とある斬られた護衛1
それは、本当に一瞬の出来事だった。
やらかした、そう思った時には俺の腹に剣が貫通し、背中を斬られる。
くっそぉ!いってぇな!まぢで!
そんな悪態を心の中で吐き、お嬢様に逃げる様に声を絞り出す。
だが、そんな声を出しても、逃げず、アッサリ捕まったお嬢様。
ありえねぇ…まぢ、あの人…ありえねぇよ!
逃げろよ!声を出せよ!
いつも、奇声を発してるだろ!得意分野だろ!
つうか、魔法使えよ!俺を刻んだみたいによぉ!
薄れて行く意識の中で、お嬢様のバックに手を突っ込む。そこには、大きめの瓶が入っており、それを、無造作に取り、飲む。
全身が熱くなり、傷が塞がって行く。その痛みに耐える俺。
「なんだ、死んで無いじゃん」
そう言ってお嬢様を運んで行った1人が戻ってきた。
「まぁ〜今から、トドメさせばいっか」
そう言って振り上げた剣が落ちてくる前に、それを受け止める。
「あれ?傷あったよね?」
「うっせぇよ!おい、お嬢様をどこへやった!」
「知らないね、教えてもここで死ぬんだ、意味ないだろ」
激しく剣が当たる音が響きわたる。
俺のイライラゲージもMAXになって行く。
「てか、なんで死んでないの?」
「いつも、瀕死にさせられてるからな!だから、お嬢様が俺の為に劇薬ポーション持ってんだよ!」
そう、いつもいつも、あの御転婆お嬢様によって
俺は瀕死になる!
ある時は、川に落ちかけたお嬢様を咄嗟に掴み、俺が落ちて瀕死。
また、ある時は、お嬢様の実験中に風魔法が俺の背中に直撃し、瀕死。
暴漢に合い、俺が庇い、やっぱり瀕死。
精神的瀕死も受けたぞ!
我が国の第1王子に向かっての邪魔扱い、見てた俺はどんなけ青褪めたか!
それを後日問い詰められ、そこでも、俺の精神は瀕死だ!!
あの〜!クソお嬢様がぁぁ!!
「えっ、それは、災難だね」
敵に同情されんっのも、お嬢様の所為だぁ!!!クソが
敵に同情の目を向けられ、俺はキレた。
何回か撃ち合い、ついに決着が付いた。相手の首に剣を押し当て最後に聞く
「お嬢様はどこだ?」
「教えねぇよ」
「そうか…」
俺は意識を刈り取った。男を担ぎ、役所へ急ぐ。
まさか、その最中に、あの方に出会うとは。
俺の精神的瀕死が決定した瞬間だった…。
心の声は出さず、あの方に、頭を下げる…。
あの、クソお嬢様がぁ!
ぜってぇ、辞めてやる!!!




