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「貴方大丈夫ですの?」
少年へ声をかける。
「いってぇ…おめぇ、誰だよ!アヤは?アヤはどこだ?」
「ここには居ないわね」
「クソッタレ」
「ちょっと静かにして下さいませんか?犯人が来ますわよ」
そう声を掛ければ、ハッとしたように少年は黙る。
「貴方のお名前を教えて貰っていいかしら?わたくしは、アイリーン・ゼン・クワノスですわ」
少年が青褪めて行く。消えてなくなりそうな声で、アヤと呟く。
「アヤって子が貴方の妹さんかしら?」
少年は頷く。
「俺の名前は、ケント、アヤは俺の2つ下の妹の名前だ」
「貴方何歳なんですの?」
「俺は12だ、アヤは10歳」
「あら、妹さんはわたくしと同じ歳ですわね。それにしても、ケントとアヤって変わった名前ね」
「ああ…親に付けてもらった名前は捨てたんだよ、おめぇらみたいな貴族にはわかんねぇだろ」
「分からないわね。わたくしは、貴族に生まれてしまったのですから、貴方達の通ってきた道は分かりかねますわ」
「だろうな…貴族ってやつは、どいつも、そんな奴等ばかりだ!俺が昔住んでた所は階級なんて、無かったのに」
「ん?階級がない?」
「ああ…つぅか、オメェなんで捕まってんだよ、しかも、なんで、オメェが第一王子殿下の婚約者なんだよ!イザベラじゃねぇのかよ!クソっどうなってやがる」
「ん??」
聞き捨てならない声が聞こえた。
「醤油」
「ああ…懐かしいな」
「味噌」
「味噌汁飲みてぇよ!」
「ラーメン」
「食いてぇな………ってオオイ!マテマテ!」
おお、これ、日本人の記憶持ってますわね?
ケントも驚きながらこちらを見る。
「オメェも日本人かよ、記憶あんのか?」
「ありますわ、前世の名前は、香川なるみよ」
そう言うと、ケントの目が大きく開かれたのだった。
何か言おうと彼が震えながら言葉を紡ごうとしたが、わたくしは、この話は、ここを出てからと話を切る。