した者を追い回し、さらに七十八名を斬り殺した。
勇者の殺戮という恩恵を利用し、王国軍は重要戦地にて偉大なる勝利を遂げたのであった。




