2、文学フリマ大阪13当日
2025年9月14日ホタテにとって忘れられない1日となる。
【主な登場人物】
◯腹田貝→私だ。
◯ずみちゃま→柴野いずみさん。ここでは敬意と親しみを込めて『ずみちゃま』と呼ぶ。現実世界の本人の前では『いずみさん』と呼んでいる。
◯ずみママ→柴野いずみさんのお母様。ここでは親しみを込めて『ずみママ』と呼ぶ。現実世界の本人の前では『(いずみさんの)お母さん・お母様』と呼んでいる。
◯柳の人(仮名)→ズミ文芸の隣ブースの男性。お一人で参加されていた。
【いざ会場へ】
2025年9月14日日曜日朝。私はある程度の家事を済ませて出発する。猛省だが、予定よりも遅れての出発になってしまった。
途中、大阪メトロの中央線に乗り換えるのだが……人の数がエグい。
そう。大阪メトロ中央線は、大阪・関西万博の最寄り駅『夢洲』に行ける唯一の鉄道路線なのだ。万博来場者の為に、普段はいないだろう駅誘導員が広くない駅内で懸命に呼びかけている。
人混みに揉まれながら、何とか電車に乗る。ありがたいのは最終駅夢洲よりも前に下車出来ることだった。
中央線の次は大阪メトロニュートラムで会場最寄り駅『中ふ頭』へ。この辺りになると何となく他の乗客も、同じ目的で向かっているのだろう雰囲気がある。
今回の文学フリマ大阪はインテックス大阪で開催された。それまでは確か天満の辺りだったので、アクセスは前より良いとは言えない。しかし、インテックス大阪開催、私はアリだと思えた。詳細は後述する。
ずみママに到着したことを知らせ、私は会場から出てきてくれたずみママに荷物を渡し、一旦離れる。開催は12時からで、それまでは出店者しか中に入れないのだ。ずみ母娘はかなり早く来ていてくれたらしい。本当に申し訳なかった。
【文学フリマ大阪スタート】
開催前にずみママから出店者証を受け取り、ずみママと交替で中に入る。ずみ母娘がセッティングしたディスプレイに感動する。私が用意したのは基本的な什器だったので、アレンジや飾りやお品書きポスター等はずみ母娘が準備していた。
とても賑やかなブースとなり、私もワクワクした。ずみちゃまが用意していたオシャレなデザインのラクダぬいぐるみと一緒に、揚げすぎ唐揚げのようなフェルトラクダも飾ってもらえた。
こっそりホタテも忍ばせて、さぁ文学フリマ大阪スタートである。
【アタフタ前半】
開催と同時にブースに来てくださる方は数名いらした。実は開催前1時間前には既に来場者の待機列が出来ていた。この方々は蒸し暑い中並んで来てくださったのだ。何とありがたいことか。
と、いう心情になる余裕もなく、私とずみちゃまは本のお渡し、現金やり取り、売上記録メモにアタフタする。
私は文学フリマに来場者として数回参加してきた。客側からブースの様子は見ていたつもりだが、いざ売り子側になると焦りが生じる。
お金と在庫にミスがあってはいけないと思うと何故か余計に計算が出来なくなる。900円、1,000円、1,500円と比較的分かりやすい値段設定にも関わらず。幸い、来場者様の方がご準備よく、お釣り不要でお支払いしてくれたり、「お釣りはいくらですね」と言ってくれたりしたので助かった。
経験豊富とは言えないが、一応レジ打ちとかしたことをあるのに。何という体たらくな私。ずみちゃまも優しいので「焦りますね〜(笑)」と言いながら乗り切っていく。
【まったり中盤】
スタートダッシュが落ち着き、お互い何となく慣れてきたところで、交代で会場を回ることに。先にずみちゃまに行ってもらい、私はしばらく店番をする。ポツポツ、いやポツ売れた。
少ししてずみちゃまが戻ってくる。目安の時間を決めていたがそれより大分早いので「早くない?」と思ったが、荷物を一部置きに来ただけでまた去って行った。良かった。存分に楽しんできてほしい。なるほどブースがある、拠点がある、つまり荷物置き場がある。出店者のメリットだなと思った。
次に私が店番を離れる。予めチェックしていたブースを順番に回る。今回は売り子に来ていると言うと皆様「どこのブースですか?」と尋ねてくれる。はじめ2回位焦ってすぐ言えなかった。そうか、自分のブース番号はちゃんと覚えておかないと。ひたすらにトイレの近くだと言ってしまった。
戻ってきたら、ずみちゃま曰くまとまった人数が来てくれたらしくバタバタと1人で対応してくれたらしい。申し訳ない。間の悪いホタテである。
その後2人でまったり店番しながら話したり、途中でずみママが来て、ずみちゃま休憩中にずみママと雑談しながら店番したり。
ずみママは子育ての先輩でもあるので、私は「自分の子どもが何かをしたいと言った時どこまで親としてやってやれるのだろうか」と、ゆるく相談などした。
【ジリジリ後半】
段々と通路を行き交う人の数が減っていく。ズミ文芸ブースは出入り口から近かったので明らかに退場する様子の人が増えているのが視認出来た。
一番在庫が少なかった『四季八葉』は残り2冊となった。私とずみちゃまの脳内によぎる「完売」という言葉。SNSで「在庫残り僅か」と発信したり、ちょっとだけディスプレイを見直したり、「試し読みどうぞ〜」と声をかけたり。やれることは少しやってみた。
結果、『四季八葉』は完売至らず2冊残った。しかし、ずみちゃまの新刊は終了1時間位前でもポツポツ売れた。見事なものだ、本当に。
ずみママも来てくれて、ぼちぼち片付けの方向に進む。この頃にはサラッと机だけを残して立ち去るブースもいる。丁度真後ろもそうだったので、(あまりよくないだろうが)荷物まとめに少し使わせてもらった。
終了のアナウンスが響き渡り、出店者達が拍手を送る。初めて知ったが、会場奥でクロネコヤマトさんがスタンバイしていて、着払いで段ボール荷物を送れるようになっていた。
私達も利用した。再利用段ボールや着払い伝票だけでなくペンやガムテープも用意されていて、これは助かると思った。
ところで、1ブースとは会議用の折り畳み式長机の半分である。机と椅子は指定の場所に運ぶ必要がある。私達が片付けをしている間、同じ長机を使っていたお兄さんが待っていてくれていた。ようやく机上を片付けると、お兄さんは1人で長机を運んでくれた。
このお兄さん。柳の人と呼ばせてもらう。この人が隣だったから、私達もアタフタしながら出店を楽しめたように思う。
ダークカラーでファンタジックに飾られ、沢山在庫本を積んでいたズミ文芸とは真逆で、柳の人のブースは3種類程の本を横並びに置き、モノクロプリントした無料ペーパーをそっと手に取りやすそうなところに用意していた。
とても物静かで、穏やかな雰囲気の方。お互い一言二言挨拶を交わしたがそれ以上干渉することもなく。
静かに佇んでいるだけなのに、通路を行き交う人はそのブースに目を留め、本に触れ、無料ペーパーを読んでいた。無料ペーパーだけ受け取っていた人が後から買いに来る場面もあった。
私もずみちゃまも凄いね〜と話した。私が柳のような人だと言ったら共感してくれた。
余裕なさ過ぎて、柳の人のブースをちゃんと見れなかったのは申し訳なかった。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。




