一つになれないなら、せめて二つだけでいよう
レビュー執筆日:2022/7/5
●基本的な構成は前作と同じだが、「ボーカルの癖」をより強く押し出してきたような印象が。
【収録曲】
1.2LDK
2.エロ
3.ボーイズENDガールズ
4.そういえば今日から化け物になった
5.大丈夫
6.百八円の恋
7.本当
8.のっぺらぼう
9.寝癖
10.社会の窓と同じ構成
11.
12.二十九、三十
※11トラック目はタイトルが設定されていないので、このように表記します。
前作から約1年半ぶりにリリースされたクリープハイプのメジャー3rdアルバム。構成としては、冒頭からいきなりボーカリスト・尾崎世界観の癖の強い歌声が飛び出してくる『2LDK』で始まり、全体的にやさぐれた雰囲気を持ちながらも、合間に『寄生獣』を意識したような歌詞の『そういえば今日から化け物になった』や盆踊りのようなリズムで聴かせる『大丈夫』といった曲を挟みつつ、最後にしんみりとした『二十九、三十』で締めるといったもので、全12トラック・約40分という形式も前作とほぼ同じで、そういう意味では前作の延長線上にあると言えるでしょう(11トラック目は諸事情によりギターノイズのみの収録になっていますが)。
ただ、メロディに関しては前作と比べて全体的にやや印象に残り辛いかな、という風に感じられるところがあります。まあ、「だってだってだってだって」(エロ)や「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」(百八円の恋)、「しらねーしらねーしらねーしらねー」(社会の窓と同じ構成)のようにインパクトのある箇所もあったりするのですが、裏を返せばそういった「繰り返し」のフレーズに頼りがちに見えるとこともあり、不貞腐れたようなハイトーンボイスということも相まって、「しつこく」感じてしまうところも。そういう観点からすると、今作はボーカルの「癖の強さ」が良くも悪くもより強く押し出されたアルバムになっていると言えるかもしれません。
評価:★★★★