ジル・フォン・エルバス3
「まず、私と兄はアイリーン様の味方です。それは信じて下さい」
「ああ…分かった、ケントはアイリーンを体を張って守っていた。その言葉を僕は信じるよ」
「ありがとうございます。そして、今から私がする話は、全て真実でございます」
皆がアヤの言葉に耳を傾けた。
「私は、あの場で起きた事も、エンカ様がアイリーン様を拐うことも知っていました」
やはりか…
「何故知っていて、助けを呼ばなかったのですか!?アヤが声を上げれば、アイリーンは拐われなかったのですよ!!」
「分かっています。でも、平民の私達が声を上げたところで殺されて終わります。それだとアイリーン様を救えないと思ったのです」
「そうだろうな」
レオンは静かにそう言い頷いた。
「それに、私にも確証が無かったのです。本当に起こるかどうか…」
「でも、本当に起こってしまったんだね」
「殿下、そうです」
「君の知っている事を話してもらえないかな?」
「私は、神の啓示を聞きました。それは大まかな内容で、アイリーン様を中心とした出来事を教えて頂いたのです。でも、私は本当に起こるのか分からなかった。だから、待ったのです。本当に起こるのかを」
「そして、起こってしまった」
「はい…だからこそ、私は考えたのです。神から頂いた啓示は何なのだろうかと…そして、私は気付いたのです。これは私がアイリーン様を救う手伝いをしろと言う事だと。だから、刑罰も問われる行いだと理解しながらも私からイザベラ様に助けを求めに会いに行ったのです」
誰もがアヤの言葉を聞いて絶句した。
神の啓示…
それは、聖女しか聞けぬとされていた。
つまり、アヤは自分は聖女なのだと告白したも同然だった。
「アヤは…魔力が…あるのかしら?」
イザベラ嬢が信じられない様に声を紡ぐ。
「いえ…私にはございません。そして皆様が思っているような人物でもございません」
「だが…それはまさしく…せい「聖女では決してございません」」
混乱。まさしくその言葉の通り、僕達は混乱した。
そして、僕は更にその事実を受け入れる事は出来なかった。もし、彼女が聖女ならば、僕は聖女と結婚しなければならないからだ。
それほど、聖女は重要なのだ。
だからこそ、聖女を手放さない為に婚姻しなければならない。
「私はただ一方的に教えられただけなのです。私から神に尋ねても神は答えてはくれません。神が答えてくれるのは聖女様のみ」
「では、アヤは神の声を今は聞けない?」
「殿下、そうなのです。私は神より産まれる前に教えられただけなのです。なので、私は神の声を聞くことは出来きません。なので聖女では無いです」
頭が痛い。
理解が追いつかない。
「ちょっと待ってくれないか?僕の頭でも整理する事が難しいようだ…」
「いくらでも待ちましょう」
そして、少し休憩をする事にしたんだ。
その間にこの少女をどうするべきか考えなければならなかった。




