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「アイリーン?なぜ、君がここから滑り落ちて来るんだい?」
「お嬢様…」
なんでしょうか、こ、こわいわ…。
「あらぁ?殿下、何故こんな所にいらっしゃるのかしら?」
「レオンの領地に遊びに来たんだよ!そしたら、君が行方不明と聞いてね、僕の個人的な護衛達と探していたんだよ、無事かい?」
「ほ、ほんもの…の第一王子殿下…(やっぱりコイツが婚約者なんだな)」
ケント、声を小さく言ってますが、聞こえておりますわよ。
わたくしも、信じたくはありませんわ。わたくしが婚約者なんて…。でも、本当ですのよ…。認めたくありませんが…。
「おや?後ろの少年は誰だい?」
ジル殿下の瞳が鋭くなった気がしましたが、どうしてかしら?
それよりも、マズイですわ。ここに殿下が居ると言うことは、イザベラ様のお父様が疑われてしまいますわ。
イザベラ様を守らなければ…。
「この子は、一緒に遊んでいた少年ですわ!」
「へぇ…アイリーン、君は、こんな所で、少年と遊んでいたんだね?」
「そうですわ!あっ2人だけではございませんのよ!もう1人女の子も居たんですが、どこかへ行ってしまわれましたの。わたくし、彼女を探さないと行けませんの、これにて御前失礼致しますわ!」
「お嬢様…その言い訳は…」
護衛の方が溜息を吐いてます。
おお〜やはり無事でしたか、さすが、わたくしの所為で沢山死にかけた人ですわ!
「さぁ〜、行きますわよ!殿下の護衛の皆様もお騒がせ致しましたわ」
わたくしは殿下に礼をしその場を後にしようとしたら、手を掴まれましたわ。
「アイリーン?僕にそんな話が通用すると思っているのかい?君はいつも、面白いけど、今回は見逃されないよ。さぁ〜事情を聞こうか、このいかにもガラが悪そうな連中の事もね」
ど、ど、どうしたら…。
「君が何を心配しているのかは、分かってるつもりだよ!大丈夫だ、彼女は彼が守ってくれる」
「本当ですの?殿下は気がついていたのですか?」
「ああ…勿論だよ、何も心配はいらないよ」
「分かりましたわ、全てお話し致しますわ!ですが、殿下必ずイザベラ様をお守りすると誓って下さいませ!そして、アヤを助けて下さいませ」
殿下は頷いて、わたくしの話を聞き終わると、何か指示を出して行きます。
ケントも知ってる事を話し、殿下と共にどこかへ行ってしまわれましたわ。
わたくしも付いて行きたかったのですが、2人に駄目だと言われて、渋々、監視という名の護衛と共にレオン様のお屋敷に向かいましたわ。




