パンと高利貸し
ある街に高利貸しがいました。一代で財を成し、仕事に高い誇りをもって、とても裕福でした。でも、利息がとても高いことで有名でした。だから、町のみんなから嫌われていました。友達は一人もいませんでした。
ある日、隣の貧しい家庭の母親が訪ねてきました。子供のためのパンがなくなったので、パンを貸してほしいというのです。高利貸しは裕福だったので、気にすることなく女性にパンを渡しました。
女性がパンを借りに来ることはしばしばありました。仕事に忙しい高利貸しは、何も考えずにパンを渡していました。
ある日、女性の子供が高利貸しを訪ねてきました。母親が死んだ事と、借りたパンを返したいといいました。
高利貸しは、彼女が一度もパンを恵んでほしいと言わなかったのを思い出しました。
高利貸しは利息や返済期限の事は一切考えませんでした。しかし、高利貸しは証文はないし、あれは恵んであげたのだといいました。しかし、子供は借りたのだから返すと、頑として譲りません。仕方なく高利貸しは納めるべきパンの量を計算して子供に提示しました。子供はこれを受け入れました。
子供はパンの一括返済を希望しました。しかし高利貸しは一度に多くのパンを必要ととしませんでした。パンは必要な分だけあれば良いものだからです。次に、子供は分納を提案しました。しかし、高利貸しは、お金を貸しているパン屋から、返済の代わりに、とてもおいしいパンを毎日納めさせる約束があるので必要ないと言いました。パンは必要な人にわたって、初めて価値あるものになるのです。
子供は悩みました。
それを見た高利貸しは、自分に対してではなく、だれかパンを必要とする人に、適切な時間に適切な量を配ることを提案しました。
子供は配るパンがないと言いましたが、高利貸しは少し考えて、お金を貸しているパン屋の返済先を子供に変えるといいました。
子供にとって、パンを必要とする量を、必要な人に届けるのはとても難しいことです。しかし、パンを借りに来た母親は、子供は借りたものは必ず返すようにと教えられていました。子供は懸命にパンの返済にいそしみました。貧しい家庭や孤児院をにパンを配って回りました。
高利貸しはには利益がありませんでした。しかし、たまにですが事情を知った人からた、お礼の手紙が届けられるようになりました。高利貸しは手紙を大切に保管しました。そして、寂しいときに、手紙を読み返しました。何度も何度も。