ジル・フォン・エルバス
あの騒動から、僕の業務は鬼の様に忙しくなった。
ねぇねぇ…僕まだ10歳だよ?
そんな事を父上に言ったこともあった。
「優秀な息子が居ると楽だな!!」
そう笑いながら言った父上を殴りたいと思った僕は悪くないと思う。
あの花については、国の預かりになった。
そして、今頃影が調べているだろう。
数日が過ぎた頃、父上から呼び出された。
「陛下、お呼びでしょうか」
「ああ、お前には伝えとこうと思ってな。あの日より余はあの花について調べていた。そして、影を使いクリス・マーカス・コンテの自宅を調べたのだ。
不自然に抜き取られた何かがそこにはあった。だから余は王城にアヤツ等を呼び寄せ査問にかけようと思っていた。自白剤を使い全てを聞きだす筈だった」
「はずだった?」
「今朝、近衛兵を向かわせたら、クリス・マーカス・コンテを含む一族全てが殺されておった」
「………ッ」
「屋敷を隅々まで調べたんだが、証拠は全て何者かに回収された後だった」
「では…」
「ああ…お前の考えた通りだ。メナード派に繋がるものは何も無い。今の段階ではあやつ等が行ったと証明出来る物は何もない」
「ジル、用心せよ」
父上の重い言葉を僕は受け止めた。
「私はやるべき事がありますので、失礼致します。」
「ああ…ジルよ、後一つ、あと数ヶ月で約束の春が来る。婚約者は変更せずで良いか?」
「勿論です。父上!誰が何と言おうと僕は彼女以外と結婚するつもりはありません」
そう断言すると苦笑いし、僕に退出を促した。
その日の夜、後日皆に集まる様に連絡を入れた。
クリス・マーカス・コンテが殺された今、皆に伝えようと思ったからだ。
そう、父上には言っていない事実があった。
あの化け物は、最初は僕達を襲っていた。
けれども、今思えば探していたんだ。
彼女を…。
僕には確信があった。アイリーンは意図して狙われたのだと。
その辺りも、皆に伝え、対策を練らなければ。
そうして、次の日、アイリーンを除くメンバーが集まった。




