イザベラ・デュセ・カラベル3
「どう言う事ですの?だって、昔からお父様はわたくしを殿下の婚約者にと色々やっていらっしゃったじゃないですか」
「それは、お前が、殿下に惚れていると思っていたからだ、それに、お前に相応しいのは殿下だと思ったのだ」
「わたくし、1度もそんな事を言った事ございませんわ」
「初めて会った時、ニコッと笑ったであろう?」
「いつの話ですの?」
「生まれた時だったかな?」
「お父様!いつのお話をしていらっしゃるの!?わたくしがどれだけ辛い思いをしていたか、ご存知無かったのですか!」
「嫌がっても結局はやってたではないか!だから、嫌でも殿下が好きだから頑張ってるもんだと」
「お父様、そのお話は屋敷に帰ってからじっくりと、ええ、じっくりと話し合いましょう。
それよりも、アイリーンですわ!お父様、何か心当たりはございませんか?」
「ある。我らと同じ位を持つ、あの家の者だろう」
「では、アイリーンがいる場所に心あたりは?」
「イザベラよ、落ち着け、父が動かなくとも、あのお方は既に動いていらっしゃると思うぞ。もう、その地に足を踏み入れているだろう。彼が未だお前の前に現れないと言う事は、そう言う事だ!任せておけば良いい」
「でも、わたくしも何かしたいのですわ。ここでじっと待つなどわたくしには出来ませんわ、初めての大切な友達ですもの」
「なら、これから、守るが良い。あの娘は本人が望んでいなくとも、もう様々な事に巻き込まれて行くだろう。
だが、それに立ち向かえる力も、躱す力も力量も無いように見えるからな」
「畏まりましたわ、わたくしの持てる力全てを使って守ってみせますわ」
お父様は微笑みわたくしを見つめておりました。
わたくし、お父様の事を勘違いしていたようですわね。
わたくしとお父様に足りない物は会話だったのですね。
そう…アイリーンが第1王子から見染められたあの時から、イザベラの父も変わってしまっていたのだ。
イザベラの父は娘を溺愛していた。それこそ、犯罪に手を染めても構わぬ程に…
だが、あの日、アイリーンの名前を出したあの瞬間娘の目に歓喜が宿った事を父は気がついた。
本来言おうと思っていた言葉を仕舞い込み、咄嗟に、
「(かわいい我が娘の為に)アイリーン嬢を我が家に取り込め(そして、お前の笑顔を増やさせるのだ)そのためには、多少陥れても構わぬ」
そう口に出したのだ。
この言葉を聞いた娘がまさか自分を敵認定してるとは全く思っていなかった。
この父との話を聞いたイザベラは本来歩く道から完全に外れたのだった。