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平凡な私のどこに、奪い合う価値があるのでしょうか?  作者: 迦陵れん
最終章 飛翔

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予想外すぎる出来事

 思いもよらずラズリから口づけをされ、驚きのあまり奏は動きを止めた。


 そのままそっと頬に手をやり、じわじわと込み上げる喜びに、思わず口角を緩める。


「ラズリ……これって、その……ラズリも……俺のことを?」


 喜びを噛み締めつつ途切れ途切れに聞いてみれば、ラズリはほんのり頬を染めた。が、頷いてくれたわけではない。


 ここでラズリが頷いてくれれば、最高だったんだけどな……。


 そんな風に思うも、焦りは禁物だと、すぐに自分に言い聞かせる。


 理由はどうあれ、一度はラズリに拒絶された身だ。であるのに、今こうして再び何事もなかったかのように傍にいられるだけでも、十分に幸せだろう。


 それに、彼女にはこれから能力を奪われた後のルーチェのことなどを話さなければならない。


 そういったことを考えると、いつまでも甘い空気に浸っていることはできず、奏は優しくラズリの両肩に手を置くと、腰を落として視線を合わせた。


「どうしたの?」


 キョトンとするラズリに、奏は少しばかり言い淀む。


 隠したところで、どうせいつかは言わねばならないことであるし、彼女も気持ちが落ち着けば聞いてくるだろうから、言わないという選択肢はない。だが本当に、今言ってもいいものなのか?


 もう少し時間を置いて、ラズリの方から聞いてきた時にでも教えてやればいいんじゃ……。


 チラリと、そんな考えが頭をよぎる。


 実際にそうしたところで、それはただの時間稼ぎにしかならず、最終的にラズリにはきちんと教えなければならないが、それでも。それでも、今でなくてもいいんじゃないか──?


「あ、ええと、あのな……」


 言い出しかけた手前、何かを言わなければならず、なんと言うべきか奏が考えを巡らせた時──。


「闇のこと?」


 ラズリが、いきなり予想外のことを口にした。


「え? 闇?」


 まさかラズリの口から闇の名前が出るとは思わず、今度は奏がキョトンとしてしまう。


 彼のその反応に、ラズリは違和感を覚えたのだろう。途端に、「闇の話じゃないの?」と、怪訝そうな顔をされてしまった。


「ああ! いや、そう、そうだ! 俺が話したかったのは闇のことだ! あいつ今回やたら無茶して、とりあえず今はここに来る前にいた宿屋で休ませてるんだけど──」

「うん、知ってる」

「え?」


 食い気味に頷いたラズリの言葉に、奏は凍りついたように動きを止める。


 どうしてラズリがそれを?


「私、奏が闇を宿屋に転移させたこと何となく分かったから、だから宿屋まで行って、お札を使って闇のこと眠らせてきた」

「え? え?」


 ラズリの口から紡がれる、奏自身が知らない出来事に、彼の頭の中が疑問符でいっぱいになる。


 え? どういうことだ? ラズリが一人で城から宿屋まで行った? しかも、札を使って闇を眠らせたって……ええ?


 実際のところ、奏はまだ宿屋に闇の状態を確認しに行けていなかった。


 ラズリの精神体が光を放ち、室内を眩しいほどの光で埋め尽くした後──光が消え去り、元の状態に戻った時には、ラズリの姿は忽然と消えてしまっていて。

 

 闇の状態も気にはなったが、奏にとってはそれより何よりラズリのことが心配であったから、まず真っ先にラズリのもとへと駆けつけたのだ。


 精神体の状態で大きな力を使って、ラズリがそのまま消滅してしまっていたら、どうしよう。


 王宮内のベッドに寝かされているラズリの身体が、異常を来していたら、どうしよう。など、不安に思えばキリがなくて。


 まずはラズリの状態を確認し、そのまま寝かせておいて大丈夫なようであれば、闇の様子を見に行こうと考えていたのだ。


 それなのに、まさかラズリが闇の状態を知っているなんて。それどころか、彼女が闇を眠らせただなんて、思いも寄らなかった。


 あまりにも予想外すぎる出来事に、奏の頭の中は真っ白になってしまったのだ──。







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