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ジル・フォン・エルバス 2

山奥に古い古屋が一軒ポツンとあった。それは、隠れる様に建てられていて、影が居なかったら早くに見つけることは不可能だっただろう。


「殿下、申し訳ございません」


「いい、君は役目を果たしてくれた。状況はどうだ?」


「5人この中にいます。お嬢様は2階のあの部屋におり、下の階に4人、扉の前に男が1人、部屋にはお嬢様の他に少年が1人捕まっています」


「分かった、感謝する!まず、4人を速やかに倒し、アイリーンを救出する。部屋の前にいる者にアイリーンを人質にされるな!分かったな!行くぞ!」


そうして、僕達は、古屋に突入した。


古屋に入った瞬間から魔法が発動しなかった。

この事実に僕は焦りが募る。

つまり、彼女は今はただのひ弱な女性なのだ…

僕の焦りとは反対に誘拐犯と見られる男達が剣を振り回していた。

全てを無効化し、彼女が捕われているであろう2階へ行こうとした時、彼女が階段から滑り落ちて来た。


彼女を見た瞬間、声を掛けたその瞬間安堵すると同時にその容姿に手首にハッキリ残るアザに、初めて僕は明確な怒りを感じた。


誰だ、僕の彼女に傷を付けたやつは

誰だ、彼女の白い肌にアザを付けた奴は


そんな感情が心をしめる。

彼女の護衛が声にならない悲鳴をあげたが気にしていられない。


僕の心はこんなにも怒り狂っているのに、彼女は、


「あらぁ?殿下、何故こんな所にいらっしゃるのかしら?」


そう元気な声で聞いて来たんだ。

彼女の逞しい姿に、場違いに僕は彼女がカッコいいと思ってしまった。


話を聞くと、後ろの少年と遊んでいたや

アヤって子もいたとか、苦しい言い訳をしていた。


彼女は必死に何かを隠している。

それが何か分かるまで時間はかからなかった。


捕まえた奴らが持っていた物…それは…カラベル領を表す紋章だったからだ。

余りにもあからさま過ぎて、きっと、誰かの罠だろう。

きっと、彼に責任を押し付けるのだろう。


だか、彼はアイリーンを害する事は出来ない。

娘のたった1人の友なのだから…


それに、彼はアイリーンを将来の王妃に推す1人になったのだから…そんな事はしない。


アイリーンに大丈夫だと伝え、事情を聞いた。


そこには、目を疑いたくなる程の、彼女がそこにはいた。

僕は、後ろにいる少年にも話を聞き、そっと彼女から2人で離れ、本当か聞く。


ケントと言う少年が事実だと疲れた顔をして教えてくれた。なんでも淑女の嗜みだとか…。

本当に、貴族様の女はこんな怖いのかと、真顔で僕に尋ねてくる。


その姿に、僕は、ようやく、心から笑ったのだった。

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