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ついに!ついに!ついに!きたぁぁぁぁ〜!!!
伯爵令嬢として生まれ変わった、わたくしは現在10歳を迎えようとしている。
前世の記憶が戻ったのは、わたくしが5歳の誕生日の日でした。
記憶を取り戻した経緯は、本当にベタな展開。そう、階段から落ちて取り戻す。色んなラノベで見ていた展開です。
記憶を取り戻した、わたくしは暫く意味のわからない事を繰り返し、家族や使用人達を困らせてしまいましたが、半年もすれば、以前の様に落ち着きを取り戻したわけです。
「お嬢様、お待ち下さいませ!!」
何故、叫ばれているかと言いますと
わたくしは今走っているからですわ。
わたくしの記憶が正しければ、お忍びで今日、第一王子殿下が我が領へお忍びの視察にこられる、そして運命の彼女に出会う日なのです!
急がなければなりません。この出会いを、脳裏に焼き付けるために。この世界にはカメラもデジカメも無いのですから…なので止めないで下さいませ!
「誰か、お嬢様を止めて下さい!!」
わたくしの専属メイドのアンが叫ぶ声が先程から聞こえますが無視です。
わたくしは階段の手すりから華麗に滑り落ちます。馬車まであと少し!!
本当にあと少しの所で…
我が家の有能な執事、セバスに捕まってしまいました。
「お嬢様、何事でしょうか?まさか、1人で護衛も付けず外へ行こうとされては居ませんよね?
ええ…まさか…そんな事はありませんよね。」
そんな声と共に、わたくしはこのセバスに捕まってしまったのです。
「セバス!!離しなさい!わたくしは今行かなければならないのです!わたくしの命と同じぐらい大切な事が今から起こるのです。だから、わたくしを降ろしなさい!」
「ほぉ…それは、是非、わたくし、セバスにお聞かせ願いましょう」
「いやぁぁ!!!もう時間が!!セバスお願い…いや…これは命令です!離しなさい」
「お嬢様の命をわたくしもお聞きしたいのはやまやまなのですが、残念ながら、我が主よりお嬢様を逃すなとの命をすでに頂いておりますゆえ、申し訳ございませんが無理なお願いです」
「お、お、お父様〜!!!」
わたくしは絶望し、項垂れた。
そして、父様がお待ちする執務室へ連行されて行きました。